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08.04.02 UPDATE

― みなさんの個人年金を補助する制度ができました。チームのみなさんの関心はいかがですか。

高木 これからの部分もあると思いますが、年金という大切なことをみんなが考えるいいきっかけにはなったと思います。それによって「自分たちの給料をどう将来設計に結び付けていけばいいのか」ということに選手たちが興味を持ってもらえればいいんじゃないかと思います。

― まだ将来設計を考えていない選手が多いということでしょうか。

高木 そこまでの余裕がなかったり、まだ自分は関係ないんじゃないかなって考えていたりすると思うんですよ。でも、自分たちの将来を考えるにおいて、お金ってとても大切なことですよね。そこに関心を持ってもらえるように、選手協会でうまく道標を作っていくという意味の中では、今回の制度はいいのではないでしょうか。

― 特に若い世代の興味喚起にはなったのではないか、と。

高木 ベテラン選手はいろいろな情報が入っているのですんなりと取り組みやすいんですが、確かに若手はなにを聞いていいのかもよくわからないような部分がありましたからね。ただ、レクチュアする際には分けてやった方がいいかもしれませんね。

― 今回は個人年金の補助制度でしたが、将来的にはいわゆる年金を作りたいというのが藤田会長の意見でした。選手協会全体の幹部としてその点はいかがお考えですか?

高木 制度を作るということは、大きなことをやるということです。年金制度のような大きなものを作るにはそれだけのパワーも必要ですし、準備も必要です。年金を作ろうという考えは素晴らしいと思いますが、それを準備していく間に引退していく選手もいますから、そのためにこの制度を作ったという考えでもいいですよね。まあ、産みの苦しみというか。将来の礎を作るためには、今の僕たちがその恩恵に授からなくとも、頑張って制度を考えていかなければいけませんからね。

― 選手協会の監事になってからおよそ2年強が経ちました。幹部になって理解した、選手協会の等身像はどのようなものでしょうか。

高木 Jリーグ全体の選手を考えると、選手協会をしっかり把握している人とあまり把握していない人がはっきり分かれてしまっているだろうなって思うんです。そういう意味でも、まだまだ弱い。インパクトも弱いし、力も、組織も弱い。でも、弱いということは、これからどんどん強くなれるということです。強くするためには、各チームの温度差を解消する。若手やベテランの選手にしっかりと組織の趣旨を理解してもらう。そして各チームの支部長が意見を吸い上げて、総会で議論することが大切になってくると思います。

― 温度差の解消方法とはどのようにすればいいのでしょうか。

高木 やはり、総会で議論をしていたり、Jリーグの方に要望をぶつけたりしているところを録画して、各チームにDVDを持って行って見せるといいですよね。温度も伝わるし、なにしろJリーグ側に要望を出しているという事実も映像を見るのと、報告を聞くのとでは全然違いますからね。

― 日本の選手協会は海外の選手協会に比較すると立場がかなり低いですが、そのあたりはどうお考えですか?

高木 海外に比較すると、Jリーグの歴史もJリーグ選手協会の歴史もまだまだ浅いという事実は否めません。でも、もうそろそろ、交渉の中で強く意見すべきところは強くやっていってもいいように思います。守るだけであればいくらでも守れるんだと思う。でも、僕はそんなことはやりたくないんです。後に残る仕事がしたい。引退したずっと後にでも、「ああ、あの時の人たちが頑張ってくれたから、今があるんだな」って理解をしてくれるような仕事をしたいと思うんです。サッカー選手の将来のために、いま、僕たちが頑張らなくちゃいけないと思っています。

― ありがとうございました。

【取材・構成】 SHAPE 豊田 英夫
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