釜山のチャンポン。右が激辛、左が長崎に似た味=韓国・釜山
チャンポンを作る衣さん。いためる際に唐辛子をたっぷり入れる=韓国・釜山、伊東写す
発祥の地「四海楼」のチャンポン=長崎市松が枝町
長崎名物と言えば、チャンポン。ところが、海を隔てた韓国・釜山にもチャンポンがあると聞いた。同じもの? それとも全く別? 現地で食べてみた。
釜山駅の近くの中華街。十数軒ある中華料理店のほぼすべてで、チャンポンが食べられるという。
長崎市釜山事務所長の佐々木康夫さん(56)が紹介してくれた人気店「中南海(チュンナンヘ)」のメニューには「炒碼麺」とあり、ハングルで「チャンポン」とルビがふってあった。1杯5千ウォン(約360円)。
テーブルに並んだのは、スープの色が全く違う2杯。一つは長崎のものに似ているが、もう一つは真っ赤だ。
長崎に近い方を食べてみた。あっさりとしたスープだが、ニンニクが利いていて、長崎のものとはちょっと違う。めんはつるっとしたのどごし。エビやイカ、かまぼこ、タマネギ、タケノコ……。キャベツではなく、白菜を使い、干しナマコやフグ、マツタケも入っている。
赤いスープの方も、ひと口。辛い。思わずせき込み、汗が噴き出した。
社長兼料理長の衣建柱(ウィ・コンチュ)さん(52)によると、材料をいためるときに、レンゲ2杯分ほどの粉唐辛子を入れるという。客は二つの味から選べるが、韓国人の8割が辛い方を注文する。「韓国ではチャンポンは辛いものと思われている」
衣さんの父は中国・山東省から韓国に来て、ソウルの近くで中華料理店を営んでいた。チャンポンは、衣さんが幼いころから作っていた。衣さんは「山東省から韓国に来た華僑がその後、長崎に行ってチャンポンを広めたのでは」と話す。
だが、チャンポンは長崎発祥が定説だ。長崎市松が枝町の中華料理店「四海楼」の創業者、陳平順さんが1900年ごろ、中国人留学生のために知恵を絞って考え出したとされている。