自民党議員の発言が波紋を広げています。５日、坂本哲志総務政務官がいわゆる年越し派遣村について、「まじめに働こうとしている人たちが集まっているのか」と述べたことに対して、労働者側が反発。野党も撤回では済まないとして、罷免を求めました。

　「年越し派遣村」から東京都が用意した４つの施設に移ったおよそ３００人の労働者たち。施設には６日、ハローワークの相談窓口も設置され、就職活動を再開させたその表情には安堵もみえました。

　「ハローワークを（臨時に）開設していただけたということですから、求人を早急にあたってみる予定です」（元派遣社員の男性）

　しかし、「本当に真面目に働こうとしている人たちが集まっているのか」という発言が、波紋を広げています。総務省の年始の挨拶で飛び出した自民党の坂本政務官の発言。一夜明け、坂本氏は謝罪に追われました。

　「昨日の発言を撤回させていただいて、関係者の皆様方に深くおわび申し上げたいと思います。本当に申し訳ありませんでした」（坂本哲志 総務政務官）

　深々と頭を下げ、発言を撤回した坂本氏。しかし、国会で野党側は反発、政務官の罷免を要求しました。

　「総理、これが麻生内閣の本音ですか。失業者に対してあまりに無礼な発言です。私は満身の怒りをもって、即刻、坂本政務官の解任を求めます」（民主党、鳩山由紀夫幹事長）

　「坂本政務官の発言は、職を失い困っている人にとっては不適切なものと考えております」（麻生首相）

　麻生総理は、発言は「不適切だ」と認めたものの、罷免要求については明言を避けました。

　与党側からも批判が・・・
　「謝罪をすべき話でしょう。仕事が切られる、仕事がないということがどれほどつらいことかと」（公明党 太田昭宏 代表）

　派遣村から施設に移った人は・・・
　「怒りを覚える前に、がっかりした。ちょっと寂しい思いをしました」
　「（Ｑ．麻生首相に対しては？）総理は世間知らずのところがあると思います。とんでもない発言をいろいろしていますのでね。今さら期待していない、麻生総理には」（元派遣社員の男性）

　政治家や財界は、派遣切りの現状をどう考えているのでしょうか。

　「御手洗さんがいるんですよね？『何もしていないのはおかしい』と言いたい」（大分キヤノンの元派遣社員）

　元派遣労働者と支援する組合員およそ４０人は、６日、都内のホテルに向かいました。経団連などが主催する新年賀詞交歓会に乗り込み、公開質問状を渡そうというのです。予約無しの突然の訪問。会場のホテルは一時騒然となりました。

　派遣労働者たちは、解雇や寮からの追い出しの中止や財政的な支援を求める文書を経団連の御手洗会長に直接手渡そうとしましたが、結局、受け取りは断わられました。

　「パーティーやっている時間はないんだよ。国も自治体も（対策を）やっている。市民もボランティアで“派遣村”をやった。何もやってないのは大企業だけ」（支援する労働組合）

　不況のなか、追い詰められる労働者たち。打つ手はあるのでしょうか・・・。

　「あそこでお酒飲んでいるんでしょ。お酒を飲んでいるお金は、僕らが働いているお金の一部かもしれないし。泣きたいぐらいですね」 （大分キヤノンの元派遣社員）
（06日15:46）