「電子書籍後進国」に甘んじる韓国
今や電子書籍が世界的に普及しているが、韓国は「電子書籍後進国」に甘んじている。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、「世界最大のインターネット書店“アマゾン”が販売している電子ブックリーダー“アマゾン・キンドル”は在庫が底をついている状態だ」という。同紙は「アマゾンは正確な販売量を公表していないが、専門家たちは“キンドル”が最低でも26万台、最高で100万台ほど売れたとみている」と報じた。それだけ、米国では電子書籍が消費者の共感を得られたというわけだ。
昨年10月にドイツのフランクフルトで行われた「フランクフルト・ブックフェア(書籍見本市)」では、出展された作品全体の30%が電子書籍などのデジタルメディアで、ドイツ出版社・書籍販売店協会の会長は開会式の演説で「今や出版業界はe-book(電子書籍)の発展に、これ以上目を背けることはできなくなった」と述べた。CDからMP3に移行した音楽、フィルムからデジタルに移行した映画と同じように、書籍も今や紙からデジタルメディアに移行する日が到来しつつあるというわけだ。
「本は決して死なない。ただ、デジタル化するだけだ」
「アマゾン」のCEO(最高経営責任者)のジェフ・ベゾス氏は2007年11月、電子ブックリーダー「アマゾン・キンドル」を発売するに当たってこう述べた。「キンドル」は専用の端末機を利用して本や新聞、雑誌などを読むことができる電子書籍端末だ。
韓国でも、SKテレコムが2008年下半期の発売を目標に、「キンドル」のような電子ブックリーダーの開発を進めてきた。だが、SKテレコムの関係者は「テスト用の端末機は開発したものの、採算性や製造業界の状況など、さまざまな状況を見極めているところだ」と話している。
韓国で電子書籍の普及が進まない最も根本的な理由は、コンテンツを確保する上で問題が多いからだ。「アマゾン」は端末機だけでなく、インターネット・メディアや本の著作権も有しており、そうした機能を「キンドル」に搭載することができた。だが、韓国では著作権は出版社と著者が、端末機の製造・販売はメーカーが、インターネット・メディアは通信会社が独占しているため、これを一手に引き受ける主体が存在しない。
また、市場が狭いということも切実な問題だ。5000万人の国民のうち、本の主な購買層が20‐30代の女性に限定されている上、売れ行きが伸びている本も児童図書くらいしかない。
電子書籍はベストセラーだけでなく、あまり売れていない本も著作権を購入して販売できるようにしてこそ、成功する可能性が高まる。だが、韓国のこうした状況の中で、十分な利益を得られるという確信が持てない企業が、電子ブックリーダーの発売すらも躊躇(ちゅうちょ)しているのが現状だ。
キム・ギョンウン記者
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