経済大国アメリカに新大統領誕生 オバマ政権が日本企業に及ぼす影響とは?
―2009年はアメリカにオバマ大統領率いる民主党政権が誕生します。日本にはどういった影響があるのでしょうか?
アメリカの政権交代によって日本が経済的に受ける影響は、過去と比べて相対的に低下しています。日本は片思い的にアメリカの国内政治、外交政策に関して非常に大きなニュースとして扱っています。ただアメリカの方はまったくそう思っていないという状況です。
―それはなぜでしょう?
1980年代の日本の経済力はアメリカにとって脅威でした。しかし、クリントン政権の後半からは、日本よりも中国を重視するという政策にかじを切りました。共和党、民主党、どちらが政権を取っても、米中関係を中心にアジア戦略を立てるのには変わりはありません。以前は“ジャパンパッシング”といわれていましたが、今ではもはや“ナッシング”状態になりました。
―2009年以降、世界的に見ても日本の影響力は薄れるのでしょうか?
2008年のG20金融サミットでも、一国だけ置いていかれているといった印象を受けました。世界の景気対策の特効薬は内需拡大です。オバマ政権も2009年にはニューディール型公共投資でアメリカの内需拡大を狙っています。中国も57兆円規模の内需拡大策を発表しました。ヨーロッパでも、自国の資金を内需拡大のために市場に注入しています。しかし日本は、IMFに10兆円の融資をするなど的外れなことをやっている。今回の金融サミットでは、IMFを核とするブレトンウッズ体制を見直すのがテーマの一つのはずだったのにですよ。世界の流れに乗っていないんですね。
―二次補正予算を2009年に持ち越したことも悪影響を与えているのでしょうか?
世界からは、今回の金融危機に対して日本は危機感がないと思われています。そもそも、麻生さん自身が総裁選でも所信表明でも、景気対策優先を語っていたわけでしょう。市場は「この政権は景気対策をしっかりやらない」と判断した可能性もあります。これは日本経済にとってもマイナス要因ですね。