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迷走を続ける「定額給付金」の所得制限問題について政府は6日、従来の姿勢を転換、内需拡大の観点から高額所得者にも受給を促す方針を固めた。この問題については自民党内からも「国会議員も受け取るべき」との声が噴出。これまで高額所得者の受給を「さもしい」として自発的辞退を促し、自らも受け取らないと明言してきた麻生太郎首相(68)のメンツは、またもや丸つぶれの格好となった。
麻生首相の見解を真っ向から否定する声が身内のはずの政府、与党内から次々と上がった。
6日昼、細田氏は政府与党連絡会議で定額給付金の所得制限問題について「景気対策なので国会議員も辞退せずにもらって使うべき」と主張。この発言に呼応するように首相の女房役、河村建夫官房長官(66)も「内需拡大が景気に最大の効果があるというふうに経済情勢が大きく変わった」と述べ、従来姿勢を転換し、高額所得者にも受給を促す考えを表明した。
昨年10月に定額給付金の支給を発表した際「全世帯に一律」と語った麻生首相。だが、その後は生活支援の側面が強い政策の性質や、自らのセレブぶりを顧みたのか「多額の金をもらっている方が1万2000円をちょうだいというのを(過去に)私は『さもしい』と申し上げた」「1億円も収入がある方はもらわないのが普通だ。人間の矜持(きょうじ)の問題なのかもしれない」などと切って捨て、「受け取る気はない」とまで明言していた。
与党や閣僚の一連の発言に関し、政治評論家の浅川博忠氏は「定額給付金の対応をめぐり、さまざまな意見がある中で自民党内の姿勢を明確にするための発言では」と解説。今回の方針と真逆の過去の首相発言は「結果的に失言になった」と指摘した。
また政治アナリストの伊藤惇夫氏は「完全に求心力が失われた。周囲が首相とは異なる発言を勝手にする土壌になってしまった」と話す。首相のプライドはズタズタとみられるが「周囲の意見にすぐに流され、発言に一貫性がない。政策の理解はもとより主義主張がないことは明白。自業自得」と批判した。
麻生首相はこの日夕「(給付金は)私自身がどうするかはまだ判断をしていない。その時になって考える」と述べ、給付金を拒む姿勢からトーンダウン。国会での各党代表質問では、2011年度からの消費税率引き上げ方針に言及し「責任ある政府、与党の原点であり矜持だ」と得意のフレーズで訴えた。しかし、民主党の鳩山由紀夫幹事長(61)は「3年後にあなたが首相の座にいる可能性はゼロ以下だ」と皮肉で応酬した。
(2009年1月7日06時02分 スポーツ報知)