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宇宙先進国入り目指す韓国(下)

 ロケットも新技術の宝庫だ。斗源重工業は、KSLV1号の第1段ロケットに利用されている特殊溶接と円錐形の容器を作るスピニング技術を、産業用の耐圧容器に活用している。トップエンジニアリングは、ロケットの統制・管制・シミュレーション技術を造船産業の船舶自動化シミュレーターに導入した。

 航空宇宙研究院の蔡連錫(チェ・ヨンソク)博士は、「宇宙技術は、宇宙という極限の状況に耐えられるように開発されたため試験しなくともすぐに産業面で活用できる。衛星の打ち上げ代行という新しい市場に進出すれば、波及効果は天文学的に高まる」と語った。

◆衛星打ち上げ代行の新市場を獲得せよ

 市場調査会社のユーロコンサルトによると、2007年以降10年間で733個の人工衛星が打ち上げられる予定になっており、1100億ドル(現在のレートで約10兆2100億円、以下同)の市場を形成するものと予想されている。開発途上国まで合わせた衛星開発国は40カ国余りに達する。Satrec‐i社は後発国の市場を積極的に攻略し、既に衛星で1000億ウォン(約70億円)の売り上げを達成した。

 衛星市場が広がれば、ロケットの需要も増える。ロケット市場は今後10年間で405億ドル(約3兆7590億円)規模になるものと推定されている。米国ボーイング社は、NASAの宇宙ロケット開発に参加して確保した技術を用い、独自の衛星打ち上げ代行事業を展開している。日本の三菱重工業も、宇宙航空研究開発機構(JAXA)からロケット開発と衛星打ち上げ代行事業を委託された。韓国では、大韓航空が宇宙開発チームを新設し、商用衛星を発射できる初の韓国産ロケットKSLV2号の開発に身を投じる準備を整えた。

 KSLV1号の開発には5098億ウォン(約360億円)、通信海洋気象衛星には3558億ウォン(約250億円)の費用が投入された。しかし産業研究所と大宇経済研究所によると、ロケットの波及効果は2兆9999億ウォン(約2120億円)、気象衛星の波及効果は4兆4551億ウォン(約3150億円)にも上るという。「金を食うカバ」どころか、「金の卵を産むガチョウ」というわけだ。

 問題は価格競争力。米国や日本、インド、中国が、既に後発国を狙った低価格の衛星打ち上げ産業の育成に着手しているからだ。そのため、韓国独自の戦略が必要な状況にある。

 航空宇宙研究院の趙光来(チョ・グァンレ)発射体事業団長は、「最近、重さ10キロにも満たないナノ人工衛星も脚光を浴びている。こうしたニッチ市場を積極的に攻略、開発すれば、韓国も成功できるだろう」と語った。また韓国科学財団のチャン・ヨングン博士は、「韓国国産ロケットのKSLV2号の開発に必要な技術を確保する計画を緻密(ちみつ)に立てなければならない。国内企業の参加を誘導する政府の積極的支援も必要不可欠となる」と語った。

■通信海洋気象衛星(CMOS)

 高度3万6000キロの上空で地球の自転速度と同じ速さで回り、地上から見るとあたかも宇宙の一点に静止しているかのように見える「静止軌道」衛星。衛星通信や海洋観測、気象情報収集機能を備えた韓国初の国産気象衛星だ。この衛星が稼動すれば、韓半島(朝鮮半島)の気象情報提供周期がこれまでの30分から7-8分に縮まる。

李永完(イ・ヨンワン)記者

大徳・高興=チョ・ホジン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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