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【記者手帳】「IT大国」のみじめなIT技術

 放送通信委員会の崔時仲(チェ・シジュン)委員長が、「IT(情報技術)大国コリア」に対する大きな失望の思いを公式の席で表明した。崔委員長は今月7日に開催された「IPTV(インターネットマルチメディア放送)に関する技術開発計画」の会議で、「(ITに関する限り)韓国の威信は“砂上の楼閣”のように空しいものではないか」と嘆いた。

 崔委員長の嘆きは誇張されたものなのか。委員会が提出した資料によると、現在IPTV用セットトップボックスの中で、加入者かどうかを判別する限定受信システム(CAS)の技術は、海外のものが60%を占める。このシステムには外部からの違法な侵入を防ぐための暗号化プログラムが内蔵されており、放送機器の中で非常に重要なものだ。

 放送通信委員会の李秉基(イ・ビョンギ)常任委員は「数年前にIPTVを開始すると発表した当時、世界の知的財産権の15%をわれわれが保有していたが、商用化が遅れたため現在は5%に減少した」と述べた。

 技術力が足りない分野はIPTVだけではない。昨年、電子部品研究院が発表した「国産化の実態-技術競争力分析」と題する報告書によると、次世代成長動力産業の一つとされている燃料電池の国産化比率は20%、太陽電池は12%に過ぎないという。産業用ロボットの国産化比率は43%だ。昨年半導体を抑えてIT部門輸出で1位を占めた携帯電話も事情は変わらない。携帯電話用の高画質カメラやタッチスクリーン技術は日本、米国、台湾のメーカーが握っている。昨年来のウォン安が輸出企業に有利に働くのでは、という指摘に対し、サムスン電子やLG電子の関係者らは「核心部品の輸入価格がウォン安の影響で跳ね上がっている。そのため何も良いことはない」と説明するのに忙しかった。

 われわれは各家庭に広まった超高速インターネット網や、携帯電話の100%近い普及率という外見だけを見て、自らを「IT大国」と自画自賛してきた。ところが中身をのぞいてみると、「IT技術不毛の地」であることを認めざるを得ないのが韓国の現実だ。

ホ・ギョンオプ記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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