高松赤十字病院(高松市番町4)で05年1月、出産で入院していた同市の女性(当時30歳)が死亡し、生まれた長女も重度の障害が残ったのは、同病院の主治医らが帝王切開をすべき時にせず、注意義務を怠ったなどとして、女性の夫(34)ら遺族が先月10日、同病院を運営する日本赤十字社(東京都)と主治医を相手取り、約2億4600万円の損害賠償を求め高松地裁に提訴していた。
訴状によると、04年11月8日、女性は同病院で「全前置胎盤」の疑いと診断された。数回の診察の後、翌年1月6日(妊娠39週6日)に定期健診で来院した際、入院することとなったが、同日深夜、症状が急変し、翌未明に死亡した。羊水塞栓症で心停止に至ったという。長女は帝王切開で仮死状態で生まれ、蘇生処置後も脳に障害が残り、現在も24時間体制での看護や介護を必要としているという。原告側は、前置胎盤は羊水塞栓のハイリスク因子であり、リスクの高い出産となるため、妊娠37週あたりで帝王切開をすべきだったなどと主張している。
高松赤十字病院の佐藤克己・事務部長は「訴状をよく読んで、対応を検討したい」と話した。【吉田卓矢】
毎日新聞 2009年1月10日 地方版