Print this Post Article Lists Back

【コラム】指導者に恵まれない国民(上)

 指導者は危機の際に輝くといっただろうか。今の大韓民国は危機の最中にある。世界が無限競争の中で既存の体制は揺らぎ、国民の生活がひどく苦しめられている。しかし、国民と国を危機から救う光が見えない。指導者らしい指導者がいないためだ。大統領と内閣、与野党の指導部、国会議長、そして前職大統領までもが国民の信頼に背いている。国民を失望させるだけでなく、むしろ政治ゲームに没頭してばかりだ。

 大統領が無気力で政権は国民の信頼を得られずにいる。大統領は毎日教科書通りの言葉を重ねるが、中身がなく力不足だ。米国産牛肉騒動以降、大統領は果断さと決断力を失い、国民は大統領に対する信頼を失い、野党と左派は大統領を見下し始めた。国会での暴力事態もそこに起因する。

 与党指導部は一言でいえば支離滅裂そのものだ。院外にいる党代表も無気力に見える。誰も彼を重視せず、まるで水の上に浮いた油のような存在だ。院内で党を率いる院内代表は172議席の多数政党を率いるのにつらそうな様子だ。進退ともに窮まった無能力の標本だ。

 与党内で最高の実力者は「党内野党」としての役割をあまりに意識しすぎなのか、野党に劣らぬ「反対者」に変身し、彼が与党なのか野党なのか分からなくなるときがある。党が混乱しているときには無関係なふりをして、土壇場に現れては自らが政界の後見役であるかのように裁判を行う。野党が悪法だといって暴力で阻止している与党法案を「国民に失望と苦痛を与える法律だ」と言って、一刀のもとに葬ってしまう。

 野党にも国民に希望と信頼を抱かせる指導者は見当たらない。野党の枠を超越し、国民と国家にとって何が利益になるのかを判断し、行動する政治家の姿は見えない。国会がどうしようもない混乱に陥り、野党議員の暴力で民生政治が「人質」に取られている状況で、野党指導部は李明博(イ・ミョンバク)大統領の批判にばかり没頭し、勝負にばかり執着している。破局の末、国会で勝利を祝い、記念撮影をする姿を見れば、国民は野党の存在理由を問わざるを得ない。指導者がいない野党では4年後を約束することはできない。

金大中(キム・デジュン)顧問

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る