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【社説】

少子化対策 経済危機だからこそ

2009年1月10日

 雇用情勢は悪化の一途だ。若者たちの雇用確保など早急な対策が必要だが、将来の日本社会を支える子供たちのことを忘れては困る。少子化も「待ったなし」。政府も企業も対策を進めてほしい。

 政府は「仕事と育児」を両立させるための少子化対策として、昨年二月に「新待機児童ゼロ作戦」を策定した。昨年十月に打ち出した新総合経済対策では、保育所整備などに充てるため「安心こども基金」を各都道府県に設置することが盛り込まれた。

 保育制度改革も議論が進んでいる。先月に厚生労働省がまとめた制度改革の素案では、保育所を利用できる対象を、専業主婦世帯にも広げる。ニーズに合わせるなど保育所運営により柔軟性を持たせる。これまで開所を認めるかどうかの裁量を都道府県が持っていた認可保育園の仕組みも変え、一定基準を満たしていれば機械的に指定事業者として認めるなど、保育事業への参入をしやすくする。

 課題は財源だ。昨年十一月にまとめられた社会保障国民会議の最終報告では、少子化対策に二〇一五年度に最大二・一兆円が必要と試算した。小渕優子少子化担当相は「消費税アップの1%分を少子化対策に」と訴えるが、国民の理解が必要だ。増税へは景気低迷の“逆風”が吹くが、少子化対策が私たち社会全体の問題であることを粘り強く訴える必要がある。

 保育サービスの充実とともに対策の「車の両輪」は、「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)」の推進だ。厚労省の審議会では、従業員が育児しながら働き続けられるよう育児・介護休業法改正に向けた案がまとめられた。育児中の従業員に短時間勤務の拡充や残業免除を認める内容だ。ただ、議論の過程で、経営側は「百年に一度の金融危機」を理由に、制度拡充に消極的だった。

 だが、経営環境の悪化を口実に、少子化対策を棚上げすべきではない。従業員が育児や介護をしながら働ける労働環境を整えることは、優秀な人材を確保でき、結果的に企業体力を向上させることを理解するべきだ。

 長時間労働は依然、改善されていない。長時間労働抑制を狙い労働基準法が改正され、残業代の割増率が引き上げられるが、リストラで職場の人材が減れば、残った従業員の負担は増えかねない。経営側は危機だからこそ、対策に取り組んでほしい。労働組合も雇用問題と同時に、引き続き目配りしてほしい。

 

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