【ソウル=稲田清英】インターネット上で韓国経済の危機を「予言」し、話題を呼んでいた論客とされる30歳の男性を、韓国検察が電気通信事業法違反の疑いで逮捕したことが8日分かった。「ミネルバ」の筆名で、通貨ウォンや株価の急落を予測。検察側は「虚偽内容を流布した」としているが、検察の対応に批判も出ている。
書き込みは韓国の大手ポータルサイトが舞台。米リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)やウォンの急落を予測し、韓国では「ネット上の経済大統領」などと呼ばれ、素性に関心が沸騰。最近では「3月に日本の金融機関が一斉に資金を引き揚げ、危機が訪れる」との主張で話題を集めていた。
一方、政府は経済危機が続く中で神経をとがらせ、昨年末には「政府が主要金融機関などにドル買いを禁じた」との書き込みに「事実無根」と反論。検察側も虚偽の内容を広めたと判断した。
韓国のネット上では8日午後に逮捕のニュースが流れると書き込みが集中。表現の自由への侵害と訴え、「韓国は民主主義国家なのか」といった批判が相次いだ。