阪大・京大・立命館大、アジア人留学生を企業幹部に育成──産学連携で独自プログラム

 
              
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阪大・京大・立命館大、アジア人留学生を企業幹部に育成──産学連携で独自プログラム

2009/01/09配信

外部の専門講師から講義を受けるアジア人留学生(立命館大学)
外部の専門講師から講義を受けるアジア人留学生(立命館大学)

大阪大学、京都大学、立命館大学は多数の大手企業と連携し、日本企業のアジア進出先拠点で幹部候補となるアジア人留学生の育成に乗り出した。大学院に留学生を受け入れ工学系専門科目を教えるほか、企業での実践的な就業体験などを通じ日本語や日本のビジネス習慣を身に付けさせる。欧米への留学志向が強い有能なアジア人学生を囲い込み、日本企業の中核人材に育てる。

 阪大はコマツ、IHI、シャープ、パナソニックなど10社と共同で「環境共生型ものづくり人材教育システム」を開発した。日本型経営、ものづくり実践論、環境共生技術などの授業や企業での1―2カ月間の就業体験を通じ、「専門性に加えて倫理観を兼ね備え、アジア拠点の立ち上げから運営まで担える人材を育てる」(工学研究科の座古勝特任教授)。

 京大は「産学協働型グローバル工学」をテーマにしたプログラムを開講した。留学生は社会基盤工学、電子工学など日本人学生と同じ専門分野のほか、日本企業の文化や製品・サービス、顧客に対する考え方、先端技術開発の事例を企業が派遣する講師らから学ぶ。

 工学研究科の椹木哲夫教授は「産業界の要望も取り入れながら、アジアで人材採用から研究開発まで統率できる即戦力を育成する」と狙いを語る。

 東芝、NEC、パナソニックがプログラム作成などで参画、京大工学研究科の支援組織で堀場製作所、オムロンなど約60社で組織する「京大工学桂会」も協力する。

 立命館大はIT(情報技術)分野に特化。ITソフトの開発力に加え、技術経営(MOT)の能力を備えた高度なIT技術者を養成する。パナソニック、オムロン、ニチコンなど8社が協力。課題を与えてソフトを開発したり、納期遅れへの対応など日本企業独自のきめ細かい仕事の手法を教えたりする。日本語は実用的なビジネス会話も交え、2年間で1000時間を講義する。

 阪大には2008年度は中国、韓国、ネパール出身の計10人が入学。京大には中国、韓国、マレーシア、インドから15人、立命館大にもベトナム、中国、インドから20人が参加している。

 各校とも経済産業省の「アジア人財資金構想」に基づき、2010年度まで留学生を募集。学生は修了後、日本企業への就職を条件に、国費留学生として奨学金を得る。授業料も免除される。11年度以降は、立命館大がIT関連企業から5億円をめどに「アジアIT人材育成基金」(仮称)を創設するなど各大学が独自資金で継続する。
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