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金沢市広坂の旧県庁舎が「石川県政記念しいのき迎賓館」と命名されて新登場することになった 悪くない名だと思う。ただし、頭に「石川」の二文字がなければの話だ。石川県の真ん中にある施設に、また石川の名を付ける必要があったのかどうか。隣に建っている「石川四高記念文化交流館」もその一つだ 地名を付けるならむしろ「金沢四高」だろう。県の施設だからと県名を付けるのは悪い癖、その上長い名前は行政一般に言えるヤボというものだ。例えば「金沢歌劇座」も「金沢市(・)歌劇座」だったら雰囲気が変わってしまう 戦国期の武士は戦場で「遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ」と長い名を延々と叫んだ。己の出自を込めた名前を聞かせるのは美学であり伝統だった。が、鉄砲が登場すると名乗る間に撃たれるから伝統も一気に消滅したという。名前の流儀は時代によって変わる 平仮名が好まれたかと思えば、漢字人気が復活し、英語が幅を利かす時もあった。しかし「馬から落ちて落馬した」「後で後悔」などの類はいつの時代も笑われた。命名にもセンスがいる。
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