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派遣規制緩和、見直し浮上 欠かせぬ「功罪」論議 (2/3ページ)
景気後退局面では、こうした不安定な雇用形態にある派遣社員にしわ寄せが集まる事態は当然、予想されていた。それだけに、「拙速に製造業派遣を解禁したツケが回ってきた」との批判が高まり、規制強化論につながっている。
■功
だが、派遣労働の規制緩和は、労使双方に大きな恩恵をもたらした。
日本商工会議所の岡村正会頭は「雇用の需給調整が可能となり、働き方の多様化にもつながった」と指摘。経済同友会の桜井正光代表幹事は「経営の柔軟性が高まった」と強調する。
グローバル化が加速するなか、日本企業は人件費の安い新興国企業との競争力を確保することが重要な経営課題になっている。人件費が高い日本では、生産の増減に応じて労働力を調整し、コスト削減を図る必要があり、派遣労働力のメリットは大きい。
労働者にとっても、派遣対象業種が増えれば、それだけ雇用機会が増えることにもなる。「規制緩和が進んだことで、日本の失業率が欧米に比べても低い4〜5%台で推移している」(民間エコノミスト)との指摘もある。
日本経団連の幹部が「製造業派遣が禁止されれば、日本の製造業は今以上に海外に生産拠点を移す」と指摘するように、規制強化が、逆に正社員を含めた国内の雇用の一段の悪化を招く懸念は大きい。