年明けから、各地で火災による悲報が相次いでいる。とりわけ、子どもや高齢者が犠牲となるケースが目につく。痛ましい限りだ。
六日には千葉県松戸市の団地で、母親の留守中に幼い子ども三人が焼死する惨事が起きた。かつて、東京支社勤務時代には比較的社宅に近く、なじみのある団地だっただけに驚いた。
同時に、当時の火災体験を思い出した。夜中にバチバチという音がするので外に出ると、社宅隣の布団店の車の辺りから炎が上がっていた。今にも周囲に燃え移りそうな勢い。一一九番通報ももどかしくホースで放水したが太刀打ちできない。
周りの樹木などに水をかけながら消防車の到着を待ったが、ずいぶん長く感じた。幸い人的被害もなく済んだが、火災がいつ身近に起きるか分からない恐ろしさを実感させられた。
二〇〇八年版「消防白書」によると、住宅火災の死者数は〇七年まで五年連続で千人を超えた。昔から怖いものの代表格に挙げられる火災だが、自然が相手の地震や雷と違って人の力で防ぐことができる。
火の扱いは慎重にし、就寝前の点検を十分に。幼い子どもだけにして外出しない。住宅用火災警報器や消火器を設置する。何度もいわれてきたことの着実な実践こそ重要だ。あらためて火に対する心構えを確かにしたい。