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【プレシニア記者がゆく これからの入門ガイド】<続>これからの入門ガイド 競技かるた(中) 瞬発力と作戦がカギ2008年12月19日
水曜日夜、地下鉄八丁堀駅に近い小さな社の今村幸稲荷(いなり)神社の2階にかるた会「東京吉野会」の会員が集まってくる。12畳の部屋。スポーツウエアに着替えて準備する。この日は10人。女性が多い。 千葉県印西市の保育士、小幡裕子さん(46)は、かるたの盛んな福井県の中学生時代に競技かるたを始めた。22歳の時には西日本地区で3位まで上った。結婚、子育てで中断があったが、「かるたの持つ緊張感とスピード感がなんともいえない」と再び始めた。埼玉県草加市の会社員、前島悦子さん(50)は30歳の時、かるた教室に参加したのがきっかけ。「百人一首の歌が好きなこともあったが、張り詰めた緊迫感がいい」。現在A級の実力だ。 男性参加者も。千葉県柏市の会社員、宮越孝紀さん(36)=柏かるた会所属=はかるた歴6年。詠まれた札が畳の上にない「空札」があることで、「手を出すか、止まるか、一瞬の判断のスリルがなんともいえない」と言う。 練習はほぼ実戦と同じ形式で札を取り合う。クイーン位に挑戦した経験を持つ鶴谷智子副会長(56)は「シンプルだけど難しい。瞬発力などのスポーツ的要素と、札をどう置くか、という作戦的な要素もあるのがおもしろい」と話す。 ◇ ◇ かるた記念大塚会館を練習会場とする白妙会の三浦博会長(74)にお願いして競技かるたの体験をした。 記者が選んだ10枚の札で、と条件をつけた。天智天皇(秋の田の…)や紫式部(巡りあひて…)などなじみの札を選び、ICレコーダーに吹き込んで自宅で札を取る練習もした。 相手は板橋区の小学6年、三戸はるかさん(12)と4年、暁君(9つ)の2人。かるた歴はともに約3年。初めにはるかさんと対戦したが、1枚も取れずにあっさり完敗。見かねてベテラン会員の前田スエ子さん(64)がこつを教えてくれた。 強調したのは頭で考えて取るのではなく、読み手の音声に反応して取ること。一枚しかない「め」で始まる紫式部の歌の札を、利き手の右手の一番近い場所に置いて、「め」と聞いたら、迷わず払う練習を繰り返した。5枚ほど反射的に取れる札が増えたところで暁君と対戦した。 練習の成果で、「め」と聞いた瞬間、下の句の「くもかくれ…」の札を払うことができた。心地よさを味わった。ほかに3枚ほど取り、1枚差で敗れた。 来年90周年を迎える白妙会は多くの名人、クイーンを輩出した名門だ。三浦会長は「かるた人気が再び高まってきた。かるたは、小学生から80歳を過ぎた人も一緒に楽しむことができる。若い世代をもりたて、名門復活を果たしたい」と話す。 (朽木直文) <東京吉野会> 中央区八丁堀3の24の11の今村幸稲荷神社で、毎週水曜の午後6〜9時、日曜午後1〜5時に練習。会員は約30人。入会金1000円。月会費は社会人2000円。(電)048・294・2393 <白妙会> 文京区大塚4の13の5のかるた記念大塚会館で毎週土曜の午後5時15分〜9時(第2、4土曜は午後1時〜8時30分)。約20人。入会金1000円。月会費は大人1300円。(電)043・460・5552
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