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【健康】

体冷やさぬ生活で改善 女性に多い『低体温』

2009年1月9日

 手足が冷えたり、むくみやすい。慢性的な体の不調を感じたら、平熱が低い「低体温」が原因かもしれない。女性に多いといわれる低体温は免疫力が低下し、病気になりやすい。改善には体を冷やさないことが大切だ。 (砂上麻子)

 東京都内の二十代の女性は毎回、生理痛に悩まされていた。鎮痛剤を飲んでも痛みが治まらず病院を訪れた。検査した結果、貧血でもなく、特に悪いところは見つからなかった。ただ女性の平熱は三四度台と一般の人より低かった。顔色が悪く、肌も乾燥して荒れていた。目黒西口クリニック(東京都品川区)院長で漢方医の南雲久美子医師は「低体温が原因」とみる。

 低体温は平熱が三六度以下の人をいう。人は体内で作られる熱が血液循環によって体中に運ばれ、体温が維持される。筋肉は熱を作る働きがあるが、それが弱かったり、ストレスで血管が収縮すると血液の循環が滞りがちの状態になって起こる。

 冷え症も同様の状態でなるが、体の末端に血液が巡りにくくなるだけで、手足の先が冷えるため自覚しやすい。一方、低体温は体の内部や全体が冷えきるため、自覚しにくいのが特徴。「自分では冷えていないと思っていても、低体温になっているかもしれない」と南雲医師。「低体温は女性に多い。中高年だけでなく二十代も『疲れやすい』と症状を訴えてくる」と言う。日ごろ自分の平熱を知っておくことも大切だ。

 食べ物を消化したり、栄養として体中に行き渡らせる酵素が活性化するのは体温が三六・五−三六・七度ぐらいといわれている。体温が下がるとこうした働きが弱まり、基礎代謝や免疫力も弱くなる。

 そうなると疲れやすくなったり、胃腸が弱まって下痢をしやすくなったりする。生理痛、肌荒れ吹き出物などの皮膚トラブルも起きやすい。

 またがん細胞は体温が三五度以下になると、活性化し増殖するといわれており低体温には注意が必要だ。

 最近は夏でもエアコンの効いた室内にいる時間が長く、仕事などのストレスで血管が収縮するなど体を冷やす環境になりやすい。

 「低体温は生まれついての人が多いが、現代生活で体を冷やしやすいため、ダメージが大きくなる」と南雲医師は指摘する。

 対策は体を冷やさないことだ。身体の外から冷やさないために、冬は肌を露出する服装を避ける。冷えやすい首や腹、足首はマフラーを巻くなどして温める。

 体を温める食材も有効だ。例えば、野菜や肉・魚類に加え、茶や酒類にも温める効果のある食品がある=イラスト。逆にコーヒー、ビールは体を冷やす。

 身体が冷えたら温めることも大切。南雲医師は、週に一−二度ほどは風呂で三八−四〇度のお湯に二十分ぐらい、ゆっくりつかることを勧める。風呂から上がると湯冷めしないように、靴下をはいて足を冷やさない。「低体温は体質なので、食事や生活を見直し、上手につきあっていくのが大切」と話す。

 

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