【社会】母兄「よく頑張った」 誘拐の赤羽さん解放2009年1月8日 14時07分
「よく頑張ったとほめてやりたい」。エチオピアで誘拐されてから3カ月半。国際医療支援団体「世界の医療団」の医師赤羽桂子さん(32)らの解放が7日伝えられ、親族や在籍する長崎大の関係者らに喜びが広がった。長野県伊那市に住む母千恵子さん(64)と兄千尋さん(34)は8日朝、パリの世界の医療団本部で赤羽さんと再会するため、車で中部国際空港に向かった。 赤羽桂子さんの母と兄は8日朝、長野県伊那市の自宅前で記者団の取材に応じた。兄の千尋さんは「(家族が)お互い助け合って、帰ってくることを信じていた」と話し、笑顔をのぞかせた。母の千恵子さんは「よく頑張ったと褒めてやりたい」と話し、安心した様子だった。 2人は9日の便でパリへ向かい、国際医療支援団体「世界の医療団」の本部で桂子さんに会う予定だという。 2人によると、8日未明、日本の外務省から解放されたとの連絡があった。世界の医療団のほか、桂子さんからとみられる電話もあったが、電波状況が悪く、内容は聞き取れなかったという。 千尋さんは、昨年10月に一度、桂子さんから千恵子さんの携帯電話に連絡があったと明かした。桂子さんは「ソマリアにいて、元気だ」などと話していたという。 千尋さんは「直接会うまでは安心しきれない」と、一刻も早く桂子さんに会いたい様子。再会したら「まずは顔を見て、無事でよかった、お疲れさまと言ってあげたい」と話した。 2人は午前8時10分すぎ、千尋さんの運転する車で、中部国際空港に向けて自宅を出発した。 留守番役の桂子さんの叔母は「誘拐されていた期間が長かったので顔を見るまでは心配もあるが、ひと安心している」と話した。 ◆国際協力に熱意 赤羽桂子さんは、以前から国際協力に強い熱意を持ち、「世界の医療団」の専門家ボランティアとして、医療体制整備が遅れた国での人道支援に自ら飛び込んだ。 福岡市の県立高校を卒業して富山医科薬科大(現富山大医学部)に進学した。研修指導をした富山大の宮脇利男医学部長は「研修の当初から小児科に進みたいと話していた」と振り返る。 その後、2003年から07年までは土浦協同病院(茨城県土浦市)で小児科医として勤務。当時から国際協力への興味が強かったといい、元同僚は「エイズの母子感染など子どもの感染症の研究を続けていた」。 その後、本格的に国際協力に携わるため、熱帯医学研究所のある長崎大に。感染症対策をテーマに研究を続け、元同僚にも「長崎にいって本当に良かった」とやりがいのある研究ができることを喜んでいた。 (中日新聞)
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