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【社説】

日韓首脳外交 『対北』で連携を密に

2009年1月10日

 日韓首脳会談がようやく恒例になりつつある。北東アジア地域の最大の不安定要因である北朝鮮の核放棄を実現するためにも期待は大きい。両国のより強い連携を確認する機会に。

 今回は、麻生太郎首相が十一、十二日にソウルを訪問し、李明博大統領と会談する。両首脳の顔合わせは四回目になる。

 両国はもっとも近い隣国だ。まして国際的激動の時代に突入し、ともに民主主義を国家運営の理念とする両国が協力して、取り組むべき課題は多い。首脳が頻繁に往来する「シャトル外交」を定着させる必要がある。

 今回の会談では、両国関係だけでなく、国際社会における協力、例えばアフガニスタンへの支援の具体化などが議題になる。

 とくに両国の関心が高いのは、北朝鮮の核問題だ。

 ことしは、北朝鮮が「すべての核計画の申告と検証」を受け入れ完全な核放棄に向かうかどうかの分岐点に立っているからだ。

 北朝鮮は、米国のオバマ次期民主党政権の対話路線に期待している。できるだけ早く核問題に決着を付け、関係改善を進めようとする狙いがありそうだ。

 同時に日本や韓国非難を強めており、米国との離間を画策している節もある。あくまでも六カ国協議の枠内での対応を米新政権に念押しする必要がある。

 もう一つ、核放棄の「抜け穴」を残さないことだ。これまでの米朝協議では現存する核兵器や高濃縮ウラン計画が含まれるかあいまいだ。検証作業でのサンプル(試料)採取が必須条件になる。

 日韓両国は昨年末の六カ国協議で、この点を強く主張したが、オバマ政権に対しても、あらためて働き掛けたい。

 北朝鮮国内に目を移すと、金正日総書記の健康不安説は残っており、世界的な金融危機は混迷する経済を痛打している。

 指導体制に変化があったり、激変があれば、安全保障をはじめ大きな影響を受けるのは韓国であり、日本だ。的確な対応をするためには、緊密な情報交換や意思疎通が欠かせない。

 こうした日韓の連携は、拉致問題の解決にも役立つはずだ。前政権と違い、李政権は自国の拉致被害者救出に取り組む方針で、連携強化の環境はできつつある。

 さらには、両国の首脳はアジア全体の安定にも大きな責任があるという認識を共有してほしい。それが「日韓新時代」を築く。

 

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