エロスとプシュケ※コピペ
テーマ:ブログエロスとプシュケ
ある王様には、三人の娘がありました。上のふたりの娘もきれいでしたが、末娘のプシュケの美しさは、なんといいあらわしてよいかわからないほど。たいへんな評判でしたから、となり国の人々までが、その姿を見ようと、大勢おしかけてくるほどです。ちょうど美の神アプロディーテでも拝むように、この娘を崇拝しました。
しかし、人間の娘が、まるで神様のように崇められているのを見て、美の神アプロディーテは、たいそう腹をたてました。
「わたくしが人間のむすめに負けてよいものか。それでは、あのゼウスの羊飼い(パリスの事)が、わたしを一番美しいときめたことが、なんにもならなくなる。しかし、あんな娘に、わたしの名誉をうばわせはしない。今に、あの娘に後悔させてやる。」
そこでアプロディテは、息子のエロスをよびました。そして、色々な不平をいって聞かせたのです。
「いい子だから、あの思いあがった女を罰しておやり。おかあさんの面目を、まるつぶれにしたのだから。」
エロスは、母親の言いつけ通り、急いでプシュケの部屋へ出かけてゆきました。プシュケはちょうど眠っているところ。その姿を見ると、エロスも、ちょっと可愛そうになりましたが、とにかく、不運になる水を二、三滴プシュケの上にたらしました。そのとき、プシュケは目をさまし、エロスのほうを見ました。(けれど、エロスの姿は見えないようになっていました)エロスは、はっとして、あわてたはずみに、自分の矢で傷をしてしまいます。すると急に、自分のしたことを取り消したくてたまらなくなってしまい、今度はプシュケに、喜びをもたらす水をそそぎかけたのでした。
それからというもの、プシュケはアプロディーテの機嫌を損じてしまったので、いくら美しくても、ちっとも幸せになれませんでした。人々はプシュケの姿に見とれ、その美しさをほめましたが、それにもかかわらず、だれひとりプシュケに結婚を申し込む人はいません。ふたりの姉たちは、とっくに、りっぱな王子と結婚していましたが、プシュケだけは、ひとり淋しく自分の部屋にすわって、みんなが自分の美しさを、ほめてはくれるものの、だれも自分を愛してはくれないことを、悲しく思っていました。
プシュケの両親は、これは神々のお怒りにふれたのかも知れないと思い、信託をうかがいました。
「あの娘は、人間の花嫁にはならぬ運命をもっている。山の頂へつれてゆき、捧げるのだ。」
おそろしい信託を聞いて、人々はみんなびっくしてしました。とくに両親は悲しみました。けれどプシュケは言いました。「おとうさまも、おかあさまも、お悲しみにならないで。わたしは運命にしたがいましょう。不幸な運命が待っているという、その山の上に連れていってくださいませ。」
そこで、花嫁の支度をととのえ、プシュケをだしてやることになったのです。プシュケは、泣き悲しむ人々に見送られて、両親たちといっしょに、山へ登りました。人々は、その山のてっぺんに、プシュケをただひとり残して悲しい思いで家に帰ってゆきました。
プシュケは恐ろしさに胸をドキドキさせながら、山の上に立っていました。すると、ゼピュロス(西風の神)がプシュケをそっと抱きあげ、ふわりふわりと運んでいって、花の咲いている谷間へおろしてくれました。そばには、りっぱな宮殿がありました。プシュケは御殿の美しさに心をひかれて、思いきってはいって見ました。目にふれるものは、何もかも、おどろくばかりのみごとなものです。壁には、狩りの獲物だの、田舎の景色などの絵が飾られていて、見る人の目を楽しませてくれました。
そんなものに見とれていると、人の姿は見えないのに、どこからともなく声が聞こえて、こう言いました。
「女王さま、ここにある物は、すべてあなた様の物でございます。いま声をお聞きのわたくしどもは、あなた様の召使いでございます。なんなりと仰せください。ご用をいたしますので。」
プシュケは、ここで暮らしはじめたのでした。
ですが、プシュケは、自分の夫の姿を、まだ一度も見たことがありませんでした。その人は、夜だけいて、夜の明けないうちにいってしまうのです。けれど、優しい言葉で、いたわってくれるので、プシュケも慕わしく思っていました。プシュケはときどき、どうか帰らないで、お姿を見せくださいと頼んでみました。けれど、いつも夫は言うのです。
「なぜ、わたしを見たいのだ。わたしの愛情に、疑いでもあるのか。それとも、なにか満足しないことでもあるのか。おまえがわたしを見たら、たぶんわたしを恐れたり、崇拝したりするだろうが、わたしはおまえに愛してもらいたいのだ。わたしは神としてあがめられるより、人間として愛してもらいたいのだ。」
こういって聞かせらましたので、しばらくはプシュケも心がしずまりました。そして、楽しく過ごしていました。けれど、自分がこうしていることを、おとうさん、おかあさんはご存じないのだ、などど考え始めました。そう思うと、気が重くなってしまいます。
そこである晩、プシュケは夫に、姉たちを宮殿によぶことをお願いしたのでした。
プシュケは西風の神に、姉たちを、プシュケのいる谷に連れてきてもらいました。姉たちとプシュケは、たがいに抱きあって喜びました。
「さあ、ごいっしょに家へまいりましょう。いろいろ、ごちそういたしますよ。」
そう言って、プシュケは姉さんたちを、自分の御殿へつれてゆきました。そこで、沢山の声の召使いに案内され、ふたりの姉さんたちは、おふろに入ったり、ごちそうを食べたり、宝物を見せてもらったりしました。この天国ような暮らしを見て、姉さんたちは、妹が自分たちより贅沢な、りっぱな暮らしをしていることを、ねたましく思ったのです。
ふたりは、いろんなことをたずねました。夫がどんな人か、ということもたずねました。プシュケは、夫は美しい、若い人で、たいてい昼間は山へ狩りにいっている、と答えましたが、お姉さんたちは、それだけの答えでは納得しないで、プシュケから、まだ夫の姿を見たことがないことを白状させたのです。お姉さんたちは、それを知ると
「あなたの夫は、大ヘビに違いない。おなたをしばらく美味しいもので養っておいてから、いずれ食べてしまうつもりよ。だから、こうなさい。明かりとナイフを用意して隠しておくの。そして、その人が眠ってしまったら、明かりを取りだし、よく見るといいわ。もし大ヘビだったら、すぐに頭を切り落してしまいなさい。そうすれば、あなたは助かるんだから。」
プシュケは、なかなか聞きいれませんでしたが、やはり、お姉さんたちの言ったことが気になりました。それに、自分の好奇心も手つだって、もう我慢ができなくなってきました。そこで、あかりとナイフを用意して隠しておきました。そして夫が寝ついてしまうと、プシュケはそっと起きあがって、あかりを取りだしたのです。そこに照らしだされたのは、おそろしい化け物どころか、神神でも一ばん美しく、愛らしい、愛の神のエロスでした。プシュケは、嬉しくなって、その寝顔をもっとよく見ようと、明かりを近づけました。そのとき、あつい油が一滴、エロスの肩の上に落ちました。エロスは、それに驚いて、一言もいわずに、白いつばさをひろげると、窓から飛びだしていきました。プシュケもついていこうとしましたが、窓から地面に落ちてしまいました。プシュケが土ほこりの中に倒れているのを見ると、飛び去ろうとしていたエロスは、ちょっと飛ぶのをやめて
「おろかなプシュケよ。おまえは、わたしの愛に、こんな事をしてくれたのか。わたしは母の命令にそむいてまで、おまえを妻にしたのに、そのわたしを化け物だと思って、首を切る気かい。もう姉さんたちの所に帰るがいい。おまえには、あの人たちの言葉の方が、わたしの言葉より大事なのだから。わたしはおまえを罰しはしないが、永久にお別れだ。疑いのやどる心に、愛は住むことができない。」
こういうと、エロスは飛んでいってしまいました。とり残されたプシュケは、地面にたおれたまま、なげき悲しみました。
すこし落ちついて、あたりを見まわすと、御殿は消えてしまって、自分は、姉さんたちの住んでいる町の近くの野原に座っていました。姉さんたちは、それをきいて気のどくそうな顔をしましたが、心のなかでは喜んでいました。
それからプシュケは夜も昼もさまよい歩いて、食べず、眠らずに、夫をさがしつづけたのです。ふと目をあげると、高い山の頂に、りっぱな神殿が立っています。プシュケは
「もしかしたら、わたしの夫は、あそこにいるかも知れない。」
といって、そこへ行ってみました。
神殿にはいると、山のように沢山の小麦がちらかっていました。穂をもいだもの、たばねたもの、大麦もまじっています。そして、カマや、熊手など、刈り入れの道具も、投げちらしてありました。
信心ぶかいプシュケは、このだらしのない神殿の中を、すっかり片づけました。小麦や大麦をよりわけ、それぞれの場所におきました。そこは、農業の神デメテールの神殿でした。デメテールはプシュケの信心ぶかい態度を見て、プシュケに言いました。
「プシュケよ。おまえは、可愛そうな者だ。わたしは、アプロディーテのご機嫌を損じているおまえを、助けてあげることはできないが、お怒りをとく、よい方法を教えてあげよう。アプロディーテの所へいって、ゆるしを乞うがよい。そして、おとなしく、女神のいうことを聞いて、許してもらうようにしてごらん。そうすれば、たぶんアプロディテもお心がとけて、おまえの失った夫を返してくださるだろう。」
プシュケはデメテールの仰せにしたがって、アプロディーテの神殿を探しました。自分の気持ちを励ましながら、どうやって女神のお怒りをといたらいいだろう、といろいろ考えましたが、とてもうまくゆくそうには思えません。
アプロディーテは、怒った顔つきで、プシュケを迎えました。
「おまえは、ほんとに、けしからぬ女だ。」
とアプロディテはいいました。
「しかし、おまえもようやく、わたしを敬い、わたしに仕えなければならないことが、分かったのかね。それとも、おまえは夫に会いにきたのかい。あれは、かわいい妻のおかげで、ケガをさせられて、まだ寝ています。おまえは、いやらしい人間だから、うんと骨折仕事をしたうえでなければ、元通りに夫といっしょにさせることなどはできない。まず、おまえに家事むきの腕前を試すとしよう。」
女神は、プシュケに神殿の倉へゆくようにいいました。その倉の中には、女神のハトの餌にする、大麦や、小麦、キビや、エンドウ、インゲンマメや、レンズマメなど、山のように蓄えてられていました。
「この穀類をよりわけて、同じ種類のものを、ひとつの袋にまとめなさい。それを、日暮れまでに、しておおき。」
そういって、アプロディーテは出ていってしまいました。
プシュケはこの途方もない大仕事に、手もつけられず、ぼんやり、座っていました。
プシュケが途方にくれて、座っていると、エロスが、畑に住んでいるアリを、手伝いによこしてくれました。アリたちは穀物のつんであるところへゆき、せっせと、穀物を一粒一粒つかんでは、それぞれの袋によりわけてくれました。そして、仕事がすむと、あっというまに姿を消したのです。
夕方になって、アプロディーテは神々の宴会から帰ってきました。
見ると、仕事がちゃんと仕上がっています。
「うそつき娘め、これはおまえがした仕事じゃない。おまえに誘惑された、あれのしたことだろう。」
そういいながら、アプロディーテは、晩ごはんだけ与えて、行ってしまいました。
あくる朝、アプロディテはプシュケをよんで来させて、言いました。
「ごらん。あの川の向こう岸に、森が見えるだろう。あそこに、沢山の羊が放し飼いになっている。その羊に、黄金の毛がはえている。行って、金の毛を集めてきておくれ。」
プシュケは、力のおよぶかぎり、命じられたことをやってみる覚悟で、おとなしく川岸へゆきました。すると、川の神が、ささやきました。
「お気のどくな娘さん。向こう岸のおそろしい牡羊の所へ行ったりしてはいけません。朝日がさしている間は、羊がすごく気が立っていて、鋭い角や歯で人間を殺そうとしますからね。お昼ごろになって、羊が日陰にはいると、川の精が子守歌をうたって、羊を寝かしつけてしまいます。そうすればもう大丈夫ですから、川を渡っていってごらんなさい。やぶや、木の幹に金の羊毛がくっついているでしょう。」
プシュケは、川の神の教えてくれた通りにしました。そしてまもなく、腕一杯の金の羊毛を抱えて、アプロディーテのところへ帰ってゆきました。けれども、執念ぶかい女神は、まだ「よろしい」とはいいません。
「これもおまえのした仕事ではないだろう。わたしには、ちゃんと分かっている。だから、おまえが役に立つ人間かどうか、これだけでは、まだわからない。もう一つやってごらん。さあ、この箱を持って、よみの国へ行って来ておくれ。そして、ペルセポネーに、この箱をわたして、こう言いなさい。『わたくしのご主人のアプロディーテは、お子さんの看病で少しおやつれになりましたから、あなたさまの美しさを少々、分けていただきたいそうでございます。』とね。途中ぐずぐずしないで、行ってきておくれ。わたしは今夜、神々や女神たちの宴会へ行く前に、その美しさでお化粧しなければならないんだから。」
プシュケは、よみの国へ行かなければならなくなったので、いよいよ命はないものと覚悟しました。それで、どうせ死ぬなら、ひと思いに死んでしまおうと思って、高い塔にのぼり、そこから身を投げることにしました。こうするのが、よみの国へいく、一番の近道だと思ったのです。すると、塔の中から声がして、プシュケに言いました。
「不幸せな娘よ。なぜ、死のうとするのです。いつも、ふしぎな力の助けをこうむったおまえが、最後の試みにくじけてしまうとは、卑怯ではないか。」
それからその声が、ほら穴を通ってよみの国へいく道を教えてくれました。また、どうすれば、途中の危険をさけることができるが、どうすれば地獄の門の番をしている、三つ頭のケルベロスのそばを通れるか、どうすれば三途の川を渡してもらえるかなど、こまごまと教えてくれたのです。そして最後に
「ペルセポネーが、美をいれた箱をくれたら、けっしてそれをあけて見てはいけない。いくら見たくとも、女神たちの美の秘密をのぞいてはならないのです。これが、なにより一番大切なことです。」と、くれぐれもと戒めました。
プシュケはこの言葉に励まされて、教えられた通りに旅をしてゆき、無事よみの国につきました。そして、ペルセポネーの宮殿につくと、さっそくアプロディーテからのことづてを伝えました。すると、貴い宝を入れた箱が、プシュケにわたされました。プシュケはそれを持って、もと来た道を帰りましたが、明るい日の光のさす所へ出たときには、ほっとしました。
けれど、この危ない仕事も、上手くいったと思うと、急に、箱の中のものが見たくてたまらなくなってきました。
「この神聖な美を運ぶお使いをするわたしが、ちょっとぐらいなら、それをもらったって、悪くはないだろう。わたしはそれを塗って、すこしでも夫に美しく思われるようにしよう。」
そう思ったプシュケは、そっと箱をあけました。そこに入っていたのは、美ではなくて、よみの国の深い眠りでした。とじこめられていた眠りは、箱があいたので、飛びだしてきて、プシュケに取りつきました。プシュケは道に倒れて、死んだようになって眠ったのです。
エロスは傷がよくなったので、愛するプシュケと離れていられなくなってきました。ちょうど自分の部屋の窓が開いていたので、そのから飛びたち、プシュケの倒れている所へきました。そして、プシュケの体に取りついている眠りを集めて、元通りに箱に閉じこめると、プシュケを起こしました。
「おまえはまた例の好奇心で、もう少しで死んでしまうところだったね。さあ、とにかくおかあさんにいいつけられた仕事を、ちゃんとしておしまい。あとは、わたしがいいようにしてあげるから。」
それからエロスは、ゼウスの前に進み出て、プシュケと一緒になれるよう許しをこいました。ゼウスも、ふたりの為に熱心にアプロディーテを説得してくれたので、アプロディーテも、とうとう承知しました。そこで、ゼウスはヘルメスをつかわして、プシュケを、神々の集まっている天の広間へよびました。プシュケが来ると、ゼウスはアンブロシアという、神々の飲む酒をついだ杯を渡しました。
「プシュケよ、これを飲んで、不老不死の身となるがよい。ふたりともいつまでも仲よく暮らすがよい。」
こうして、プシュケは、ついにエロスの妻となったのです。

■コメあたーすでーす☆
本当ですか!?
ありがとうごさいます!!
m(_ _)m
まぢ助かりますっ☆
ヾ(^▽^)ノ