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医療事故はこのようにして起きる

大谷憲史2009/01/10
献血が習慣となってしまった筆者だが先日、献血者の名前も確認もせず、他人のカルテに間違えて記録した医師に遭遇した。筆者の抗議で渋々、謝罪したが医療事故はこのようにして起こるケーススタディを見たような気がした。
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医療事故はこのようにして起きる |  これまで快適に献血を行ってきたが、今回のA医師の対応で足が遠のいてしまうのだろうか(08年6月 宮崎市高千穂通りの献血ルーム 筆者撮影)
 これまで快適に献血を行ってきたが、今回のA医師の対応で足が遠のいてしまうのだろうか(08年6月 宮崎市高千穂通りの献血ルーム 筆者撮影)
 市民記者として献血の現場を取材してから、2週間に1回の献血が習慣となってしまった。その献血ルームで、以前からちょっと気になることがあった。問題が起きるまでは、たいしたことではないと思い、献血ルームの職員に相談することはなかった。

 受付を済ませて、タッチパネル式の画面で過去の病歴等について答えることになっている。その後、検査用の採血を行い、医師による問診を受ける。

 献血ルームから委託された医師によって、受付番号と献血者の名前の確認や今日の健康状況について聞かれ、血圧測定を行うことになっている。

 これまで数名の医師から問診を受けている。仮にその名前をA医師としよう。A医師は、私が問診室に入りあいさつをしても知らん顔である。その人の人間性だから、相手にあいさつを強要することはできない。問題は、その後の行動である。他の医師は、受付番号とカルテの名前を確認するために、必ず献血者の名前を点呼している。カルテへの記入ミスを防ぐためである。医師として当然のことだろう。

 しかし、A医師はそのようなことはしない。もちろん、献血者の今日の健康状況の確認もしない。いきなり、血圧測定である。黙々と作業をこなし、カルテに記録。測定が終わった後は、「これから成分献血をしていただきますので、ロビーでお待ちください」なんて言葉は言わず、手で退室を促す。この約5分間、医師と献血者との間には、コミュニケーションは一切ない。たとえ短い時間であろうとも、他の医師は簡単な会話を交わすが、このA医師は、まったくもって無言。ちょっと異様ではあった。いつかトラブルが起きるのではないかとも思った……。

 1月8日、今年はじめての献血である。受付で簡単に新年のあいさつをして、ロビーで待っていた。しばらくして自分の番号が呼ばれたので、問診室に向かった。部屋にいたのは、あのA医師であった。「こんにちは」とあいさつをするも、返事なし。もちろん、受付番号と名前を確認することもない。腕を出して血圧を測定するだけ。「はい、血圧は正常ですよ。今日の健康状態はいかかですか」の問いかけもない。測定が終わったらいつものように、手で退室を促された。医師としての態度としてはいかがなものかと思ったが、その人の人間性だから仕方がないことである。

 献血室に入り、成分献血を行った。リクライニングのシートに座り、国会中継を見ること約30分。特に問題もなく献血は終わった。

 問題は、献血後の問診で起きた。献血後の問診を待っていたのは2人。私と女性である。いつものように受付番号や名前が呼ばれることはなく、A医師は、なんと手にしたカルテを持って私を手招きした。どうして名前を呼ばないのだろうと、少しいやな気分ではあった。黙々と血圧測定が始まった。A医師と私との距離は近く、机上には血圧測定器とカルテが見える。当然、献血前に測定した血圧の数値も見える。そのカルテに目をやると、献血前の測定値が違うではないか。上は「115」であったのが、カルテには「120」と書かれていた。当然、下の数値も違う。

 あきれたことに、カルテは私のではなく、女性のものであった。そのことをA医師に告げると、やっと口を開いた。「どうしてあなたがここにいるのですか!」と。

 当初、A医師は、私のせいにした。前の献血者の血圧測定が終わったから、問診室の待合イスに目をやると私がいた。問診室に入ってきた私が悪いという、あきれてしまうようなことを平気で話した。自分の非を認めようとはしなかった。

 あなたが勝手に入ってきたから、私が間違えて他の献血者のカルテに記入してしまった。だから、もう一度、血圧を測定すればいいじゃないかという考え方に、私は怒った。A医師による血圧測定を拒否し、抗議した。

 献血ルームの職員も姿を見せた。職員を前にしてA医師は、「私は大谷さんの番号と名前はきちんと呼んだ」と保身に回った。そして、カルテを問診室に持ってきた看護師が悪いと言い出した。フカフカのイスに深く腰を下ろした体を起こすこともなく、延々と言い訳を繰り返していた。はっきり言ってA医師の対応は、見苦しかった。

 献血ルームの職員は、「たとえ血圧測定であろうと、医師が献血者の名前を確認せず、他人のカルテに間違えて記録したことは、立派な医療ミスです」との認識を示す中、A医師は、「これは医療ミスではない。間違えたのだからもう一度測定すればいいじゃないか」という認識であった。

 果たしてそれでいいのだろうか。間違えたからもう一度行えば良いのだろうか。

 1月2日、大阪府茨木市の友紘会総合病院で、入院中の男性患者が栄養剤を誤って静脈に点滴された。担当した准看護師はチューブを勘違いし、別の准看護師がミスに気づいたものの、男性患者は亡くなった。

 人の命を救う病院で、医療関係者の「勘違い」で命を落としてしまう。間違えたからといってやり直すことはできない。遺族にすればさぞ悔しかったことだろう。

 今回の私の件は命を失うような大きな問題ではなかった。もう一度血圧測定を行い、カルテの記録を修正すれば良いだけのことであった。しかし、受付番号と献血者の名前を確認すること、きちんとコミュニケーションをとることは、医師として当然行うべきことである。

 業務中であとの献血者が待っていることもあり、やっとA医師はフカフカのイスから腰を上げ、私の前で謝罪したが頭を下げることはなかった。医師としてのプライドが許さなかったのだろう。

 ささいな問題なのかも知れないが、「医療事故はこのようにして起こります」というようなケーススタディを見たような気がした。

 これまで快適に献血を行ってきたが、今回のA医師の対応で足が遠のいてしまうのだろうか。(08年6月 宮崎市高千穂通りの献血ルーム 筆者撮影)

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