今国会初の衆院予算委員会が8日開かれ、本格論戦がスタートした。「倒閣国会」と位置づける民主党は定額給付金や雇用対策などで政府を責め立てたが、自民、公明両党は、民主党とマルチ業界との癒着や、小沢一郎代表の不動産問題などを次々に取り上げ応酬した。「攻撃は最大の防御」とばかりの先制攻撃に、民主党もややたじろいだようだが、支持率低迷に喘(あえ)ぐ政府・与党の「窮鼠(きゅうそ)猫を噛む」と言えなくもない。
突撃隊長は警察庁出身の葉梨康弘衆院議員が務めた。自民党の「マルチ疑惑追及プロジェクトチーム」の分厚い資料を手にした葉梨氏は、複数の民主党議員の資金管理団体がマルチ商法の業界団体や業者から講演料を受け取っていた事実を次々に突きつけ、「民主党議員へのマルチ業界から献金が4000万円以上だ。しかも議員連盟を結成し、業界の講演会に出て商法を推奨している」と指摘した。
葉梨氏は民主党の小沢一郎代表の資金管理団体「陸山会」の不動産問題などにも触れ、「特定業界との関係を衆院選前に明らかにするのが政権を担おうとする党としての責任ではないか!必要があればまた追及する」とたたみかけた。
また、自民党は、先の総裁選で首相と争った小池百合子元防衛相を質問に立たせ、挙党一致を演出。小池氏は「首相就任から100日が立ち、これからがまさに勝負だ。現下の危機的状況に大胆に立ち向かってほしい」と熱烈なエール。同じく総裁選に出馬した石原伸晃幹事長代理は「首相の著書『とてつもない日本』を読み直した。就任以来目の前の危機に追われてきたが、本来の持ち味や国家観を国民に伝えてほしい」と励ました。
一方、民主党は定額給付金を徹底追及した。菅直人代表代行は、麻生太郎首相が定額給付金を受け取ることを「さもしい」と表現したことについて「『さもしい』とは『卑劣である』ということだ。侮辱ではないのか」と挑発。首相は「生活給付金の色合いが強かったころだから、高額所得者には物欲しそうな感じがすると思った。予算が成立する前からもらう前提で話すのはいかがなものか」と言葉を濁した。
また、菅氏は渡辺喜美元行革担当相が給付金の撤回を求める提言書を提出したことに触れ、「なぜ首相は読まないのか」と自民党内の足並みの乱れを追及。逢坂誠二氏(民主)も「究極の大愚作だと思わないのか」と質問したが、首相は「自分の政策を愚作だと思う人は普通いないと思います」とノラリクラリと追及をかわした。
民主党の執拗(しつよう)な定額給付金に「切れた」のは、言い出しっぺの公明党だった。北側一雄幹事長は「民主党も昨年末の税制大綱で給付付き税額控除をいれている。社民党も3兆円の定額減税を言っている。考え方は同じではないか」と猛反発。「民主党幹部は庶民の生活実態をほとんど理解していない」と声を荒らげた。
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