現在位置:
  1. asahi.com
  2. ライフ
  3. デジタル
  4. ネット・ウイルス
  5. 記事

裁判員候補者、ネットで輪 不安・疑問語り合う

2008年12月5日

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

イラストSNSで情報交換

 全国の裁判員候補者に通知が届き始めて以来、インターネット上には候補者に選ばれた人たちが情報交換するための場が次々と立ち上げられている。写真や実名入りで書き込んで「違法だ」と騒ぎになるケースも。法務省は「個人情報が特定されなければ、情報交換は歓迎」という立場だ。

 「裁判員通知が来ました」「裁判員候補者の会」「裁判員候補者名簿に記載された人」――。mixiなどのインターネット上の会員制交流サイトでは、ここ数日で、こんな名前のグループが相次いでつくられた。

 「就職浪人なんだけど、シューカツ(就職活動)は辞退の理由になるのかな」「パニック障害の持病があることは、言った方がいいでしょうか」。どのグループも、書き込みを裁判員候補者に限定した上で、選ばれた不安や、何を準備したらいいのかを話し合うことを目的にしている。

 mixiでコミュニティ(グループ)の一つを立ち上げた30代の男性は、それまで裁判員制度など全く関心がなかった。でも、「通知を受け取った途端に無関心ではいられなくなった」という。

 「同封されていたQ&Aの冊子を何度読んでも、候補者が今後どんな問題に直面し、どんな心構えを持つべきか、納得できる説明はなかった。ならば、法律の知識も興味もない候補者が同じ目線で考える場を作ろうと思った」

 ただ、裁判員法は、誰が候補者になったかを特定できる形で公にすることを禁じている。匿名ならば問題はないが、名前を載せたり、職業や顔写真などの情報を総合すると個人が特定されたりするような記述の場合は法に触れる恐れがある。「裁判員候補のプライバシーや生活の平穏を守るため」(最高裁)だ。罰則はないが、それぞれのグループでは「匿名で参加してください」と注意を促しながら運営している。

 別の30代の男性は、通知が届いた11月30日、自分の名前や経歴が掲載されたブログに「裁判員通知が来た」と書き込んだところ、読んだ人から「法律違反になる」と指摘されて、あわてた。「制度の知識がまるでなかったので、『素人でも判断できるのか』『何か準備はした方がいいのか』など他の候補と話し合いたかった。守秘義務について勉強不足だったとは思うが、名前が載るだけで、何か危険があるとも思えない」と不思議がる。

 ある法務省幹部は「候補者の氏名などの個人情報が分からないようにさえしてくれれば、こうしたサイトが増えるのは、歓迎すべきこと。情報交換しあうことで、不安に思う人が減ったり、制度への理解が進んだりするのでは」と話している。(市川美亜子)

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内