バヌアツ共和国の首都、ポートビラから南へ200kmのところにあるタンナ島に暮らすナマルメネ族。男性はナンバスと呼ばれる藁で作ったペニスサックを、女性は藁で作った腰みのをつけて暮らしています。俳優の永山たかしさん(29歳)は、文明を取り入れない裸の村の生活を体験します。
    


 


*バヌアツ共和国*

2006年7月、イギリスのあるシンクタンクが、「幸せ地球指標(HPI)」に基づいて178カ 国をランクづけしたところ、「地球にやさしく幸せに暮らす国」の第一位に選ばれたバヌアツ共和国。西にオーストラリア、北にソロモン諸島、東にフィジー、南にニューカレドニアが位置し、国名は現地の言葉で、「永遠の土地」を意味します。最近では、その独特な火山島の景観や伝統的な慣習と欧米文化が共存するユニークな国として「南太平洋の魅惑」とも呼ばれています。

 

*伝統的な暮らし*

南北1200kmにわたる大きさのタンナ島は、今も手つかずの自然が多く残る土地です。かつてこの島では伝統的に、男性はナンバスと呼ばれる藁で作ったペニスサックをつけ、女性は藁で作った腰みののみという、裸で生活する人々がほとんどでした。しかし今や、島には車が行き交い、殆どの島民は服を着て、電気やガスを取り入れた文明生活を営むように なっています。そんなタンナ島に、文明を取り入れるのを避け、伝統的なナンバスや腰みのを身につけて裸で暮らす村がありました。人口80人、ナマルメネ族が自給自足で暮らす、クナマンイケン村です。村長のカリア・ロナウマケスさん(推定75歳)は「物を買う ためにはお金が必要になる。お金を得ると、得た者と得ていない者との間に格差を生む。だからお金を持たないし、文明を入れない。村人みんなが平等に生活していくためには、 それが一番幸せなのだ。」と言います。主食は畑で栽培しているタロイモ、ヤムイモ、ク マラ(サツマイモ)。バナナ、パパイヤ、マンダリンオレンジやナッツ類などは森に採り に行きます。狩りに出かけると、野生の鶏や豚やコウモリなどを捕ります。子供のおやつは芋虫。台所は村に2つあり、各家庭が持ち寄った食材を調理し、村人全員が平等に分けて食べます。

    

 

*裏話*

クナマンイケン村では、毎日夕方になると村の男性だけが広場に集まり、何やらごそごそ と始めます。「カバ」と呼ばれる植物の根を噛み砕き、それを集めて水を加え、濾して泥の色をした何とも不思議な液体を完成させるのです。その液体を一気に飲み干すのですが、飲んでいる間は誰も一言も喋ることはありません。この液体を飲むと意識がフワーとなり、不思議な気分に包まれるのだとか。カバを飲むことは、村の男性たちにとって大切な毎日の日課であり、森の精霊と交信するイニシエーションの時間。森に向かって叫ぶ人、瞑想を繰り返す人、様々です。この間、村の女性たちが広場に入ることは禁止され、テレビカメラが撮影することも出来ませんでした。永山さんも試しにカバを飲んでみることに・・・。味は漢方薬に近いとのことでしたが、カバ酔いし、フラフラになりながら寝床に戻ったのでした。