【発明の名称】 |
ペット遺言執行方法およびそのシステム、遺言執行サーバ、並びにプログラム |
【発明者】 |
【氏名】▲高▼本 治明
【氏名】薦田 誠
【氏名】大平 みはる
【氏名】菅野 淳
【氏名】三治 信一郎
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【要約】 |
【課題】飼主がペットに遺産を残すことができるペット遺言執行方法およびそのシステム、遺言執行サーバ、並びにプログラムを提供すること。
【解決手段】予めペットの個体識別情報(虹彩データ等)をデータベース41に記憶しておき、飼主の死亡後に新飼主がペット関連施設にペットを連れて行って買い物をする際には、個体識別情報入力手段23によりペットの個体識別情報を入力してこれを購買情報とともにペット関連施設端末装置20からネットワーク1を介して遺言執行サーバ30に送信し、認証手段31により個体識別情報に基づく認証処理を行った結果、本物のペットであると判断された場合にのみ、購入代金をペット専用口座51からペット関連施設名義の口座52へ引き落とす。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 飼主がペットのために残した財産を前記ペットのために用いられるようにするという内容の遺言またはこれに類する契約を執行または履行するペット遺言執行方法であって、 前記ペットのために用いられる前記財産を預けるペット専用口座を金融機関に設けるとともに、 前記遺言または前記契約により、前記飼主が死亡した場合には、前記ペット専用口座に預けられている前記財産が前記飼主から財産管理人に移転され、かつ、前記財産管理人は、前記ペットの新飼主が前記ペットを飼養するために必要な飼養費を前記財産から前記新飼主に対して支出する義務を負う旨を定めておき、 さらに、前記遺言の執行または前記契約の履行に必要なデータを管理する遺言執行サーバに接続された個体識別情報データベースに前記ペットの個体識別情報を記憶させておき、 前記飼主の死亡後に前記新飼主がペット関連施設に前記ペットを連れて行ってこのペット関連施設で前記ペットの飼養に必要な商品を購入し、または役務の提供を受ける際には、 前記ペット関連施設に設けられたペット関連施設端末装置に接続された個体識別情報入力手段により、前記ペット関連施設に連れて来られたペットの個体識別情報を入力した後、この入力した個体識別情報、並びに商品購入または役務提供に係る金額を含む購買情報を、前記ペット関連施設端末装置からネットワークを介して前記遺言執行サーバに送信し、 続いて、前記遺言執行サーバの認証手段により、前記個体識別情報データベースに予め記憶されている前記ペットの個体識別情報と、前記ペット関連施設端末装置から送信されてくる前記ペット関連施設に連れて来られたペットの個体識別情報とを比較し、前記ペット関連施設に連れて来られたペットが前記遺言の執行対象または前記契約の履行対象となるペットであるか否かを判断し、 前記ペット関連施設に連れて来られたペットが前記遺言の執行対象または前記契約の履行対象となるペットであると判断された場合にのみ、商品購入または役務提供に係る金額を前記財産管理人名義の前記ペット専用口座から前記ペット関連施設名義の口座へ引き落とすための引落要求信号をネットワークを介して前記金融機関の口座管理システムに送信する ことを特徴とするペット遺言執行方法。 【請求項2】 請求項1に記載のペット遺言執行方法において、 前記飼主の死亡後に前記新飼主が前記ペット関連施設に前記ペットを連れて行かずに、前記新飼主の立替払いにより前記ペット関連施設で前記ペットの飼養に必要な商品を購入し、または役務の提供を受ける際には、 前記新飼主からの支払いを受けた前記ペット関連施設の従事者の操作により、商品購入または役務提供に係る金額を含む購買情報を、前記ペット関連施設端末装置から前記遺言執行サーバに送信した後、前記遺言執行サーバで受信した前記購買情報を、前記遺言執行サーバに接続された購買情報記憶手段に記憶しておき、 その後、前記ペット関連施設以外の場所に設けられた前記新飼主の操作する新飼主端末装置により、前記購買情報記憶手段に記憶されている立替金回収の対象となる前記購買情報を指定し、かつ、前記新飼主端末装置に接続された個体識別情報入力手段により前記ペットの個体識別情報を入力した後、この入力した個体識別情報をネットワークを介して前記新飼主端末装置から前記遺言執行サーバに送信し、 続いて、前記遺言執行サーバの認証手段により、前記個体識別情報データベースに予め記憶されている前記ペットの個体識別情報と、前記新飼主端末装置から送信されてくる前記ペット関連施設以外の場所にいるペットの個体識別情報とを比較し、前記ペット関連施設以外の場所にいるペットが前記遺言の執行対象または前記契約の履行対象となるペットであるか否かを判断し、 前記ペット関連施設以外の場所にいるペットが前記遺言の執行対象または前記契約の履行対象となるペットであると判断された場合にのみ、前記購買情報記憶手段に記憶された前記購買情報に基づき、商品購入または役務提供に係る金額を前記財産管理人名義の前記ペット専用口座から前記新飼主名義の口座へ引き落とすための引落要求信号をネットワークを介して前記金融機関の口座管理システムに送信する ことを特徴とするペット遺言執行方法。 【請求項3】 飼主がペットのために残した財産を前記ペットのために用いられるようにするという内容の遺言またはこれに類する契約を執行または履行するペット遺言執行方法であって、 前記ペットのために用いられる前記財産を預けるペット専用口座を金融機関に設けるとともに、 前記遺言または前記契約により、前記飼主が死亡した場合には、前記ペット専用口座に預けられている前記財産が前記飼主から財産管理人に移転され、かつ、前記財産管理人は、前記ペットの新飼主が前記ペットを飼養するために必要な飼養費を前記財産から前記新飼主に対して支出する義務を負う旨を定めておき、 さらに、前記遺言の執行または前記契約の履行に必要なデータを管理する遺言執行サーバに接続された個体識別情報データベースに前記ペットの個体識別情報を記憶させておき、 前記飼主の死亡後に前記新飼主が前記ペット関連施設から前記ペットの飼養に必要な商品を購入し、または役務の提供を受けるための注文をネットワークを介して行う際には、 前記新飼主の操作する新飼主端末装置により、前記ペット関連施設が運用するペット関連施設サーバまたは前記遺言執行サーバから提供された注文入力フォームを用いて注文入力を行うとともに、前記新飼主端末装置に接続された個体識別情報入力手段により前記ペットの個体識別情報を入力した後、この入力した個体識別情報、および前記注文入力に係る金額を含む注文情報を、前記新飼主端末装置から前記ネットワークを介して前記遺言執行サーバに送信し、 続いて、前記遺言執行サーバの認証手段により、前記個体識別情報データベースに予め記憶されている前記ペットの個体識別情報と、前記新飼主端末装置から送信されてくる前記ペットの個体識別情報とを比較し、前記注文入力時に入力した個体識別情報を有するペットが前記遺言の執行対象または前記契約の履行対象となるペットであるか否かを判断し、 前記注文入力時に入力した個体識別情報を有するペットが前記遺言の執行対象または前記契約の履行対象となるペットであると判断された場合にのみ、前記注文入力に係る金額を前記財産管理人名義の前記ペット専用口座から前記ペット関連施設名義の口座へ引き落とすための引落要求信号をネットワークを介して前記金融機関の口座管理システムに送信する ことを特徴とするペット遺言執行方法。 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のペット遺言執行方法において、 前記個体識別情報には、虹彩データ、肉球データ、鼻紋データ、声紋データ、顔型データのうちの少なくとも一つのデータが含まれることを特徴とするペット遺言執行方法。 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のペット遺言執行方法において、 前記金融機関の前記口座管理システムに送信される前記引落要求信号は、前記遺言執行サーバの前記認証手段による判断結果に基づき前記遺言執行サーバの引落要求信号送信手段により自動的に送信されることを特徴とするペット遺言執行方法。 【請求項6】 飼主がペットのために残した財産を前記ペットのために用いられるようにするという内容の遺言またはこれに類する契約を執行または履行するペット遺言執行システムであって、 ペット関連施設に設けられたペット関連施設端末装置と、 このペット関連施設端末装置とネットワークで接続されて前記遺言の執行または前記契約の履行に必要なデータを管理する遺言執行サーバとを備え、 前記遺言または前記契約は、前記飼主が死亡した場合には、前記ペット専用口座に預けられている前記財産が前記飼主から財産管理人に移転され、かつ、前記財産管理人は、前記ペットの新飼主が前記ペットを飼養するために必要な飼養費を前記財産から前記新飼主に対して支出する義務を負う旨を定め、 前記ペット関連施設端末装置には、前記ペットの個体識別情報を入力する個体識別情報入力手段が接続され、この個体識別情報入力手段は、前記飼主の死亡後に前記新飼主が前記ペット関連施設に前記ペットを連れて行って前記ペット関連施設で前記ペットの飼養に必要な商品を購入し、または役務の提供を受ける際に用いられ、 前記ペット関連施設端末装置は、前記個体識別情報入力手段により入力された前記ペットの個体識別情報を前記遺言執行サーバに送信する個体識別情報送信手段と、前記ペット関連施設での商品購入または役務提供に係る金額を含む購買情報を前記遺言執行サーバに送信する購買情報送信手段とを含んで構成され、 前記遺言執行サーバには、前記ペットの個体識別情報を予め記憶させておく個体識別情報データベースが接続され、 前記遺言執行サーバは、前記ペット関連施設端末装置から前記ネットワークを介して送信されてくる前記個体識別情報と前記個体識別情報データベースに記憶されている前記個体識別情報とを比較することにより前記ペット関連施設に連れて来られたペットが前記遺言の執行対象または前記契約の履行対象となるペットであるか否かを判断する認証手段と、 この認証手段により前記ペット関連施設に連れて来られたペットが前記遺言の執行対象または前記契約の履行対象となるペットであると判断された場合にのみ、商品購入または役務提供に係る金額を前記財産管理人名義の前記ペット専用口座から前記ペット関連施設名義の口座へ引き落とすための引落要求信号をネットワークを介して前記金融機関の口座管理システムに送信する引落要求信号送信手段と を含んで構成されていることを特徴とするペット遺言執行システム。 【請求項7】 請求項6に記載のペット遺言執行システムにおいて、 前記遺言執行サーバには、前記遺言を執行し、または前記契約を履行させる遺言執行者となり得る者を記憶する遺言執行者データベースが接続され、 前記遺言執行サーバは、前記遺言執行者データベースを用いて前記遺言執行者を検索する遺言執行者検索手段を備えていることを特徴とするペット遺言執行システム。 【請求項8】 請求項6または7に記載のペット遺言執行システムにおいて、 前記遺言執行サーバには、前記遺言または前記契約の内容を記憶する遺言内容データベースと、血縁関係を含むペット同士の間の関係を記憶する家系図データベースとが接続され、 前記遺言執行サーバは、前記遺言の執行対象または前記契約の履行対象となるペットの死亡時に前記遺言内容データベースを用いて死亡したペットと親戚関係にあるペットへの前記財産の分配希望があるか否かを検索する遺言内容検索手段と、 この遺言内容検索手段により前記財産の分配希望があると判断された場合に前記家系図データベースを用いて前記財産を分配すべき前記親戚関係にあるペットを検索する親戚検索手段と を備えていることを特徴とするペット遺言執行システム。 【請求項9】 飼主がペットのために残した財産を前記ペットのために用いられるようにするという内容の遺言またはこれに類する契約を執行または履行するペット遺言執行システムを構成し、ペット関連施設に設けられたペット関連施設端末装置とネットワークで接続されて前記遺言の執行または前記契約の履行に必要なデータを管理する遺言執行サーバであって、 前記遺言または前記契約は、前記飼主が死亡した場合には、前記ペット専用口座に預けられている前記財産が前記飼主から財産管理人に移転され、かつ、前記財産管理人は、前記ペットの新飼主が前記ペットを飼養するために必要な飼養費を前記財産から前記新飼主に対して支出する義務を負う旨を定め、 前記ペットの個体識別情報を予め記憶させておく個体識別情報データベースが接続され、 前記飼主の死亡後に前記新飼主が前記ペット関連施設に前記ペットを連れて行って前記ペット関連施設で前記ペットの飼養に必要な商品を購入し、または役務の提供を受ける際に、前記ペット関連施設端末装置から前記ネットワークを介して送信されてくる前記個体識別情報と前記個体識別情報データベースに記憶されている前記個体識別情報とを比較することにより前記ペット関連施設に連れて来られたペットが前記遺言の執行対象または前記契約の履行対象となるペットであるか否かを判断する認証手段と、 この認証手段により前記ペット関連施設に連れて来られたペットが前記遺言の執行対象または前記契約の履行対象となるペットであると判断された場合にのみ、商品購入または役務提供に係る金額を前記財産管理人名義の前記ペット専用口座から前記ペット関連施設名義の口座へ引き落とすための引落要求信号をネットワークを介して前記金融機関の口座管理システムに送信する引落要求信号送信手段と を含んで構成されていることを特徴とする遺言執行サーバ。 【請求項10】 飼主がペットのために残した財産を前記ペットのために用いられるようにするという内容の遺言またはこれに類する契約を執行または履行するペット遺言執行システムとして、コンピュータを機能させるためのプログラムであって、 ペット関連施設に設けられたペット関連施設端末装置と、 このペット関連施設端末装置とネットワークで接続されて前記遺言の執行または前記契約の履行に必要なデータを管理する遺言執行サーバとを備え、 前記遺言または前記契約は、前記飼主が死亡した場合には、前記ペット専用口座に預けられている前記財産が前記飼主から財産管理人に移転され、かつ、前記財産管理人は、前記ペットの新飼主が前記ペットを飼養するために必要な飼養費を前記財産から前記新飼主に対して支出する義務を負う旨を定め、 前記ペット関連施設端末装置には、前記ペットの個体識別情報を入力する個体識別情報入力手段が接続され、この個体識別情報入力手段は、前記飼主の死亡後に前記新飼主が前記ペット関連施設に前記ペットを連れて行って前記ペット関連施設で前記ペットの飼養に必要な商品を購入し、または役務の提供を受ける際に用いられ、 前記ペット関連施設端末装置は、前記個体識別情報入力手段により入力された前記ペットの個体識別情報を前記遺言執行サーバに送信する個体識別情報送信手段と、前記ペット関連施設での商品購入または役務提供に係る金額を含む購買情報を前記遺言執行サーバに送信する購買情報送信手段とを含んで構成され、 前記遺言執行サーバには、前記ペットの個体識別情報を予め記憶させておく個体識別情報データベースが接続され、 前記遺言執行サーバは、前記ペット関連施設端末装置から前記ネットワークを介して送信されてくる前記個体識別情報と前記個体識別情報データベースに記憶されている前記個体識別情報とを比較することにより前記ペット関連施設に連れて来られたペットが前記遺言の執行対象または前記契約の履行対象となるペットであるか否かを判断する認証手段と、 この認証手段により前記ペット関連施設に連れて来られたペットが前記遺言の執行対象または前記契約の履行対象となるペットであると判断された場合にのみ、商品購入または役務提供に係る金額を前記財産管理人名義の前記ペット専用口座から前記ペット関連施設名義の口座へ引き落とすための引落要求信号をネットワークを介して前記金融機関の口座管理システムに送信する引落要求信号送信手段と を含んで構成されていることを特徴とするペット遺言執行システムとして、コンピュータを機能させるためのプログラム。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、飼主がペットのために残した財産をペットのために用いられるようにするという内容の遺言またはこれに類する契約を執行または履行するペット遺言執行方法およびそのシステム、遺言執行サーバ、並びにプログラムに係り、飼主が死亡した場合には、ペット専用口座に預けられている財産が飼主から財産管理人に移転され、かつ、財産管理人は、ペットの新飼主がペットを飼養するために必要な飼養費を財産から新飼主に対して支出する義務を負う旨を定めた遺言またはこれに類する契約を執行または履行する際に利用できる。 【0002】 【背景技術】 従来より、自分の飼っているペットに遺産を残すことを希望する飼主は多い。ところで、ある地区の行政書士に対する相談件数の第一位は相続、遺言であり、また、近年、ペットを飼う者が増えてきている。このため、ペットへの遺産の相続に関する相談も増えてくるものと考えられる。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、現行法上、動物は物として扱われているため、相続権は存在せず、飼主の希望があったとしても、ペットに遺産を残すことはできないという問題があった。従って、実質的に飼主がペットに遺産を残すことができるようなシステムの開発が望まれるところである。 【0004】 本発明の目的は、飼主がペットに遺産を残すことができるペット遺言執行方法およびそのシステム、遺言執行サーバ、並びにプログラムを提供するところにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】 本発明は、飼主がペットのために残した財産をペットのために用いられるようにするという内容の遺言またはこれに類する契約を執行または履行するペット遺言執行方法であって、ペットのために用いられる財産を預けるペット専用口座を金融機関に設けるとともに、遺言または契約により、飼主が死亡した場合には、ペット専用口座に預けられている財産が飼主から財産管理人に移転され、かつ、財産管理人は、ペットの新飼主がペットを飼養するために必要な飼養費を前記財産から新飼主に対して支出する義務を負う旨を定めておき、さらに、遺言の執行または契約の履行に必要なデータを管理する遺言執行サーバに接続された個体識別情報データベースにペットの個体識別情報を記憶させておき、飼主の死亡後に新飼主がペット関連施設にペットを連れて行ってこのペット関連施設でペットの飼養に必要な商品を購入し、または役務の提供を受ける際には、ペット関連施設に設けられたペット関連施設端末装置に接続された個体識別情報入力手段により、ペット関連施設に連れて来られたペットの個体識別情報を入力した後、この入力した個体識別情報、並びに商品購入または役務提供に係る金額を含む購買情報を、ペット関連施設端末装置からネットワークを介して遺言執行サーバに送信し、続いて、遺言執行サーバの認証手段により、個体識別情報データベースに予め記憶されているペットの個体識別情報と、ペット関連施設端末装置から送信されてくるペット関連施設に連れて来られたペットの個体識別情報とを比較し、ペット関連施設に連れて来られたペットが遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットであるか否かを判断し、ペット関連施設に連れて来られたペットが遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットであると判断された場合にのみ、商品購入または役務提供に係る金額を財産管理人名義のペット専用口座からペット関連施設名義の口座へ引き落とすための引落要求信号をネットワークを介して金融機関の口座管理システムに送信することを特徴とするものである。 【0006】 ここで、「財産管理人」は、法人であってもよく、個人であってもよいが、不正の未然防止や透明性の確保等の観点から、高い信用力のある団体、例えば愛犬協会等の公益法人などであることが好ましい。また、「財産管理人」は、「遺言執行サーバ」を運用・管理・維持する遺言執行補助者と一致していてもよい。 【0007】 そして、「ペット関連施設名義の口座」とは、口座に預けられた預金を実質的にペット関連施設が受け取れるようになっていればよい趣旨であり、例えば、形式的な名義がペット関連施設の上位団体、下位団体、親会社、子会社、関連会社、フランチャイザー、フランチャイジー、親戚等になっていてもよい。「財産管理人名義のペット専用口座」および後述する「新飼主名義の口座」についても同様であり、実質的に財産管理人や新飼主が受け取れるようになっていればよい。 【0008】 また、「金融機関」とは、必ずしも銀行や証券会社等である必要はなく、例えば、郵便局や電子プリペイド管理センター等も含まれ、「口座」とは、銀行、証券会社、郵便局等の口座だけではなく、例えば、電子プリペイド管理センターの管理する電子財布等であってもよい。 【0009】 さらに、「ペット関連施設」とは、「商品」を取り扱う施設として、例えば、ペットフードやペット用品等を販売するペットショップ、あるいは「役務」を提供する施設として、例えば、獣医がペットの診断や治療を行うペットの病院、ペットへの予防注射を行う保健所、ペットの入浴や散髪等の手入れを行うペットヘルスセンター等である。 【0010】 そして、「ネットワーク」には、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット、あるいはこれらの組合せ等、様々な形態のものが含まれ、有線であるか無線であるか、さらには有線および無線の混在型であるかは問わず、要するに、複数地点(距離の長短は問わない。)間で、ある程度の速度をもって情報を伝送することができるものであればよい。他の発明においても同様である。 【0011】 また、「個体識別情報」とは、ペットの身体的特徴を示すデータであり、そのペットが本来的に有しているそのペットに固有のデータである。従って、ペットに対して人為的に付与された英数字の組合せ等による識別番号は、本発明における「個体識別情報」には含まれない。但し、インプラントチップデータは、インプラントチップがペットの体内に埋め込まれており、不正交換等が困難であるため、ペットの身体的特徴を示すデータとして捉えて本発明における「個体識別情報」に含まれるものとする。なお、人為的に付与された英数字の組合せ等による識別番号は、身体的特徴を示すデータと併用して認証処理に用いるのであれば、使用してもよい。 【0012】 「個体識別情報」としては、例えば、虹彩データ、肉球データ、鼻紋データ、声紋データ、顔型データ、DNAデータ、インプラントチップデータ、血液データ、歯形または嘴形データ、臭い成分データ、唾液データ、毛色若しくは毛質を含む体毛または羽データ、骨格データ、体液濃度データ、鱗データ、角データ、皮膚データ、ほくろデータ、耳あか成分データ、爪データ、耳の形状データ、排泄物データ、胃の内容物データ、舌データ、生体エネルギーデータ、生体電気データ、行動データ、あるいはこれらの組合せ等が挙げられる。 【0013】 このような本発明のペット遺言執行方法においては、新飼主がペット関連施設で商品を購入し、または役務の提供を受けた場合に、その代金の支払いは、財産管理人名義のペット専用口座からペット関連施設名義の口座への預金の引き落としにより行われる。この際、預金の引き落としは、遺言執行サーバの認証手段により、個体識別情報に基づき、ペット関連施設に連れて来られたペットが、遺言の執行対象または契約の履行対象となる本物のペットであることが確認された場合にのみ実行される。 【0014】 このため、遺言の執行対象または契約の履行対象となる本物のペットがいなければ、ペット関連施設へ支払う代金を財産管理人名義のペット専用口座から引き落とすことができないので、例えば、他のペットのために財産を使用する、あるいはペットを殺してしまって財産だけを受けとる等の不正行為を未然に防止することが可能となり、遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットのためにのみ飼主の残した財産が使われるようになる。 【0015】 また、飼主の残した財産は、新飼主に直接に移転されるのではなく、先ず、財産管理人に移転され、財産管理人から新飼主の行為に対して支出される形が採られているので、上述したような不正行為の防止効果がより一層確実に得られるようになるうえ、遺言執行のしくみに対する信用力がより一層高まる。 【0016】 従って、財産が確実にペットのために使われ、かつ、財産が確実に相続されるようにし、さらに、ペットをわざと殺すというようなモラルリスクを排除するという三つの要請を満足させることが可能となり、これらにより前記目的が達成される。 【0017】 また、前述したペット遺言執行方法において、飼主の死亡後に新飼主がペット関連施設にペットを連れて行かずに、新飼主の立替払いによりペット関連施設でペットの飼養に必要な商品を購入し、または役務の提供を受ける際には、新飼主からの支払いを受けたペット関連施設の従事者の操作により、商品購入または役務提供に係る金額を含む購買情報を、ペット関連施設端末装置から遺言執行サーバに送信した後、遺言執行サーバで受信した購買情報を、遺言執行サーバに接続された購買情報記憶手段に記憶しておき、その後、ペット関連施設以外の場所に設けられた新飼主の操作する新飼主端末装置により、購買情報記憶手段に記憶されている立替金回収の対象となる購買情報を指定し、かつ、新飼主端末装置に接続された個体識別情報入力手段によりペットの個体識別情報を入力した後、この入力した個体識別情報をネットワークを介して新飼主端末装置から遺言執行サーバに送信し、続いて、遺言執行サーバの認証手段により、個体識別情報データベースに予め記憶されているペットの個体識別情報と、新飼主端末装置から送信されてくるペット関連施設以外の場所にいるペットの個体識別情報とを比較し、ペット関連施設以外の場所にいるペットが遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットであるか否かを判断し、ペット関連施設以外の場所にいるペットが遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットであると判断された場合にのみ、購買情報記憶手段に記憶された購買情報に基づき、商品購入または役務提供に係る金額を財産管理人名義のペット専用口座から新飼主名義の口座へ引き落とすための引落要求信号をネットワークを介して金融機関の口座管理システムに送信するようにしてもよい。 【0018】 ここで、「新飼主の立替払い」には、例えば、現金、小切手、クレジットカード等による支払いが含まれる。 【0019】 このように新飼主端末装置から遺言執行サーバに個体識別情報を送信するようにした場合には、ペット関連施設で商品を購入し、または役務の提供を受けた後に、例えば自宅に帰る等、ペット関連施設以外の場所に移動し、そこにいるペットの個体識別情報を遺言執行サーバに送信することができるようになる。 【0020】 このため、新飼主は、ペット関連施設にペットを連れて行かなくても、事後的に遺言執行サーバによる認証処理を経ることができ、ペット関連施設へ支払った代金を財産管理人名義のペット専用口座から引き落とすことが可能となる。この際、ペット関連施設は、その場で新飼主の立替払いにより商品販売または役務提供に対する対価を得ることができるので、ペット関連施設に損失が生じるおそれはなく、一方、新飼主は、事後的に遺言執行サーバによる認証処理を経れば、立替払いをした代金を回収することができるので、不正行為をしない限り新飼主に損失が生じるおそれはない。 【0021】 さらに、本発明は、飼主がペットのために残した財産をペットのために用いられるようにするという内容の遺言またはこれに類する契約を執行または履行するペット遺言執行方法であって、ペットのために用いられる財産を預けるペット専用口座を金融機関に設けるとともに、遺言または契約により、飼主が死亡した場合には、ペット専用口座に預けられている財産が飼主から財産管理人に移転され、かつ、財産管理人は、ペットの新飼主がペットを飼養するために必要な飼養費を前記財産から新飼主に対して支出する義務を負う旨を定めておき、さらに、遺言の執行または契約の履行に必要なデータを管理する遺言執行サーバに接続された個体識別情報データベースにペットの個体識別情報を記憶させておき、飼主の死亡後に新飼主がペット関連施設からペットの飼養に必要な商品を購入し、または役務の提供を受けるための注文をネットワークを介して行う際には、新飼主の操作する新飼主端末装置により、ペット関連施設が運用するペット関連施設サーバまたは遺言執行サーバから提供された注文入力フォームを用いて注文入力を行うとともに、新飼主端末装置に接続された個体識別情報入力手段によりペットの個体識別情報を入力した後、この入力した個体識別情報、および注文入力に係る金額を含む注文情報を、新飼主端末装置からネットワークを介して遺言執行サーバに送信し、続いて、遺言執行サーバの認証手段により、個体識別情報データベースに予め記憶されているペットの個体識別情報と、新飼主端末装置から送信されてくるペットの個体識別情報とを比較し、注文入力時に入力した個体識別情報を有するペットが遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットであるか否かを判断し、注文入力時に入力した個体識別情報を有するペットが遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットであると判断された場合にのみ、注文入力に係る金額を財産管理人名義のペット専用口座からペット関連施設名義の口座へ引き落とすための引落要求信号をネットワークを介して金融機関の口座管理システムに送信することを特徴とするものである。 【0022】 ここで、「ペット関連施設が運用するペット関連施設サーバまたは遺言執行サーバから提供された注文入力フォーム」とは、ネットワークを介してペット関連施設サーバまたは遺言執行サーバから新飼主端末装置にダウンロードしたものであってもよく、あるいは、ペット関連施設または遺言執行サーバを運用・管理・維持する遺言執行補助者により作成されたCD−ROM等の記録媒体から新飼主端末装置に入力したものであってもよい。 【0023】 また、新飼主端末装置からネットワークを介して遺言執行サーバに送信される「個体識別情報」および「注文情報」は、新飼主端末装置から直接に遺言執行サーバに送信されてもよく、新飼主端末装置からペット関連施設サーバを経由して遺言執行サーバに送信されてもよい。 【0024】 さらに、「注文情報」が新飼主端末装置から直接に遺言執行サーバに送信されるようにする場合には、遺言執行サーバからペット関連施設サーバに「注文情報」が転送されるようにしてもよく、あるいは新飼主端末装置から遺言執行サーバとペット関連施設サーバとに並行して「注文情報」が送信されるようにしてもよい。要するに、「注文情報」は、金融機関の口座管理システムへ引落要求信号を送信するにあたって注文入力に係る金額(引き落とす金額)を遺言執行サーバで把握している必要があるため、遺言執行サーバに送信されなければならず、また、ペット関連施設が商品の発送等をして注文を実行するにあたって注文内容をペット関連施設サーバで把握している必要があるため、ペット関連施設サーバに送信されなければならない。 【0025】 このような本発明のペット遺言執行方法においては、新飼主がペット関連施設から商品を購入し、または役務の提供を受ける際には、新飼主端末装置からネットワークを介して注文を行う。そして、注文に係る代金の支払いは、財産管理人名義のペット専用口座からペット関連施設名義の口座への預金の引き落としにより行われる。この際、預金の引き落としは、遺言執行サーバの認証手段により、個体識別情報に基づき、注文入力時に入力した個体識別情報を有するペットが、遺言の執行対象または契約の履行対象となる本物のペットであることが確認された場合にのみ実行される。なお、ペット関連施設は、自己名義の口座への引き落としを確認してから注文を実行すればよく、このようにすればペット関連施設が損失を被るおそれはなくなる。 【0026】 このため、遺言の執行対象または契約の履行対象となる本物のペットがいなければ、ペット関連施設へ支払う代金を財産管理人名義のペット専用口座から引き落とすことができないので、例えば、他のペットのために財産を使用する、あるいはペットを殺してしまって財産だけを受けとる等の不正行為を未然に防止することが可能となり、遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットのためにのみ飼主の残した財産が使われるようになる。 【0027】 また、飼主の残した財産は、新飼主に直接に移転されるのではなく、先ず、財産管理人に移転され、財産管理人から新飼主の行為に対して支出される形が採られているので、上述したような不正行為の防止効果がより一層確実に得られるようになるうえ、遺言執行のしくみに対する信用力がより一層高まる。 【0028】 従って、財産が確実にペットのために使われ、かつ、財産が確実に相続されるようにし、さらに、ペットをわざと殺すというようなモラルリスクを排除するという三つの要請を満足させることが可能となり、これらにより前記目的が達成される。 【0029】 また、前述したように「個体識別情報」には、各種の身体的特徴を示すデータを採用することができるが、特に、次のようにすることが好ましい。すなわち、以上に述べたペット遺言執行方法において、個体識別情報には、虹彩データ、肉球データ、鼻紋データ、声紋データ、顔型データのうちの少なくとも一つのデータが含まれることが好ましい。 【0030】 ここで、「少なくとも一つ」であるから、複数種類のデータを組み合わせて認証処理に用いるようにしてもよい。 【0031】 このように虹彩データ、肉球データ、鼻紋データ、声紋データ、顔型データを認証処理に用いるようにした場合には、これらのデータが、その場で直ぐに採取でき、かつ、通信に適した量のデータであるので、認証の確実性が得られることに加え、処理時間の短縮や利用者の利便性の向上も図られる。 【0032】 さらに、以上に述べたペット遺言執行方法において、金融機関の口座管理システムに送信される引落要求信号は、遺言執行サーバの認証手段による判断結果に基づき遺言執行サーバの引落要求信号送信手段により自動的に送信されるようにすることが好ましい。 【0033】 このように引落要求信号が遺言執行サーバの引落要求信号送信手段により自動送信されるようにした場合には、遺言執行サーバを運用・管理・維持する遺言執行補助者が遺言執行サーバの認証手段による判断結果を参照して手動で引落要求信号を送信する場合に比べ、遺言執行補助者の手間の軽減が図られるうえ、遺言執行サーバによる認証処理と金融機関の口座管理システムによる引落処理とのタイムラグを無くすことができるので、処理時間の短縮が図られる。 【0034】 そして、以上に述べた本発明のペット遺言執行方法を実現するためのシステムとして、以下のような本発明のペット遺言執行システムを挙げることができる。 【0035】 すなわち、本発明は、飼主がペットのために残した財産をペットのために用いられるようにするという内容の遺言またはこれに類する契約を執行または履行するペット遺言執行システムであって、ペット関連施設に設けられたペット関連施設端末装置と、このペット関連施設端末装置とネットワークで接続されて遺言の執行または契約の履行に必要なデータを管理する遺言執行サーバとを備え、遺言または契約は、飼主が死亡した場合には、ペット専用口座に預けられている財産が飼主から財産管理人に移転され、かつ、財産管理人は、ペットの新飼主がペットを飼養するために必要な飼養費を前記財産から新飼主に対して支出する義務を負う旨を定め、ペット関連施設端末装置には、ペットの個体識別情報を入力する個体識別情報入力手段が接続され、この個体識別情報入力手段は、飼主の死亡後に新飼主がペット関連施設にペットを連れて行ってペット関連施設でペットの飼養に必要な商品を購入し、または役務の提供を受ける際に用いられ、ペット関連施設端末装置は、個体識別情報入力手段により入力されたペットの個体識別情報を遺言執行サーバに送信する個体識別情報送信手段と、ペット関連施設での商品購入または役務提供に係る金額を含む購買情報を遺言執行サーバに送信する購買情報送信手段とを含んで構成され、遺言執行サーバには、ペットの個体識別情報を予め記憶させておく個体識別情報データベースが接続され、遺言執行サーバは、ペット関連施設端末装置からネットワークを介して送信されてくる個体識別情報と個体識別情報データベースに記憶されている個体識別情報とを比較することによりペット関連施設に連れて来られたペットが遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットであるか否かを判断する認証手段と、この認証手段によりペット関連施設に連れて来られたペットが遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットであると判断された場合にのみ、商品購入または役務提供に係る金額を財産管理人名義のペット専用口座からペット関連施設名義の口座へ引き落とすための引落要求信号をネットワークを介して金融機関の口座管理システムに送信する引落要求信号送信手段とを含んで構成されていることを特徴とするものである。 【0036】 このような本発明のペット遺言執行システムにおいては、前述した本発明のペット遺言執行方法で得られる作用・効果がそのまま得られるため、財産が確実にペットのために使われ、かつ、財産が確実に相続されるようにし、さらに、ペットをわざと殺すというようなモラルリスクを排除するという三つの要請を満足させることが可能となり、これらにより前記目的が達成される。 【0037】 また、前述したペット遺言執行システムにおいて、遺言執行サーバには、遺言を執行し、または契約を履行させる遺言執行者となり得る者を記憶する遺言執行者データベースが接続され、遺言執行サーバは、遺言執行者データベースを用いて遺言執行者を検索する遺言執行者検索手段を備えていることが望ましい。 【0038】 ここで、遺言執行者とは、遺言執行について責任を負える立場の者であることが好ましく、例えば、行政書士が好適であるが、その他に、弁護士や医師等であってもよい。 【0039】 このように遺言執行者データベースおよび遺言執行者検索手段を設けた場合には、最適な遺言執行者の候補者を選定することが可能となる。なお、遺言執行者の候補者の選定処理は、遺言執行サーバを運用・管理・維持する遺言執行補助者が行うことが好ましい。 【0040】 さらに、前述したペット遺言執行システムにおいて、遺言執行サーバには、遺言または契約の内容を記憶する遺言内容データベースと、血縁関係を含むペット同士の間の関係を記憶する家系図データベースとが接続され、遺言執行サーバは、遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットの死亡時に遺言内容データベースを用いて死亡したペットと親戚関係にあるペットへの財産の分配希望があるか否かを検索する遺言内容検索手段と、この遺言内容検索手段により財産の分配希望があると判断された場合に家系図データベースを用いて財産を分配すべき親戚関係にあるペットを検索する親戚検索手段とを備えていることが望ましい。 【0041】 このように遺言内容データベース、家系図データベース、遺言内容検索手段、親戚検索手段を設けた場合には、ペットが死亡した場合には親戚関係にあるペットに財産を分配したいという希望が飼主にある場合には、その飼主の希望を実現することが可能となる。 【0042】 また、本発明は、飼主がペットのために残した財産をペットのために用いられるようにするという内容の遺言またはこれに類する契約を執行または履行するペット遺言執行システムを構成し、ペット関連施設に設けられたペット関連施設端末装置とネットワークで接続されて遺言の執行または契約の履行に必要なデータを管理する遺言執行サーバであって、遺言または契約は、飼主が死亡した場合には、ペット専用口座に預けられている財産が飼主から財産管理人に移転され、かつ、財産管理人は、ペットの新飼主がペットを飼養するために必要な飼養費を前記財産から新飼主に対して支出する義務を負う旨を定め、ペットの個体識別情報を予め記憶させておく個体識別情報データベースが接続され、飼主の死亡後に新飼主がペット関連施設にペットを連れて行ってペット関連施設でペットの飼養に必要な商品を購入し、または役務の提供を受ける際に、ペット関連施設端末装置からネットワークを介して送信されてくる個体識別情報と個体識別情報データベースに記憶されている個体識別情報とを比較することによりペット関連施設に連れて来られたペットが遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットであるか否かを判断する認証手段と、この認証手段によりペット関連施設に連れて来られたペットが遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットであると判断された場合にのみ、商品購入または役務提供に係る金額を財産管理人名義のペット専用口座からペット関連施設名義の口座へ引き落とすための引落要求信号をネットワークを介して金融機関の口座管理システムに送信する引落要求信号送信手段とを含んで構成されていることを特徴とするものである。 【0043】 さらに、本発明は、飼主がペットのために残した財産をペットのために用いられるようにするという内容の遺言またはこれに類する契約を執行または履行するペット遺言執行システムとして、コンピュータを機能させるためのプログラムであって、ペット関連施設に設けられたペット関連施設端末装置と、このペット関連施設端末装置とネットワークで接続されて遺言の執行または契約の履行に必要なデータを管理する遺言執行サーバとを備え、遺言または契約は、飼主が死亡した場合には、ペット専用口座に預けられている財産が飼主から財産管理人に移転され、かつ、財産管理人は、ペットの新飼主がペットを飼養するために必要な飼養費を前記財産から新飼主に対して支出する義務を負う旨を定め、ペット関連施設端末装置には、ペットの個体識別情報を入力する個体識別情報入力手段が接続され、この個体識別情報入力手段は、飼主の死亡後に新飼主がペット関連施設にペットを連れて行ってペット関連施設でペットの飼養に必要な商品を購入し、または役務の提供を受ける際に用いられ、ペット関連施設端末装置は、個体識別情報入力手段により入力されたペットの個体識別情報を遺言執行サーバに送信する個体識別情報送信手段と、ペット関連施設での商品購入または役務提供に係る金額を含む購買情報を遺言執行サーバに送信する購買情報送信手段とを含んで構成され、遺言執行サーバには、ペットの個体識別情報を予め記憶させておく個体識別情報データベースが接続され、遺言執行サーバは、ペット関連施設端末装置からネットワークを介して送信されてくる個体識別情報と個体識別情報データベースに記憶されている個体識別情報とを比較することによりペット関連施設に連れて来られたペットが遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットであるか否かを判断する認証手段と、この認証手段によりペット関連施設に連れて来られたペットが遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットであると判断された場合にのみ、商品購入または役務提供に係る金額を財産管理人名義のペット専用口座からペット関連施設名義の口座へ引き落とすための引落要求信号をネットワークを介して金融機関の口座管理システムに送信する引落要求信号送信手段とを含んで構成されていることを特徴とするペット遺言執行システムとして、コンピュータを機能させるためのものである。 【0044】 なお、以上に述べたプログラムまたはその一部は、例えば、光磁気ディスク(MO)、コンパクトディスク(CD)を利用した読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)を利用した読出し専用メモリ(DVD−ROM)、DVDを利用したランダム・アクセス・メモリ(DVD−RAM)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去および書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)等の記録媒体に記録して保存や流通等させることが可能であるとともに、例えば、LAN、MAN、WAN、インターネット、イントラネット、エクストラネット等の有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにはこれらの組合せ等の伝送媒体を用いて伝送することが可能であり、また、搬送波に載せて搬送することも可能である。さらに、以上に述べたプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。 【0045】 また、以上の各発明において、ペット関連施設端末装置および新飼主端末装置は、主としてコンピュータにより実現されるが、これに限定されるものではなく、例えば、携帯電話機(パーソナル・ハンディフォーン・システム(PHS)も含む。)、パーソナル・デジタル・アシスタンス(PDA)、電子手帳、ゲーム機、腕時計、デジタル・テレビ等であっても、中央演算処理装置(CPU)の性能、画面の解像度、記憶手段の容量等が本発明に適するものであれば採用することができる。 【0046】 さらに、以上の各発明において、遺言執行サーバは、一台のコンピュータあるいは一つのCPUにより実現されるものに限定されず、複数のコンピュータ等で分散処理を行うことにより実現されるものであってもよい。 【0047】 【発明の実施の形態】 以下に本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1には、本実施形態のペット遺言執行システム10の全体構成が示されている。図2には、遺言書の一例が示され、図3および図4には、契約書の一例が示されている。また、図5〜図7には、システム10により遺言を執行し、または契約を履行する際の処理の流れが示されている。さらに、図8には、飼主死亡後に新飼主が面倒を見ているペットが死亡した場合の処理の流れが示されている。 【0048】 図1において、ペット遺言執行システム10は、例えばペットショップ等のペット関連施設に設けられた一つまたは複数のペット関連施設端末装置20と、このペット関連施設端末装置20とネットワーク1で接続されて遺言の執行または契約の履行に必要なデータを管理する遺言執行サーバ30とを備えている。 【0049】 ネットワーク1は、本実施形態では、主としてインターネットにより構成されているが、これに限定されるものではない。 【0050】 ペット関連施設端末装置20は、ペット関連施設の従事者(経営者、従業員、パート、アルバイト、派遣社員等、ペット関連施設で働く者の全てを含む。)により操作される端末装置であり、個体識別情報送信手段21と、購買情報送信手段22とを含んで構成されている。また、ペット関連施設端末装置20には、ペットの個体識別情報を入力する個体識別情報入力手段23が接続されている。なお、ペット関連施設端末装置20は、一つのペット関連施設について複数個設けられていてもよい。 【0051】 個体識別情報送信手段21は、個体識別情報入力手段23を用いて入力されて取り込まれたペットの個体識別情報を、遺言執行サーバ30に送信するものである。 【0052】 購買情報送信手段22は、ペット関連施設での商品購入または役務提供に係る金額を含む購買情報を、遺言執行サーバ30に送信するものである。 【0053】 個体識別情報入力手段23は、主として飼主の死亡後に新飼主がペット関連施設にペットを連れて行ってペット関連施設でペットの飼養に必要な商品を購入し、または役務の提供を受ける際に用いられるものである。なお、飼主が生前にペット関連施設にペットを連れて行ってペット関連施設でペットの飼養に必要な商品を購入し、または役務の提供を受ける際に用いてもよい。個体識別情報としては、虹彩データ、肉球データ、鼻紋データ、声紋データ、顔型データ、あるいはこれらのデータの組合せ等を採用することができる。 【0054】 遺言執行サーバ30は、本システム10を統轄管理して遺言の執行または契約の履行を補助する遺言執行補助者により運用・管理・維持されるものであり、認証手段31と、引落要求信号送信手段32と、遺言執行者検索手段33と、遺言内容検索手段34と、親戚検索手段35とを含んで構成されている。また、遺言執行サーバ30には、遺言の執行または契約の履行に必要なデータを記憶する遺言執行データベース40が接続されている。 【0055】 そして、遺言執行データベース40は、個体識別情報データベース41と、遺言執行者データベース42と、遺言内容データベース43と、家系図データベース44と、購買情報記憶手段45とを含んで構成されている。 【0056】 認証手段31は、ペット関連施設端末装置20からネットワーク1を介して送信されてくる個体識別情報と、個体識別情報データベース41に記憶されている個体識別情報とを比較することにより、ペット関連施設に連れて来られたペットが遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットであるか否かを判断するものである。この判断は、飼主の死亡後に新飼主がペット関連施設にペットを連れて行ってこのペット関連施設でペットの飼養に必要な商品を購入し、または役務の提供を受ける際に行われるか、あるいは、生前に飼主がペット関連施設にペットを連れて行ってこのペット関連施設でペットの飼養に必要な商品を購入し、または役務の提供を受ける際に行われる。 【0057】 また、認証手段31は、個体識別情報データベース41に予め記憶されているペットの個体識別情報と、新飼主端末装置60から送信されてくるペット関連施設以外の場所(例えば、新飼主の自宅等)にいるペットの個体識別情報とを比較することにより、ペット関連施設以外の場所にいるペットが遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットであるか否かを判断するものでもある。この判断は、飼主の死亡後に新飼主がペット関連施設にペットを連れて行かずに、新飼主の立替払いによりペット関連施設でペットの飼養に必要な商品を購入し、または役務の提供を受ける際に行われる。 【0058】 引落要求信号送信手段32は、認証手段31によりペット関連施設に連れて来られたペットが遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットであると判断された場合にのみ、商品購入または役務提供に係る金額を財産管理人名義のペット専用口座51からペット関連施設名義の口座52へ引き落とすための引落要求信号を、ネットワーク1を介して金融機関の口座管理システム50に送信するものである。この送信は、飼主の死亡後に新飼主がペット関連施設にペットを連れて行ってこのペット関連施設でペットの飼養に必要な商品を購入し、または役務の提供を受ける際に行われるか、あるいは、生前に飼主がペット関連施設にペットを連れて行ってこのペット関連施設でペットの飼養に必要な商品を購入し、または役務の提供を受ける際に行われる。 【0059】 また、引落要求信号送信手段32は、新飼主端末装置60の設置場所、すなわちペット関連施設以外の場所(例えば、新飼主の自宅等)にいるペットが遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットであると判断された場合にのみ、購買情報記憶手段45に記憶された購買情報に基づき、商品購入または役務提供に係る金額を財産管理人名義のペット専用口座51から新飼主名義の口座53へ引き落とすための引落要求信号を、ネットワーク1を介して金融機関の口座管理システム50に送信するものでもある。この送信は、飼主の死亡後に新飼主がペット関連施設にペットを連れて行かずに、新飼主の立替払いによりペット関連施設でペットの飼養に必要な商品を購入し、または役務の提供を受ける際に行われる。 【0060】 遺言執行者検索手段33は、遺言執行者データベース42を用いて遺言執行者を検索する処理を行うものである。これにより遺言執行者として最適な行政書士等の候補者が選定される。 【0061】 遺言内容検索手段34は、遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットの死亡時に、遺言内容データベース43を用いて、死亡したペットと親戚関係にあるペットへの財産の分配希望があるか否かを検索する処理を行うものである。 【0062】 親戚検索手段35は、遺言内容検索手段34により財産の分配希望があると判断された場合に、家系図データベース44を用いて、財産を分配すべき親戚関係にあるペットを検索する処理を行うものである。 【0063】 個体識別情報データベース41は、ペットの個体識別情報を予め記憶させておくものである。この個体識別情報データベース41への個体識別情報の登録は、飼主により生前に行われる。個体識別情報の登録対象となるペットは、遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットである。 【0064】 遺言執行者データベース42は、遺言を執行し、または契約を履行させる遺言執行者となり得る者を記憶するものである。この遺言執行者データベース42には、各地域の行政書士、弁護士、医師等が登録されている。 【0065】 遺言内容データベース43は、遺言または契約の内容を記憶するものである。 【0066】 家系図データベース44は、血縁関係を含むペット同士の間の関係を記憶するものである。 【0067】 購買情報記憶手段45は、飼主の死亡後に新飼主がペット関連施設にペットを連れて行かずに、新飼主の立替払いによりペット関連施設でペットの飼養に必要な商品を購入し、または役務の提供を受ける際に、新飼主からの支払いを受けたペット関連施設の従事者の操作によりペット関連施設端末装置20から送信されてきて遺言執行サーバ30で受信した購買情報(商品購入または役務提供に係る金額を含む。)を記憶しておくものである。 【0068】 さらに、ネットワーク1には、一つまたは複数の金融機関の口座管理システム50と、一つまたは複数の新飼主端末装置60と、一つまたは複数の飼主端末装置70と、一つまたは複数のペット関連施設サーバ80と、遺言執行者端末装置である一つまたは複数の行政書士端末装置90と、一つまたは複数の遺言執行補助者端末装置100とが接続されている。 【0069】 金融機関の口座管理システム50は、ペットのためにのみ用いられる財産を預けるペット専用口座51から、ペット関連施設名義の口座52または新飼主名義の口座53への預金の引き落とし処理を行うものであり、金融機関の既存のシステムを用いることができる。ペット専用口座51の名義は、遺言または契約に基づき、飼主の死亡時に飼主から財産管理人に変更される。 【0070】 新飼主端末装置60は、飼主死亡後にペットを引き取った新飼主が操作する端末装置である。この新飼主端末装置60には、ペットの個体識別情報を入力する個体識別情報入力手段23と同様な個体識別情報入力手段61が接続されている。なお、個体識別情報入力手段61の設置は省略してもよい。 【0071】 飼主端末装置70は、生前の飼主が操作する端末装置である。この飼主端末装置70には、ペットの個体識別情報を入力する個体識別情報入力手段23と同様な個体識別情報入力手段71が接続されている。なお、個体識別情報入力手段71の設置は省略してもよい。 【0072】 ペット関連施設サーバ80は、ペット関連施設が運用・管理・維持するサーバであり、そのペット関連施設で販売される商品または提供される役務についての注文入力を行うための注文入力フォームを利用者(新飼主や生前の飼主)の要求に応じて送信し、また、利用者により入力された注文情報を受信するものである。 【0073】 行政書士端末装置90は、遺言執行者である行政書士が操作する端末装置である。なお、図示は省略されているが、この他に、ネットワーク1には、遺言執行者である弁護士が操作する弁護士端末装置等が接続されていてもよい。 【0074】 遺言執行補助者端末装置100は、遺言執行サーバ30を運用・管理・維持する遺言執行補助者が操作する端末装置である。この遺言執行補助者端末装置100には、ペットの個体識別情報を入力する個体識別情報入力手段23と同様な個体識別情報入力手段101が接続されている。なお、個体識別情報入力手段101の設置は省略してもよい。 【0075】 そして、ペット関連施設端末装置20、新飼主端末装置60、飼主端末装置70、行政書士端末装置90、および遺言執行補助者端末装置100は、主としてコンピュータにより実現されるが、これに限定されるものではなく、例えば、携帯電話機やPDA等であってもよい。また、これらの端末装置20,60,70,90,100は、次のような入力手段、表示手段、出力手段を適宜備えている。 【0076】 入力手段としては、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、ライトペン、トラックパッド、トラックポイント、タブレットおよびスタイラス、ジョイスティック、音声認識装置、あるいはこれらの組合せ等、各種のものを採用することができる。 【0077】 表示手段としては、例えば、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、ECL(エレクトロケミルミネッセンス)ディスプレイ、プロジェクタおよびスクリーン、あるいはこれらの組合せ等を採用することができる。 【0078】 出力手段としては、プリンタ、プロッタ、あるいはこれらの組合せ等を採用することができる。 【0079】 遺言執行サーバ30およびペット関連施設サーバ80は、一台のコンピュータあるいは一つのCPUにより実現されるものに限定されず、複数のコンピュータ等で分散処理を行うことにより実現されるものであってもよい。 【0080】 遺言執行サーバ30の各手段31〜35およびペット関連施設端末装置20の各手段21,22は、遺言執行サーバ30およびペット関連施設端末装置20を構成する各コンピュータ本体(パーソナル・コンピュータのみならず、その上位機種のものも含む。)の内部に設けられた中央演算処理装置(CPU)、およびこのCPUの動作手順を規定する一つまたは複数のプログラムにより実現される。 【0081】 遺言執行データベース40を構成する各データベース41〜44、購買情報記憶手段45、および図示されない他のデータベースや記憶手段は、例えばハードディスク等により好適に実現されるが、記憶容量やアクセス速度等に問題が生じない範囲であれば、ROM、EEPROM、フラッシュ・メモリ、RAM、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、FD、磁気テープ、あるいはこれらの組合せ等を採用してもよい。 【0082】 このような本実施形態においては、以下のようにしてペット遺言執行システム10により、飼主がペットのために残した財産をペットのために用いられるようにするという内容の遺言またはこれに類する契約を執行または履行する。 【0083】 先ず、自分の飼っているペットに遺産を残したいと考える飼主は、飼主端末装置70を用いてネットワーク1を介して遺言執行サーバ30にアクセスすることによりペット遺言執行システム10を使用するための諸手続を行うとともに、ペットのために用いられる財産を預けるペット専用口座51を金融機関に開設する。 【0084】 すなわち、飼主は、飼主端末装置70を操作してペット遺言執行システム10を使用するための新規登録フォームを遺言執行サーバ30からダウンロードし、飼主端末装置70の表示手段に表示された新規登録フォームに従い、飼主基本情報を入力する。飼主基本情報とは、例えば、飼主の氏名、年齢、職業、住所、電話番号、ファクシミリ番号、電子メールアドレス、ペットの種類、名前、性別、使用したい金融機関やその支店、口座種別、口座名義等である。また、飼主は、飼主端末装置70に接続された個体識別情報入力手段71によりペットの個体識別情報(例えば、虹彩データや肉球データ等)を入力する。 【0085】 そして、これらの入力した飼主基本情報および個体識別情報を、ネットワーク1を介して遺言執行サーバ30に送信する。遺言執行サーバ30では、受信した飼主基本情報および個体識別情報について入力チェックを行い、入力が不備な場合には、再入力の要求信号を飼主端末装置70に送信する。一方、入力が正しい場合には、遺言執行サーバ30は、飼主基本情報および個体識別情報を遺言執行データベース40の図示されない飼主基本情報データベースおよび個体識別情報データベース41に記憶する。 【0086】 なお、飼主端末装置70に個体識別情報入力手段71が接続されていない場合には、飼主は、遺言執行サーバ30を運用・管理・維持する遺言執行補助者のもとにペットを連れて行き、個体識別情報の登録を依頼することができる。この依頼を受けた遺言執行補助者は、遺言執行補助者端末装置100に接続された個体識別情報入力手段101により、そのペットの個体識別情報を入力し、これを遺言執行サーバ30へ送信して個体識別情報データベース41への登録を行う。 【0087】 さらに、飼主は、自ら金融機関に出向き、口座開設作業を自ら行ってもよいが、遺言執行補助者に、作業の少なくとも一部を代行してもらう依頼をしてもよい。この依頼を受けた遺言執行補助者は、遺言執行サーバ30で受信した飼主基本情報に基づき作業を代行する。 【0088】 その後、金融機関から口座番号を付与されるので、遺言執行補助者は、この口座番号を遺言執行データベース40の飼主基本情報データベースに記憶させる。そして、以上の処理が全て終了した時点で、遺言執行補助者は、遺言執行補助者端末装置100を操作して電子メールにより飼主に新規登録の処理が完了した旨を通知する。飼主は、飼主端末装置70の画面上で、この通知内容を確認することができる。なお、電子メールの他に、郵便、ファクシミリ、電話等による通知を併用してもよい。 【0089】 次に、飼主は、ペット専用口座51に適宜入金を行い、ペットのための預金の積立を行う。入金処理は、飼主が金融機関の現金自動預け払い機(ATM)により行ってもよく、飼主端末装置70を操作してネットワーク1を介して行ってもよい。また、飼主は、いつでも飼主端末装置70からネットワーク1を介してペット専用口座51の残金を確認することができる。なお、遺言執行サーバ30と金融機関の口座管理システム50との間で信号の送受信が行われる都度に、遺言執行データベース40にペット専用口座51の残金を記憶しておき、遺言執行サーバ30で口座の残金を把握できるようにしておいてもよい。 【0090】 また、飼主は、生前はいつでも金融機関に解約申込をしてペット専用口座51を解約し、ペットのために積み立てた預金を別の用途に用いることができる。この口座解約作業は、飼主が自ら行ってもよいが、前述した口座開設作業の場合と同様に、遺言執行補助者に作業の少なくとも一部を代行してもらう依頼をしてもよい。この依頼は、飼主端末装置70を操作してネットワーク1を介して遺言執行サーバ30にアクセスすることにより行うことができるが、この際、飼主端末装置70から口座番号の入力や個体識別情報入力手段71による個体識別情報の入力を行うようにし、遺言執行サーバ30で個体識別情報データベース41を用いて入力情報の検索確認を行うようにすることが好ましい。そして、この依頼を受けた遺言執行補助者は、遺言執行データベース40に記憶されている飼主基本情報および口座番号に基づき作業を代行する。なお、ペット専用口座51の預金は、口座を解約しない限り、飼主といえども後述する遺言執行サーバ30による認証処理(図5参照)を経なければ使うことができない。 【0091】 続いて、飼主は、遺言作成作業を行う。すなわち、飼主は、飼主端末装置70を操作して遺言作成申込の要求信号を遺言執行サーバ30に送信し、遺言執行サーバ30から遺言作成フォームをダウンロードし、飼主端末装置70の表示手段に表示された遺言作成フォームに従い、遺言書またはこれに類する契約書の作成に必要となる事項を入力する。入力事項としては、個体識別情報および口座番号並びに遺言内容である。なお、飼主端末装置70に個体識別情報入力手段71が接続されていない場合等には、飼主が遺言執行補助者のもとに出向き、遺言作成に必要な諸手続を行ってもよい。 【0092】 遺言執行サーバ30では、飼主端末装置70で入力された情報を受信すると、その入力情報をチェックし、口座番号が欠如している場合には、口座作成を促す信号を飼主端末装置70に送信し、入力情報が正しい場合には、遺言内容データベース43に遺言内容を記憶させる。 【0093】 さらに、遺言執行補助者は、遺言執行補助者端末装置100を操作し、遺言執行者検索手段33により遺言執行者データベース42を用いて最適な遺言執行者の候補者を検索して選定する。ここでは、例えば行政書士を選定するものとする。 【0094】 それから、遺言執行補助者は、遺言執行補助者端末装置100を操作し、選定した遺言執行者の候補者である行政書士に対し、遺言執行データベース40に記憶されている依頼人(遺言者)の情報、遺言内容、質問フォームを電子メールで送信する。行政書士は、行政書士端末装置90の画面上で、この送信内容を確認することができる。なお、電子メールの他に、郵便、ファクシミリ、電話等による通知を併用してもよい。 【0095】 その後、行政書士は、行政書士端末装置90を操作し、依頼人(遺言者)である飼主に対し、質問フォームで入力した質問および自己の連絡先を、電子メールで送信する。飼主は、飼主端末装置70の画面上で、この送信内容を確認することができる。なお、電子メールの他に、郵便、ファクシミリ、電話等による通知を併用してもよい。 【0096】 そして、飼主は、紙による遺言書または契約書を実際に作成する作業に入る。遺言書または契約書に記載すべき事項は、既に入力されて遺言執行データベース40に記憶されている情報に基づき、遺言執行サーバ30により自動的に作成されるので、飼主は、遺言書を作成する場合には、この自動作成された遺言書記載事項を飼主端末装置70の画面上に表示するか、または飼主端末装置70の出力手段で印刷し、これを参考にして遺言書を自筆して作成する。一方、契約書を作成する場合には、自動作成された契約書記載事項を飼主端末装置70の出力手段で印刷し、これに押印して契約書を作成する。 【0097】 このようにして作成される遺言書または契約書の一例が、図2〜図4に示されている。これらの遺言書または契約書は、いずれも飼主(ここでは、一例として犬飼太郎となっている。)が死亡した場合には、ペット専用口座51に預けられている財産が飼主から財産管理人(ここでは、一例として財団法人東京愛犬協会となっている。)に移転され、かつ、財産管理人は、ペットの新飼主(ここでは、一例として猫目好子となっている。)がペットを飼養するために必要な飼養費を前記財産から新飼主に対して支出する義務を負う旨を定めている。 【0098】 図2において、遺言書2には、負担付遺贈を定める遺言主要事項記載部2Aと、財産の表示部2Bと、ペットの表示部2Cと、新飼主を指定する場合における新飼主指定部2Dまたは新飼主を指定しない場合における新飼主指定委託部2Eと、遺言執行者指定部2Fとが設けられている。なお、この遺言書2は、負担付遺贈(民法1002条)の規定を適用して記載されているので、負担が実行されない場合には、相続人(死亡した飼主の家族等)に取消権が与えられる。従って、財産管理人(公益法人等)は、飼主から遺贈された財産をペットのために使うようになる。 【0099】 図3において、負担付死因贈与契約書3には、負担付死因贈与を定める契約主要事項記載部3Aと、財産の表示部3Bと、ペットの表示部3Cと、新飼主を指定しない場合における新飼主指定委託部3Dと、遺言執行者指定部3Eとが設けられている。 【0100】 図4において、死因贈与契約書4には、新飼主を指定する場合における死因贈与を定める契約主要事項記載部4Aと、ペットの表示部4Bと、契約を履行させる執行者指定部4Cとが設けられている。 【0101】 なお、指定された新飼主が、ペットの引き受けを拒否した場合には、行政書士等の遺言執行者が責任を持ってペットの引き受け先を探すことになる。この際、遺言執行サーバ30を運用・管理・維持する遺言執行補助者は、行政書士等の遺言執行者の要請を受け、引き受け先探しの技術協力をする。 【0102】 以上の準備が整った後に、飼主が死亡した場合には、金融機関のペット専用口座51の名義が、遺言または契約に従って、飼主から財産管理人に変更される。なお、飼主の死亡情報は、ネットワーク1を介して遺言執行サーバ30により収集することができる他、遺言執行者や遺言執行補助者が伝え聞き等により収集してもよい。 【0103】 そして、遺言執行補助者は、金融機関による口座名義の変更処理を確認した後、遺言執行補助者端末装置100を操作して遺言執行サーバ30にアクセスし、口座名義変更に対応するデータの変更処理を行って遺言執行データベース40に変更後のデータを保存する。さらに、遺言執行補助者は、口座名義変更に対応するデータの変更処理を完了した後、遺言執行補助者端末装置100を操作し、新飼主に対し、口座名義の変更が行われた旨を電子メールで通知する。新飼主は、新飼主端末装置60の画面上で、この通知内容を確認することができる。なお、電子メールの他に、郵便、ファクシミリ、電話等による通知を併用してもよい。 【0104】 次に、飼主の死亡後に、新飼主がペット関連施設にペットを連れて行ってこのペット関連施設でペットの飼養に必要な商品を購入し、または役務の提供を受ける際の処理の流れを説明する。なお、生前に、飼主がペット関連施設にペットを連れて行ってこのペット関連施設でペットの飼養に必要な商品を購入し、または役務の提供を受ける際の処理の流れも同様である。 【0105】 図5において、新飼主は、ペット関連施設でペットの飼養に必要な商品を購入し、または役務の提供を受ける際には、ペット関連施設端末装置20に接続された個体識別情報入力手段23を用いて、ペット関連施設に連れて行ったペットの個体識別情報をペット関連施設端末装置20に入力し、かつ、パスワードも入力する。なお、個体識別情報の入力作業は、ペット関連施設の従事者に代行してもらってもよい。さらに、ペット関連施設の従事者は、ペット関連施設端末装置20に商品購入または役務提供に係る金額を含む購買情報を入力する(ステップS1)。 【0106】 これらの入力された個体識別情報および購買情報は、個体識別情報送信手段21および購買情報送信手段22により、ネットワーク1を介して遺言執行サーバ30に送信される(ステップS2)。 【0107】 遺言執行サーバ30では、認証手段31により、ペット関連施設端末装置20から受信した個体識別情報と、個体識別情報データベース41に予め記憶されている個体識別情報とを比較し、ペット関連施設に連れて来られたペットが、遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットであるか否かを判断する(ステップS3)。 【0108】 ここで、ペット関連施設に連れて来られたペットが、遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットであると判断された場合には、引落要求信号送信手段32により、ペット関連施設端末装置20から受信した商品購入または役務提供に係る金額をペット専用口座51から引き落とすための引落要求信号を、ネットワーク1を介して金融機関の口座管理システム50に送信する(ステップS4)。 【0109】 口座管理システム50は、遺言執行サーバ30から送信されてきた引落要求信号を受信すると、財産管理人名義のペット専用口座51からペット関連施設名義の口座52への預金の引き落とし処理を行う(ステップS5)。これにより、ペット関連施設は、新飼主に対して販売した商品(若しくはこれから販売する商品)または提供した役務(若しくはこれから提供する役務)についての代金を受け取ることができる。 【0110】 なお、認証手段31による判断結果は、直ぐに遺言執行サーバ30からペット関連施設端末装置20に送信されるので、ペット関連施設は、認証手段31による判断結果をペット関連施設端末装置20の画面上で確認してから、つまり遺言執行サーバ30から口座管理システム50へ引落要求信号が送信されたことを確認してから、新飼主に対し、実際に商品の引き渡し、または役務の提供を行うことができる。さらには、ペット専用口座51からペット関連施設名義の口座52への引き落とし処理が行われた旨の信号が、口座管理システム50から遺言執行サーバ30を介してペット関連施設端末装置20に送信されるようにしておけば、ペット関連施設は、商行為を行うにあたり、より一層の安心感を得ることができる。 【0111】 一方、ステップS3の認証処理で、認証手段31により、ペット関連施設に連れて来られたペットが、遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットでないと判断された場合には、引落要求信号は送信されず、口座管理システム50によるペット専用口座51からの引き落とし処理は行われない。従って、新飼主は、ペット専用口座51の預金を使うことができないので、自ら代金を支払うか、あるいは商品の購入または役務の提供を受けることを諦めなければならない。 【0112】 次に、飼主の死亡後に、新飼主がペット関連施設にペットを連れて行かずに、新飼主の立替払いによりペット関連施設でペットの飼養に必要な商品を購入し、または役務の提供を受ける際の処理の流れを説明する。 【0113】 図6において、新飼主は、ペット関連施設でペットの飼養に必要な商品を購入し、または役務の提供を受ける際には、ペットを連れて来ていない状況では、その場で認証手段31による認証を受けることはできないので、立替払いにより商品を購入し、または役務の提供を受ける。立替払いは、現金、小切手、クレジットカード等のいずれの支払い方法でもよく、要するに、認証手段31による認証処理を経なくてもペット関連施設がその場で代金を受けとれることが確信できればよい。 【0114】 新飼主からの支払いを受けたペット関連施設の従事者は、ペット関連施設端末装置20を操作し、商品購入または役務提供に係る金額を含む購買情報を、ペット関連施設端末装置20に入力する(ステップS11)。すると、入力された購買情報は、購買情報送信手段22により、ペット関連施設端末装置20からネットワーク1を介して遺言執行サーバ30に送信され(ステップS12)、遺言執行サーバ30は、受信した購買情報を購買情報記憶手段45に保存する(ステップS13)。 【0115】 その後、新飼主は、自分の自宅等に戻り、新飼主端末装置60を操作し、購買情報記憶手段45に記憶されている立替金回収の対象となる購買情報(つまり、どの買い物についてペット専用口座51の預金を使いたいのかという情報)を指定する作業を行う。この際、購買情報記憶手段45には、各時期における各ペット関連施設での購買情報が記憶されているので、新飼主は、その中のいずれかの購買情報を指定する。この購買情報の指定は、例えば、購買情報記憶手段45に記憶されている複数の購買情報を新飼主端末装置60の画面上に表示し、その画面上での選択指定で行ってもよく、あるいは買い物時にペット関連施設で受け取った買い物番号(ペット関連施設端末装置20から遺言執行サーバ30に購買情報を送信したときに、遺言執行サーバ30から返信されてくる番号)を新飼主端末装置60に入力して遺言執行サーバ30に送信すること等により行うことができる。また、新飼主は、新飼主端末装置60に接続された個体識別情報入力手段61により、その場にいるペットの個体識別情報を入力し(ステップS14)、かつ、パスワードも入力する。 【0116】 これらの入力された個体識別情報および購買情報の指定信号は、新飼主端末装置60からネットワーク1を介して遺言執行サーバ30に送信される(ステップS15)。 【0117】 遺言執行サーバ30では、認証手段31により、新飼主端末装置60から受信した個体識別情報と、個体識別情報データベース41に予め記憶されている個体識別情報とを比較し、新飼主端末装置60の設置場所(新飼主の自宅等)にいるペットが、遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットであるか否かを判断する(ステップS16)。 【0118】 ここで、新飼主端末装置60の設置場所にいるペットが、遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットであると判断された場合には、引落要求信号送信手段32により、購買情報として購買情報記憶手段45に記憶されている商品購入または役務提供に係る金額をペット専用口座51から引き落とすための引落要求信号を、ネットワーク1を介して金融機関の口座管理システム50に送信する(ステップS17)。 【0119】 口座管理システム50は、遺言執行サーバ30から送信されてきた引落要求信号を受信すると、財産管理人名義のペット専用口座51から新飼主名義の口座53への預金の引き落とし処理を行う(ステップS18)。これにより、新飼主は、ペット関連施設で立替払いした商品購入または役務提供に係る代金を回収することができる。 【0120】 一方、ステップS16の認証処理で、認証手段31により、新飼主端末装置60の設置場所にいるペットが、遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットでないと判断された場合には、引落要求信号は送信されず、口座管理システム50によるペット専用口座51からの引き落とし処理は行われない。従って、新飼主は、ペット専用口座51の預金を使うことができないので、立替払いした代金を回収することはできない。 【0121】 次に、飼主の死亡後に、新飼主がペット関連施設からペットの飼養に必要な商品を購入し、または役務の提供を受けるための注文をネットワーク1を介して行う際の処理の流れを説明する。 【0122】 図7において、新飼主は、新飼主端末装置60を操作し、ペット関連施設サーバ80から注文入力フォームをダウンロードする(ステップS21)。なお、注文入力フォームは、遺言執行サーバ30からダウンロードしてもよい。 【0123】 新飼主は、注文入力フォームを用いて注文入力を行うとともに、新飼主端末装置60に接続された個体識別情報入力手段61によりペットの個体識別情報を入力し(ステップS22)、かつ、パスワードも入力する。 【0124】 これらの入力された個体識別情報、および注文入力に係る金額を含む注文情報は、新飼主端末装置60からネットワーク1を介してペット関連施設サーバ80に送信される(ステップS23)。ペット関連施設サーバ80では、受信した注文情報を記憶保存しておく。 【0125】 さらに、個体識別情報および注文情報は、ペット関連施設サーバ80からネットワーク1を介して遺言執行サーバ30に送信される(ステップS24)。なお、個体識別情報は、ペット関連施設サーバ80を経由せずに、新飼主端末装置60から遺言執行サーバ30に直接に送信されてもよい。また、注文情報は、最終的にペット関連施設サーバ80および遺言執行サーバ30の双方に届けばよいため、ペット関連施設サーバ80および遺言執行サーバ30の双方に並列的に送信するようにしてもよく、あるいは遺言執行サーバ30を経由してペット関連施設サーバ80に送信するようにしてもよい。 【0126】 遺言執行サーバ30では、認証手段31により、新飼主端末装置60から送信されてくる個体識別情報と、個体識別情報データベース41に予め記憶されている個体識別情報とを比較し、新飼主端末装置60の設置場所(新飼主の自宅等)にいるペットが、遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットであるか否かを判断する(ステップS25)。 【0127】 ここで、新飼主端末装置60の設置場所にいるペットが、遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットであると判断された場合には、引落要求信号送信手段32により、注文入力に係る金額をペット専用口座51から引き落とすための引落要求信号を、ネットワーク1を介して金融機関の口座管理システム50に送信する(ステップS26)。 【0128】 口座管理システム50は、遺言執行サーバ30から送信されてきた引落要求信号を受信すると、財産管理人名義のペット専用口座51からペット関連施設名義の口座52への預金の引き落とし処理を行う(ステップS27)。これによりペット関連施設は、注文入力に係る代金を受け取ることができる。そして、ペット関連施は、預金の引落処理が行われたことを確認してから、ペット関連施設端末装置20を操作してペット関連施設サーバ80から注文情報を引き出し、注文を実行する(ステップS28)。 【0129】 一方、ステップS25の認証処理で、認証手段31により、新飼主端末装置60の設置場所にいるペットが、遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットでないと判断された場合には、引落要求信号は送信されず、口座管理システム50によるペット専用口座51からの引き落とし処理は行われない。従って、ペット関連施設は、注文入力に係る代金を受け取ることができないので、注文に応じる必要はない。 【0130】 次に、飼主死亡後に新飼主が面倒を見ているペットが死亡した場合の処理の流れを説明する。 【0131】 図8において、新飼主は、飼主から譲り受けたペットが死亡した際には、新飼主端末装置60を操作し、ペット死亡時処理の申込信号を遺言執行サーバ30に送信する(ステップS31)。 【0132】 遺言執行サーバ30は、新飼主端末装置60からのペット死亡時処理の申込信号を受信すると、ペット死亡時フォームを新飼主端末装置60に送信する(ステップS32)。すると、新飼主端末装置60の画面上には、ペット死亡時フォームが表示されるので(ステップS33)、新飼主は、このペット死亡時フォームを用いて口座番号および新飼主基本情報を入力し(ステップS34)、遺言執行サーバ30に送信する。 【0133】 遺言執行サーバ30では、入力チェックを行い(ステップS35)、入力が不備な場合には、再び、ステップS34の口座番号および新飼主基本情報の入力処理に戻り、一方、入力が正しい場合には、ペット専用口座51の残高を確認する(ステップS36)。ここで、残高がゼロの場合には、再び、ステップS34の口座番号および新飼主基本情報の入力処理に戻り、一方、残高がある場合には、遺言内容検索手段34により、遺言内容データベース43を用いて遺言内容の検索処理を行い(ステップS37)、遺言者に親戚関係にあるペットへの財産の分配希望があるか否かを判断する(ステップS38)。 【0134】 そして、ステップS38で、分配希望ありと判断された場合には、親戚検索手段35により、家系図データベース44を用いて親戚の検索処理を行い(ステップS39)、死亡したペットに親戚関係にあるペットがいるか否かを判断する(ステップS40)。ここで、親戚ありと判断された場合には、遺言執行サーバ30は、金融機関、遺言執行者である行政書士、遺言執行補助者、財産管理人、新飼主等の関係者に対し、ペット死亡情報および親戚情報を通知する処理を行う。この通知は、例えば電子メール等で行われるが、この他に、電話、ファクシミリ、郵便等の手段を併用してもよい。 【0135】 そして、金融機関では、ペットの死亡が確認されると、ペット専用口座51の名義の変更処理が行われる(ステップS42)。すなわち、死亡したペットの名称を含む名義から、死亡したペットの親戚関係にあるペットの名称を含む名義に変更される。例えば、「財団法人東京愛犬協会 ヒッキー専用」から「財団法人東京愛犬協会 ポチ専用」に変更される等である。 【0136】 また、ステップS38で分配希望なしと判断された場合、およびステップ40で親戚なしと判断された場合には、金融機関では、口座廃止処理が行われ(ステップS43)、残金が財産管理人(公益法人等)に返還(寄付)される(ステップS44)。従って、新飼主に残金が返還(寄付)されることはないので、新飼主がわざとペットを殺してしまって財産をせしめようとする行為は防止される。以上により、ペット遺言執行システム10による処理の流れの説明を終了する。 【0137】 このような本実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、ペット遺言執行システム10は、個体識別情報に基づきペットが本物であるか否かを判断する認証手段31を備えているので、遺言の執行対象または契約の履行対象となる本物のペットに対してのみペット専用口座51の預金を用いることができる。 【0138】 このため、遺言の執行対象または契約の履行対象となる本物のペットがいなければ、ペット関連施設へ支払う代金をペット専用口座51から引き落とすことができないので、例えば、他のペットのために財産を使用する、あるいはペットを殺してしまって財産だけを受けとる等の不正行為を未然に防止することができ、遺言の執行対象または契約の履行対象となるペットのためにのみ飼主の残した財産を使うことができる。 【0139】 また、飼主死亡時にペット専用口座51の名義が飼主から財産管理人に変更されるようになっており、従って、飼主の残した財産は、新飼主に直接に移転されるのではなく、先ず、財産管理人に移転され、財産管理人から新飼主の購買行為に対して支出される形が採られているので、上述したような不正行為の防止効果をより一層確実に得ることができるうえ、遺言執行のしくみに対する信用力をより一層高めることができる。 【0140】 従って、財産が確実にペットのために使われ、かつ、財産が確実に相続されるようにし、さらに、ペットをわざと殺すというようなモラルリスクを排除するという三つの要請を満足させることができ、これによりペットに遺産を残すことができる。 【0141】 また、新飼主端末装置60にも個体識別情報入力手段61を接続しておくことにより、新飼主端末装置60から遺言執行サーバ30にペットの個体識別情報を送信することができるので、新飼主は、ペット関連施設にペットを連れて行かなくても、事後的に認証手段31による認証処理を経ることができ、ペット専用口座51の預金を使うことができる。 【0142】 さらに、ネットワーク1には、ペット関連施設サーバ80が接続されているので、新飼主は、新飼主端末装置60に個体識別情報入力手段61が接続されていれば、ネットワーク1を介してペット関連施設から商品を購入したり、役務の提供を受けることができる。 【0143】 そして、遺言執行サーバ30には、引落要求信号送信手段32を備えているので、商品購入または役務提供に係る金額をペット専用口座51からペット関連施設名義の口座52または新飼主名義の口座53へ引き落とすための引落要求信号を自動的にネットワーク1を介して金融機関の口座管理システム50に送信することができる。このため、遺言執行補助者が遺言執行サーバ30の認証手段31による判断結果を参照して手動で引落要求信号を送信する場合に比べ、遺言執行補助者の手間の軽減を図ることができるうえ、遺言執行サーバ30による認証処理と金融機関の口座管理システム50による引落処理とのタイムラグを無くすことができるので、処理時間の短縮を図ることができる。 【0144】 また、遺言執行サーバ30は、遺言執行者検索手段33を備え、遺言執行データベース40には、遺言執行者データベース42が含まれているので、最適な遺言執行者の候補者(例えば行政書士等)を選定することができる。 【0145】 さらに、遺言執行サーバ30は、遺言内容検索手段34および親戚検索手段35を備え、遺言執行データベース40には、遺言内容データベース43および家系図データベース44が含まれているので、ペットが死亡したときには親戚関係にあるペットに財産を分配したいという希望が飼主にある場合には、その飼主の希望を実現することができる。 【0146】 なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。 【0147】 すなわち、前記実施形態では、引落要求信号送信手段32により、ペット専用口座51から預金を引き落とすための引落要求信号を、自動的に口座管理システム50に送信するようになっていたが、この引落要求信号の送信処理は、遺言執行補助者が遺言執行サーバ30の認証手段31による判断結果を参照して手動で行ってもよい。しかし、遺言執行補助者の手間の軽減、処理時間の短縮等の観点から、引落要求信号送信手段32による自動処理とすることが好ましい。 【0148】 また、前記実施形態の図1では、新飼主端末装置60にも個体識別情報入力手段61が接続されていたが、この設置を省略してもよい。なお、設置を省略した場合には、新飼主は、ペット関連施設にペットを連れて行かなければ、ペット関連施設から商品を購入したり、役務の提供を受けることはできない。 【0149】 さらに、遺言執行サーバ30を運用・管理・維持する遺言執行補助者である者が、同時にペット関連施設となってもよく、その場合には、遺言執行サーバ30の機能の全部または一部と、ペット関連施設サーバ80の機能の全部または一部とは、物理的に同一のコンピュータにより実現してもよく、また、遺言執行補助者端末装置100とペット関連施設端末装置20とは、物理的に一つの端末装置により実現してもよい。 【0150】 【発明の効果】 以上に述べたように本発明によれば、遺言執行サーバの認証手段による個体識別情報に基づく認証処理を経なければ、ペット専用口座から預金を引き落とすことができず、従って、遺言の執行対象または契約の履行対象となる本物のペットがいなければ、新飼主は、ペット専用口座の預金を使うことができないので、財産が確実にペットのために使われ、かつ、財産が確実に相続されるようにし、さらに、ペットをわざと殺すというようなモラルリスクを排除するという三つの要請を満足させることができ、これによりペットに遺産を残すことができるという効果がある。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施形態のペット遺言執行システムの全体構成図。 【図2】前記実施形態で使用される遺言書の一例を示す図。 【図3】前記実施形態で使用される契約書の一例を示す図。 【図4】前記実施形態で使用される別の契約書の一例を示す図。 【図5】前記実施形態のペット遺言執行システムによる購買時の処理の流れの説明図。 【図6】前記実施形態のペット遺言執行システムによる購買時の別の処理の流れの説明図。 【図7】前記実施形態のペット遺言執行システムによる購買時のさらに別の処理の流れの説明図。 【図8】前記実施形態のペット遺言執行システムによるペット死亡時の処理の流れを示すフローチャートの図。 【符号の説明】 1 ネットワーク 2 遺言書 3 負担付死因贈与契約書 4 死因贈与契約書 10 ペット遺言執行システム 20 ペット関連施設端末装置 21 個体識別情報送信手段 22 購買情報送信手段 23,61 個体識別情報入力手段 30 遺言執行サーバ 31 認証手段 32 引落要求信号送信手段 33 遺言執行者検索手段 34 遺言内容検索手段 35 親戚検索手段 41 個体識別情報データベース 42 遺言執行者データベース 43 遺言内容データベース 44 家系図データベース 45 購買情報記憶手段 50 金融機関の口座管理システム 51 ペット専用口座 52 ペット関連施設名義の口座 53 新飼主名義の口座 60 新飼主端末装置 80 ペット関連施設サーバ
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【出願人】 |
【識別番号】899000068 【氏名又は名称】学校法人早稲田大学 【識別番号】302036699 【氏名又は名称】株式会社マイポストジャパン 【識別番号】302036714 【氏名又は名称】薦田 誠
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【出願日】 |
平成14年6月20日(2002.6.20) |
【代理人】 |
【識別番号】100114638 【弁理士】 【氏名又は名称】中野 寛也
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【公開番号】 |
特開2004−21955(P2004−21955A) |
【公開日】 |
平成16年1月22日(2004.1.22) |
【出願番号】 |
特願2002−180637(P2002−180637) |
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