ここから本文です。現在の位置は トップ > ライフスタイル > IT・家電 > 失敗しない家電選びです。

失敗しない家電選び

文字サイズ変更
この記事を印刷
印刷

薄型テレビに別売スピーカーをつけたい理由

Q:White 5.1chフロントサラウンドシステム 予想実売価格88,000円前後
Q:White 5.1chフロントサラウンドシステム 予想実売価格88,000円前後

■テレビの音を美しく変え、サラウンドまで楽しませる

 (株)niro1.com(ニロウ ワンドットコム、以下NIRO)は今年6月、前方に置いたスピーカーだけで家庭での映画視聴を映画館のように変えるフロントサラウンド、「スヘリカル サウンド システム」を発表しました。薄型テレビをサンドウィッチするようにスピーカーシステムを上下に置き、それにコンパクトなウーファーとプロセッサー(アンプ)が加わる4ピース構成で、部屋の後方にスピーカーを置く必要はありません。

 そのNIROから、この秋、スヘリカル サウンドシステムの第二弾、「ハイビジョンTV用5.1chスピーカー“Q:”」が発売されました。

■なぜ薄型テレビに別売スピーカーがあったほうがよいのか

  NIROがこのハイビジョンTV用5.1chスピーカー“Q:”を発売したのは、薄型テレビの音質に不満を持つ声なき声が多いからです。薄型テレビは薄さとデザインを優先して、スピーカーの容積をどんどん削ってきたからです。

 今回新発売の“Q:”は、ベースとトップスピーカーを若干小さくし、薄型テレビとの一体感をより高めたスヘリカルサウンドシステムの廉価版。外装色によって“Q:White”と“Q:Black”の二機種が用意され、既発売の製品は、“Q:PLUS”として区別されます。

 同時に“Q:White/Q:Black”専用TVラックが同時に発売になりました。価格は実売予想価格が88,000円、ラック単体の価格で68,000円、セットで同時購入の場合、48,000円くらいのコストアップになりますが、家具メーカーの製品に遜色のない塗装と仕上げのよさです。今回はこのQの視聴レポートをお届けしましょう。

  NIRO のスヘリカルサウンドシステムは、世界で唯一、上下分割配置を選択したフロントサラウンドです。トップがサラウンド、アンダーがセンターとフロントLRを受け持ちます。上下に音源を持つことで映像とサウンドの中心が一致し一体感が増すのはいうまでもなく、現代の映画で比重を増している高さ方向の表現をフロントサラウンドで実現したという点では唯一の製品です。

 ほとんどのフロントサラウンドがHRTF(頭部伝達関数。詳しくは記事最後にて)という音響理論を応用しています。しかし、一般的にHRTFを利用した製品は、5チャンネルの音が前方から同時に出ることで、特定の帯域でしばしば混濁して効果がぼやける欠点がありました。

 音にひずみがあると効果が半減すること、そして、FL、FR、C、SL、SRの各音声を隣り合った位置から全部一緒に出すと、人間の聴覚が特に鋭敏な1kHz辺りの帯域で混濁現象が生じやすいのです。Q:は、トップスピーカーとベーススピーカーの上下に分離する構成でこれを解決しました。HRTFの罠にはまらない巧みな設定といえるでしょう。

■テレビにはこれだけの音が入っていたのか! Q:は日常の視聴覚を変えるシステム

 それでは、Q:のサウンドを薄型テレビの音声と聞き比べてみましょう。ちょうどNHKBSでNHK交響楽団の定期演奏会をオンエアしていましたのでこれを聴きましょう。

 最初にテレビの音声とQ:の音声の音量レベルを合わせ、Q:を消音してテレビの音声を聴くと、明らかに音に樹脂キャビネットの響きがします。さらにローブースト(低音を電気的に増強)しているために、ワイドレンジなソースだと高域は痩せて硬く、低音はブーミーになって遅れて聞こえます。独奏楽器の演奏は、オーケストラの中での立体感が出ていません。

 テレビを消音してQ:の音を聴いてみましょう。弦楽セクション、特に低弦の音が澄んで厚みを増します。この放送は5.1サラウンドなので、Q:のTONEボタンを長押ししてNormalから5.1EXPに切り替えると、サウンドが水平方向に広がりを増すのがわかります。

 5.1EXP の場合、リアルタイムにリアサラウンドの音声情報を監視、分析し、音場トータルのバランスを作っているのです。収録会場のNHKホールは音が拡散する傾向がありますが、ちょうど1F客席中央で聴いている時の響きがリアルに出てきました。「テレビには、これだけの音が入っていたのか」と驚くばかり。Q:でこの音を聴けばきっと、誰もがショックを受けるのではないでしょうか。

 正午からは、BS103のハイビジョン紀行番組を見ました。ナレーション中心に、SEと音楽を組み合わせたステレオ番組ですが、TVの音声は音が薄く画面に張り付いた印象です。Q:は出荷設定ではソースがステレオの場合、Stereo EXPでの再生になりますが、ドルビープロロジックIIでサラウンドにすることも出来ます。

  TONEボタンを長押しすると再生モードが、Stereo EXP→PL II Auto→PL II Cinema→PL II Music→Normalに変わっていきます。今回はPL II Auto がいちばんマッチしました。TVの音声に比べると格段に音が太く、ナレーションの明瞭度が増して語りに迫力が出てきました。

  DSPを使って電気的に補正を掛け、低音を増強していますが、基本的な音質までは変わりません。Q:は音質を改善するばかりか、映画館的なサラウンドに発展させるシステムです。ラックと一体になっているのも、リビングに導入しやすく、薄型テレビと一緒にラックを買う予定があるなら、ぜひ実物を見ていただきたい好製品です。下記で案内されているNIRO SOUND STATION(ショールーム)で営業時間内に気軽にQ:を体験することが出来ます。

 *HRTF(頭部伝達関数)

 音波が人間の耳に入る時、頭部による反射や回込み(回析)、耳の中の反射により干渉を起し、鼓膜に伝わる波の周波数、強度に山谷が生じるが、音源の方向による部分が大きく、人はこの現象を利用し音源の方向と位置を知る。フロントサラウンドは、これを利用して周波数の変調やキャンセル信号の使用で、聴感上の仮想的な音源を作り出す。

2009年1月8日 11時00分

 

特集企画

おすすめ情報