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【私説・論説室から】

携帯禁止では解決しない

2009年1月11日

 何をいまさら、と思った人は多いのではないか。政府の教育再生懇談会が小中学生による携帯電話の学校持ち込みについて原則禁止を提言に盛り込もうとしていることだ。

 学校内で携帯電話を利用することはないし、すでに大抵の学校は持ち込みを認めていないはずだ。息子の中学校では生徒の所持が発覚した場合、すぐ教師が取り上げ、保護者が学校に出向いて携帯を引き取るというきまりになっている。

 携帯使用と言えば昨秋、中川昭一財務相が参院本会議中、閣僚席で与謝野馨経済財政担当相の携帯でワンセグ放送を見ていたことが問題になった。持ち込み禁止はまず国会からと言いたいところだが、そんなルールはできないし、設けても議員は守らないだろう。

 今や携帯は生活と切り離せない存在であり、子供にも当てはまる。ネットいじめは増え、有害サイトもなくならないが、これらは携帯を禁止したからといって解決する問題ではない。

 携帯の契約時に保護者はフィルタリング(閲覧制限)を設定すべきだし、学校や家庭でネット利用の危険性と合わせて適切なコミュニケーションのあり方を教えなければならない。

 何よりも気になるのは野放図状態のネット世界の方だ。携帯電話会社やプロバイダーに対し、違法サイトの削除義務を課すといった制度をつくる時期ではないか。業者側への規制が緩すぎる。 (桜井章夫)

 

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