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【コラム】指導者に恵まれない国民(下)

 国全体が政治家に怒り、苦痛を覚えているにもかかわらず、与野党の院内代表は昨日、あるテレビ番組に出演し、笑ったり歌ったりして互いをほめ合って評判を落とした。全国民が国会の無能と国会議員の暴力行為で泣きたい気持ちなのに、赤いシャツでネクタイを取り、肩を組み合う彼らは「国民はほえていればいい。それでもわれわれは行く」と言ったに等しい。彼らの図々しさに腹が立っても、無能だからあんな有様なんだろうと気の毒にさえなる。

 われわれは指導者に恵まれない国民なのか。世間が困難で未来が不透明であるほど、頼れる指導者が求められる。しかし、頼るどころか国民を失望させ、苦痛を与える政治家がはびこる世の中だ。世界はさらに厳しい生存競争の場となりつつあり、敵と同志の壁は崩れつつある。われわれには賢明で勇気ある指導者がさらに必要だ。

 そんな意味で今はチャンスでもある。既存の政治指導者をわれわれの未来の航路図から消し去り、新たな指導者または指導者グループを生み出さなければならない。米国がオバマ氏を選んだように。ある面、指導者は国民がつくり出すものであり、危機がその機会でもある。「ピープルズ・パワー」は4-5年に1回投票するだけで安住してはならない。事理にかなわない指導者に観念的かつ無条件に従うのではなく、新しい指導者を育てることに目を向けなければならない。そうしてこそ、既得権者たちが目を覚ますのかもしれない。

 そのためにはまず政治家専用の遊び場である国会から手を付けなければならない。国会の改善をむしろ混乱に追い込むような議員に任せておいては何もできない。市民団体が署名、請願を行い、国会に圧力をかけ、他律的に政治を正していかない限り、国会の改革と政治家の資質改善は望めない。

 大統領と現政権もそこから問題解決に取り組まなければならない。任期はまだ4年も残っている。ただ、地方選挙を考えると働ける時間はあまりない。いつまで無気力な政府のままでいるのか。政治を改善するために思い切った課題を投げかけるべきだ。発想を転換し、経済問題の後ろに隠れていないで、なすべき仕事をつくり出す「政治」に取り組むべきだ。

金大中(キム・デジュン)顧問

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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