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2009年1月11日

 漢字の読み間違いのほかに、麻生首相の妙な癖が気になる。国会答弁や会見で、「いかがなものか」を連発するのである

先の予算委員会でも、定額給付金を受給するのかを問われ、予算も通っていないのに答えるのは「いかがなものか」。ソマリア沖の海賊について、日本人が被害にあってから対策を準備するのは「いかがなものか」

あからさまにノーと言うのはぶしつけに過ぎる。疑問や危ぶむ気持ちを伝えることで、やんわり拒むという流儀である。首相ほど頻繁ではないが、国会審議では「いかがなものか」をよく耳にする。良識の府にふさわしい謙譲の美徳に満ちた業界用語なのだろう

もっとも、へりくだったあいまいな言葉からは、強い意思や自信は伝わってはこない。給付金の迷走を追及されても、身内から元大臣の造反が起きても「いかがなものか」では、論戦に緊張感が走るはずもない

政治家に言葉は大切である。が、聞きたいのは、へりくだりやお上品さでなく、威厳や威信に裏打ちされた言葉である。首相が率先して奇妙な言葉遣いをやめてほしいと願うが、いかがなものか。


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