三菱重工業は12日、韓国航空宇宙研究院(KARI)から国産大型ロケット「H2A」を使った衛星の打ち上げを受注したと発表した。国産ロケットが海外衛星の打ち上げを担うのは、今回が初めて。民営化でコスト競争力を高める狙いで、三菱重工は2007年4月に国から打ち上げ事業を引き継いだ。今後、さらに世界の宇宙関連市場での国産大型ロケットの需要拡大を狙う。
地理情報解析や環境観測などを目的とする韓国の多目的実用衛星「コンプサット3」を2011年度に打ち上げる。日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)の使う衛星と一緒に搭載して打ち上げることで衛星1基あたりの打ち上げ費用を軽くする。三菱重工は今回の受注額を明らかにしていないが、30億円前後と見られる。
日本の宇宙産業はこれまで、地球観測など政府系衛星の開発や打ち上げで技術力を磨いてきた。ただ、国内のロケット需要は年平均2機程度にとどまっている。20―30機の打ち上げ需要がある世界市場への進出が積年の課題だった。今回、ようやく悲願の海外受注に成功した。(20:05)