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【社会】派遣村助けたい “ホカベン”走る 元コンサル、医学生…法科大学院経て登録2009年1月9日 夕刊
住まいや仕事を失った派遣労働者を支援する東京の「派遣村」の活動に、社会人経験などがある法科大学院(ロースクール)出身の新人弁護士十数人もボランティアとして奮闘している。真新しい“バッジ”を襟に、生活再建を目指す派遣労働者たちの生活保護申請に付き添ったり、電話相談を手伝ったりと、市民に身近な法律家として懸命だ。 (佐藤直子) 一人は昨年末に東京で弁護士登録した河崎健一郎さん(32)。五日からは、千代田区などで集団で行った生活保護申請に付き添うなどしている。窓口で申請する派遣労働者への対応がきちんとされているかを見守り、申請書の書き方に戸惑う人に丁寧に説明する。 昨年末、東京・日比谷公園の「派遣村」に各地から人が集まったとのニュースに、河崎さんはじっとしていられなくなった。派遣村の情報を集め、活動に飛び込んだ。 一九九九年に大学卒業後、五年間は経営コンサルタントとして働いていたが、二〇〇四年に新しい法曹養成機関として、法学部出身者だけでない多彩な人材を集めたロースクール制度が日本でも始まるのを知り、退職。都内の法科大学院の一期生として学び、新司法試験に合格。昨年、司法修習を終えた。 河崎さんにとって、弁護士として働くのは派遣村の活動が初めてだ。突然の解雇で寮を追い出された人、ネットカフェを泊まり歩いた人…。貧困にあえぐ派遣労働者の話は厳しかった。「先生と呼ばれて気恥ずかしいけど、専門家として頼られているのを感じた」 千代田区や練馬区で生活保護申請に立ち会う加藤寛之さん(31)は、元は医学を志していた“転身組”。昨年十二月に千葉県で弁護士登録した。「医学生時代に炭鉱のじん肺問題やハンセン病の元患者らと交流して、社会問題に直接かかわりたいと思い、法曹を目指した」という。 派遣村支援は「自分と同じ世代の働き盛りが簡単に放り出される社会はおかしい」と感じ参加している。 河崎さん、加藤さんら〇七年の新司法試験合格者から約千五百人の新人弁護士が生まれたとされるが、受け入れる弁護士事務所不足による就職難もクローズアップされた。でも、加藤さんは「弁護士がたくさんいれば、持ち味も多彩になり、いろんな場にかかわれる」と可能性を感じている。 「矛盾を感じたことには敏感でいたい。自分を必要としてくれる人のために全力で働きたい」と話す。
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