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【社会】

密室車内、漂う緊張 相次ぐタクシー強盗の防犯策は

2009年1月7日 15時05分

関西でタクシーを狙った凶悪な事件が相次ぐ中、運転手は防犯に神経をとがらせている。運転席後部は仕切り版=名古屋市内で

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 関西でタクシー運転手を狙った凶悪な強盗事件が相次ぐ中、東海地方のタクシー会社でも、運転手に注意喚起を促すなどの動きが出ている。不況による社会不安の広がりを背景に「模倣犯が出る可能性もある」との見方もあり、警戒を強めている。

 中部運輸局(名古屋市中区)に年始のあいさつに訪れたタクシー事業者の間には「ピリピリした空気があった」と、同局旅客第二課の担当者は話す。

 岐阜県タクシー協会は「こういうご時世。景気の状況もあり、いつにも増して特に警戒を」と加盟全社に通達した。

 朝礼で注意を促す会社も多く、近鉄タクシー(名古屋市)は「長距離、目的地を不自然に変える、メーター料金を気にしない人には注意」と、ベテランの体験から防犯の要を啓発している。

 三交タクシー(津市)は各営業所の掲示板に事件の記事を掲出。昨年末、強盗を想定した防犯訓練をした名鉄交通(名古屋市)は、運転手に「安全第一。要求に逆らわずに」と呼び掛ける。

 自己防衛に努める運転手もいる。名古屋市内の男性運転手(63)は9年前にタクシーに乗り始め、しばらくして危険な体験をした。名古屋駅で「東京へ行って」という若い男性を乗せ、不自然に思い、男性に告げずに乗せたまま警察へ行ったら、バッグにナイフが入っていた。以来、深夜の乗務を避けている。

 車内の防犯対策の現状は、運転席後部の仕切り板のみ。非常時に車内の会話が配車センターに届くシステムを持つ会社もあるが、車上のあんどんを非常点滅し異常を知らせる手法が一般的。

 東京都では車内も映すドライブレコーダー(カメラ)の導入例があり、東海3県でも一部で試行的に装着する車も。約7千台と最多の名古屋タクシー協会は「事故記録で車外向けの取り付けは多いが、将来的に車内向けへもという議論が出てくる」とみている。

 名古屋市を中心に愛知県では昨年12月に、けがはなかったものの、6件のタクシー強盗が起きている。

 運転手の中には「お客さんがいれば乗せる。気をつけていてもきりがない」と、防犯面の限界を指摘する声もある。

◆仕切り板の設置率 愛知・岐阜では75%を上回る

 全国乗用自動車連合会(東京)によると2008年3月末時点で、全国のタクシー約20万台のうち約半数が後部座席との仕切り板を設けている。

 東海3県の設置率は愛知77・2%、岐阜75・4%、三重56・2%。名古屋タクシー協会では「後ろから刺されにくくする効果はあり、運転手にとって安心感があるのではないか」という。

 東京都でも78・3%にのぼるが、事件が相次いだ大阪府は16%にとどまる。事件を受け、大阪タクシー協会は仕切り板の普及を徹底させ、防犯カメラ設置も呼び掛ける考え。ただ、「仕切り板は完全に運転手を守ってくれるものではない。防犯カメラは設置費用やプライバシーの問題もある」としている。

(中日新聞)

 

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