「裁判員制度に賛成ですか?」。これから法律家になる司法修習生たちを対象にした調査で、回答者の過半数が「反対」と答えたことがわかった。一方、法律家になった後には「積極的にかかわる」との回答も半数を超え、新制度への戸惑いがうかがえる。
調査は修習生の有志が実施。結果は、京都市で11日に開かれた修習生主催の集会で発表された。全国の裁判所、検察庁、弁護士会で修習中の262人に昨年11〜12月に質問を配り、169人から回答を得た。
裁判員制度に「賛成」「どちらかといえば賛成」は合わせて75人。「反対」「どちらかといえば反対」は90人で「賛成」を上回った。反対理由は「法律家にも国民にも負担が大きすぎる」「拙速な裁判になる」などだった。
ただ、86人が修習を終えて法曹資格を得たあとには、裁判員裁判に「積極的にかかわりたい」と回答。「避けて通れない」「成功するかは自分たちの働きにかかっている」といった理由だった。
集会には、現役の弁護士や検察官が講師として参加。後藤貞人弁護士(大阪弁護士会)は「無罪を訴えている人の弁護をするのが、そんなに負担なのか?」と消極的な姿勢に活を入れた。元裁判官の安原浩弁護士(兵庫県弁護士会)も「新しい制度に不安があるのは当たり前。若い人にはチャレンジ精神を持ってほしい」とエールを送った。
集会の実行委員長を務めた神保大地さん(25)は「刑事裁判のやりがいは、これまでよりもある。不安もあるが、前向きにとらえたい」と話していた。(岩田清隆)