コラム
2008年09月07日
不可解なトランスデジタルの破綻(1)
連日、報道で、トランスデジタルの破談が取り上げられている。
JASDAQ上場の、小さな会社の破綻には、首をかしげることばかりだ。
ここでは、トランスデジタル自身によるプレスリリースを中心にレビューしてみよう。
2月15日 経営方針の見直し及び当社事業内容について
第3四半期業績開示と同時に、経営方針見直しを発表。
急激な事業拡大や有価証券や不動産への投資事業等により財務体質を弱体化させた反省から、本業回帰と『透明性の高い企業』を目指すとしている。
主な内容は、
・システム開発事業への特化
・周辺業務の整理・統合(機器販売事業、EC事業等)
・新規事業の取組みを関連分野に特化
・財務体質の強化、人材の確保・育成
であった。
なお、同日、人事異動ほかを発表している。
2月15日 内部統制システムの整備に関する取り組みについてのお知らせ
大阪府警OBを顧問として迎え「反社会的勢力の介入阻止・排除及び危機対応のための内部統制構築を行う」としている。
2月15日 第三者割当による第3回乃至第12 回新株予約権発行に関するお知らせ
このMSワラント発行が、破綻にかかわる疑念の発端となったとも言える。
資本関係のないTD投資事業組合(SPVと思われる)を相手に、悪評高いMoving Strike条項(行使価格転換条項)が付されていた。
行使価額は当初14円(発行決議日の終値と同額)。
14円で行使された場合の当時発行済み株式総数に対する潜在株式数の割合は188%。
5円ならば497%と試算されていた。
ワラントの払い込み総額はわずか10百万円強、調達資金は19億円、その使途は、
・金融債務償還11億円
・周辺事業強化2億円
・本業回帰6億円
とされていた。
このニュースを受け、トランスデジタルの株価は上昇に転じ、2月21日に高値44円をつけた。
3月3日 第三者割当による第3回乃至第12回新株予約権発行(MSワラント)の払込完了に関するお知らせ
発行するMSワラントの払い込み金額10百万円強全額が、TD投資事業組合から払い込まれたとしている。
3月3日 新株予約権の譲渡に関するお知らせ
上記MSワラントの一部について、TD投資事業組合から4法人・2個人へ譲渡されたとしている。
3月3日 新株予約権の行使に関するお知らせ
TD投資事業組合と上記4法人・2個人が保有するMSワラントの約半数が、行使価額14円で行使されたとしている。
ワラントには譲渡制限が付されていたが、会社は承認依頼を応諾している。
960百万円が調達され、借入金返済に4億円、残りを事業資金に充当するとされた。
当日の終値は20円であり、行使をした投資家はキャピタルゲインを確定しようとしたものと見られる。
なお、この時点でTD投資事業組合は筆頭株主となったと開示された。
3月4日 新株予約権の譲渡に関するお知らせ
TD投資事業組合が保有するMSワラントの一部が、1法人・3個人へ譲渡されたとしている。
会社では、譲渡を承認することが、資金調達上必要なものと主張している。
3月4日 新株予約権の行使に関するお知らせ
TD投資事業組合と1法人・2個人が保有するMSワラントの一部が、行使価額14円で行使されたとしている。
3億円が調達され、借入金返済に60百万円、事業資金に240百万円に充当するとされた。
当日の終値は18円であり、行使をした投資家はキャピタルゲインを確定しようとしたものと見られる。
上記の、ワラントの譲渡と行使により、TD投資事業組合が筆頭株主・主要株主でなくなったと開示された。
同日のTD投資事業組合の業務執行組合員である合同会社KYの大量保有報告書による開示であった。
3月14日 (訂正)「主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」の訂正について
上述のとおり、TD投資事業組合はワラントを行使して得た株式の多くを譲渡している。
そのため、そもそも3月3日の時点から、TD投資事業組合が主要株主に該当しないことが判明したとしている。
3月19日 新株予約権の譲渡に関するお知らせ
TD投資事業組合が保有するMSワラントの一部が、1個人へ譲渡されたとしている。
3月19日 新株予約権の行使に関するお知らせ
同日に譲渡されたワラントについて、行使価額14円で行使されたとしている。
当日の終値は11円であり、行使価額を割り込んでいたが、行使価額の調整も見こまれていたと思われる。
3月21日 新株予約権の行使価額の修正に関するお知らせ
MS条項にもとづき、行使価額が14円から10.2円に調整された。
なお、今回のファイナンスより以前からあったストックオプション、CBについても行使価額が調整された。
これから、トランスデジタル株は希薄化を加速化し、株価を切り下げていく展開となる
>> (2)
JASDAQ上場の、小さな会社の破綻には、首をかしげることばかりだ。
ここでは、トランスデジタル自身によるプレスリリースを中心にレビューしてみよう。
2月15日 経営方針の見直し及び当社事業内容について
第3四半期業績開示と同時に、経営方針見直しを発表。
急激な事業拡大や有価証券や不動産への投資事業等により財務体質を弱体化させた反省から、本業回帰と『透明性の高い企業』を目指すとしている。
主な内容は、
・システム開発事業への特化
・周辺業務の整理・統合(機器販売事業、EC事業等)
・新規事業の取組みを関連分野に特化
・財務体質の強化、人材の確保・育成
であった。
なお、同日、人事異動ほかを発表している。
2月15日 内部統制システムの整備に関する取り組みについてのお知らせ
大阪府警OBを顧問として迎え「反社会的勢力の介入阻止・排除及び危機対応のための内部統制構築を行う」としている。
2月15日 第三者割当による第3回乃至第12 回新株予約権発行に関するお知らせ
このMSワラント発行が、破綻にかかわる疑念の発端となったとも言える。
資本関係のないTD投資事業組合(SPVと思われる)を相手に、悪評高いMoving Strike条項(行使価格転換条項)が付されていた。
行使価額は当初14円(発行決議日の終値と同額)。
14円で行使された場合の当時発行済み株式総数に対する潜在株式数の割合は188%。
5円ならば497%と試算されていた。
ワラントの払い込み総額はわずか10百万円強、調達資金は19億円、その使途は、
・金融債務償還11億円
・周辺事業強化2億円
・本業回帰6億円
とされていた。
このニュースを受け、トランスデジタルの株価は上昇に転じ、2月21日に高値44円をつけた。
3月3日 第三者割当による第3回乃至第12回新株予約権発行(MSワラント)の払込完了に関するお知らせ
発行するMSワラントの払い込み金額10百万円強全額が、TD投資事業組合から払い込まれたとしている。
3月3日 新株予約権の譲渡に関するお知らせ
上記MSワラントの一部について、TD投資事業組合から4法人・2個人へ譲渡されたとしている。
3月3日 新株予約権の行使に関するお知らせ
TD投資事業組合と上記4法人・2個人が保有するMSワラントの約半数が、行使価額14円で行使されたとしている。
ワラントには譲渡制限が付されていたが、会社は承認依頼を応諾している。
960百万円が調達され、借入金返済に4億円、残りを事業資金に充当するとされた。
当日の終値は20円であり、行使をした投資家はキャピタルゲインを確定しようとしたものと見られる。
なお、この時点でTD投資事業組合は筆頭株主となったと開示された。
3月4日 新株予約権の譲渡に関するお知らせ
TD投資事業組合が保有するMSワラントの一部が、1法人・3個人へ譲渡されたとしている。
会社では、譲渡を承認することが、資金調達上必要なものと主張している。
3月4日 新株予約権の行使に関するお知らせ
TD投資事業組合と1法人・2個人が保有するMSワラントの一部が、行使価額14円で行使されたとしている。
3億円が調達され、借入金返済に60百万円、事業資金に240百万円に充当するとされた。
当日の終値は18円であり、行使をした投資家はキャピタルゲインを確定しようとしたものと見られる。
上記の、ワラントの譲渡と行使により、TD投資事業組合が筆頭株主・主要株主でなくなったと開示された。
同日のTD投資事業組合の業務執行組合員である合同会社KYの大量保有報告書による開示であった。
3月14日 (訂正)「主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」の訂正について
上述のとおり、TD投資事業組合はワラントを行使して得た株式の多くを譲渡している。
そのため、そもそも3月3日の時点から、TD投資事業組合が主要株主に該当しないことが判明したとしている。
3月19日 新株予約権の譲渡に関するお知らせ
TD投資事業組合が保有するMSワラントの一部が、1個人へ譲渡されたとしている。
3月19日 新株予約権の行使に関するお知らせ
同日に譲渡されたワラントについて、行使価額14円で行使されたとしている。
当日の終値は11円であり、行使価額を割り込んでいたが、行使価額の調整も見こまれていたと思われる。
3月21日 新株予約権の行使価額の修正に関するお知らせ
MS条項にもとづき、行使価額が14円から10.2円に調整された。
なお、今回のファイナンスより以前からあったストックオプション、CBについても行使価額が調整された。
これから、トランスデジタル株は希薄化を加速化し、株価を切り下げていく展開となる
>> (2)
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