2004−2005年度運動方針


第2章 取り組みの目標と具体的進め方

 

1. 労働基本権確立と民主的公務員制度の実現

 労働基本権を確立し、国際労働基準に基づくILO勧告を全面的に遵守する公務員制度改革を実現します。賃金・労働条件は労使交渉を通じて決定するという普遍的な原則に基づき、労使交渉・労使合意を通じて、協約・協定の締結を進め、対等・平等な労使関係に基づく交渉システムを実質的に確保する取り組みを進めます。あわせて、人事院および人事委員会との交渉を通じ、人事院(人事委員会)勧告過程への労働組合の実質的な関与・参加を進めます。
 労使関係規定と人事管理規定の2つの側面を有する現行の地方公務員法を抜本的に改正し、前者については労働基本権の確立、後者については公正・公平な人事制度の確立を対置し、分権自治型で民主的な公務員制度の実現に取り組みます。

【労働基本権確立、民主的・分権的な公務員制度の実現と職場の権利を拡大する取り組み】
1. 公務員制度改革を最重要課題と位置づけ、連合、連合官公部門連絡会に結集し、政府の公務員制度改革大綱の法制化・具体化に反対し、ILO勧告を踏まえた労働基本権の確立を柱とする民主的な公務員制度改革の実現にむけ、組織の総力をあげて取り組みを進めます。
2. 「地方公務員法・制度改正」自治労指針を踏まえ、地方公務員法を抜本的に改革し、国・地方の対等・協力関係の原則、労使対等の原則に基づき、国際労働基準を充足する民主的・分権的な地方公務員制度の実現に取り組みます。
3. 労働基本権確立のもとでの賃金・労働条件の決定制度を展望し、本部・県本部・単組は一体となって、団体交渉による決定を原則とする改革の実現にむけた環境整備を進めます。具体的には、協約・協定による賃金・労働条件などの決定をめざし、協約・協定の締結運動を実施します。各単組は、地方公営企業労働関係法第7条で規定する事項(交渉の範囲)を最低達成目標として、協約・協定を締結する取り組みを進めます。
4. 消防職員の団結権獲得にむけ、政労協議の再開を求め関係団体への対策を進めます。
5. 一方的な管理職等の範囲拡大に反対し、自治体当局・人事委員会・公平委員会交渉を強化します。とくに町村での対策を強めます。

【民主的で公正・公平な人事制度を確立する取り組み】
6. 任用(採用・登用)、身分保障(雇用、分限、退職)、能力開発(研修)、服務、人事評価制度などの人事制度全般を公平・公正の原則に基づく民主的なものとするため、以下の取り組みを進めます。
 @ 人事制度、人事評価制度の民主的な改革
  ア ライン職に集中している権限と責任を分権・分散し、現場の職員の職務と役割を明確にする新たな人事制度を確立します。
  イ 公平・公正な任用を実現するため、客観的な職務評価に基づく公正な任用基準を確立します。
  ウ 人材育成と職業能力開発等の制度的な保障を求めます。
  エ 人事評価制度の再編・見直しに対しては、制度的に欠陥を有する勤務評定制度を排し、4原則2要件の確保を中心とする「能力・実績を重視した人事評価制度に関する自治労の対応方針」を対置して取り組みを進めます。
 A 採用・登用における男女間格差是正
  ア 採用・登用をはじめとする男女間の処遇上の格差を是正し、雇用の全ステージにおける男女平等の職場づくりを推進します。
  イ 県本部・単組は、男女別の採用・登用実態、賃金実態に関わる格差の実態と要因を労使間で共通認識し、女性職員の採用・登用の拡大計画の進捗状況の点検を進め、女性の採用・登用等の改善に取り組みます。
 B 雇用・任用制度の改革
  ア 短時間公務員制度の創設と非常勤職員制度の抜本的な改善にむけ、地方公務員法などの改正に取り組みます。公務員連絡会、公務員連絡会地公部会に結集し、地方公務員制度研究会対策を進めます。
  イ 県本部・単組は、短時間公務員制度の活用などにより、臨時職員・非常勤職員の処遇改善にむけ、労使交渉を進めます。
  ウ 自治労モデル条例(案)をもとに自動失職の特例を定める分限特例条例の制定・改正に取り組みます。
 C 公務員採用・登用における国籍条項撤廃
   自治体職員の採用・登用における国籍条項については、公権力の行使等の任用基準を含め、すべての職種でその撤廃を求めます。同時に、募集要項に「国籍を問わない」ことを明記することとし、在日外国人への広報活動を行うことを求めます。

【労使関係にかかわる情報公開についての対応】
7. 自治体の情報公開と説明責任を重視する立場を前提とし、「個人のプライバシー保護」と「団結権に基づく正当な利益の確保」を踏まえ、自治体労働者の賃金・労働条件および職員団体・労働組合の活動および運営などにかかわる公開すべき情報と非公開とすべき情報の区分と範囲について個別的事項ごとに検討します。

 

2. 総合的な生活改善と公正労働の実現

 公共サービス労働者総体の賃金・労働条件の改善をめざし、男女間や雇用形態の相違などによる不当な格差を解消し、公正労働を実現するため、同一価値労働・同一賃金の原則に基づく横断賃金の形成に取り組みます。このため、社会的な賃金相場形成を果たす春闘期のたたかいを重視し、地域公共サービスを担う労働者にふさわしい賃金水準の確立を進めます。
 自治体が雇用する臨時職員・非常勤職員と委託料や補助金が支出される事業体の公共サービス労働者の処遇の向上をはかるため、自治体最低賃金制度を確立し、協約・協定化に取り組みます。

【賃金闘争の具体的推進】
1. 秋季―春闘期―人勧期―確定期の年間賃金闘争の節々で、賃金要求と重点目標を設定し、ストライキを含む大衆行動を配置して取り組みを進めます。
2. 賃金闘争は、確定期を焦点として、秋季を出発点に春闘期・人勧期の節々の取り組みを通して、具体的な推進をはかります。
 @ 秋季は、年間賃金闘争の出発点と位置づけ、次の通り取り組みを進めます。
  ア 全労働者の社会的に公正な賃金水準の確保をめざし、連合の春闘要求議論に積極的に参加します。
  イ 公務員連絡会に結集し、政府に対しては給与改定財源確保、人事院に対しては賃金・労働条件に係る基本要求を提出し、年間を通した賃金闘争の出発点とします。
  ウ 県本部・単組は、各自治体に対し要求書を提出し、予算交渉などに取り組みます。
 A 春闘期には、個別賃金要求を重視し、格差解消、自治体最賃の確立などにむけ、社会的な公正労働と同一価値労働・同一賃金原則に基づく横断賃金の形成に取り組みます。
  ア 公正な賃金を実現するため、自治体労働者の個別賃金に基づく到達要求基準を設定し、すべての単組でその確保に取り組みます。
  イ 具体的な要求基準については、自治体の代表職群について、年齢ポイントごとの到達基準を設定し、その実現をはかります。
  ウ 同時に、情報開示を進めることにより、公共サービス労働者をはじめとする同職種の民間労働者への波及を進め、社会的な公正労働と横断賃金の形成をめざします。
  エ 対自治体交渉については、全国統一行動指標を設定し、要求の前進をはかります。
  オ 県本部・単組は、統一要求基準(案)に基づく要求書を自治体当局、人事委員会、経営側に提出し、春闘期回答を求めます。労組法適用の単組は、春闘期決着をめざします。
  カ 県本部・単組は、地方連合会・連合地協に結集し、自治労の横断的役割を重視する立場から、地域民間労働者と連携した取り組みを進めます。
  キ 公務員連絡会に結集し、政府・人事院に春闘統一要求を提出し、統一行動を背景に春闘期回答を求めます。また、連合と政府との政労交渉を実現します。
 B 人勧期は次の通り取り組みを進めます。
  ア 公務員連絡会に結集し、人事院に対して民間賃金相場を踏まえた人勧期要求を提出し、交渉・協議を通して公務員の生活の維持・防衛につながる給与勧告の実現に取り組みます。
  イ 県本部・単組は、各県公務員連絡会・地公共闘に結集し、人勧期要求を参考に対人事委員会要求をまとめて人事委員会交渉を進め、給与勧告につなげます。
  ウ 県本部・単組は、給与改定条例等の11月条例化を前提として、十分な労使交渉・協議の期間を保障する闘争サイクルを確立するため、早期の人事委員会勧告と確定方針の確立を準備します。
 C 確定期は次の通り取り組みを進めます。
  ア 本部は、公務員連絡会に結集し、給与法等の改正に係わる対政府交渉と国会対策に取り組みます。県本部・単組は、自治体確定闘争を人事院勧告・人事委員会勧告後に速やかに開始し、十分な労使交渉・協議を通じて労使合意と書面協定に基づく給与条例等の改正を求めます。
  イ 自治体確定闘争の推進にあたって、本部は統一指標と具体的な推進方針を提起するとともに、総務省等との交渉を実施し、確定闘争を推進します。
  ウ 県本部は、重点指標の設定、確定ヤマ場にいたる統一交渉日の設定、対県・市長会・町村会などとの交渉を進め、県本部統一闘争として取り組みを進めます。
3. 地方財政危機を理由とした賃金抑制提案に対し、本部・県本部・単組が連携した取り組みを強化します。すべての自治体単組で財政分析を実施し、責任の明確化と労使交渉・協議に基づく財政再建をはかるとともに、財政難を口実とする賃金抑制を許さない取り組みを強化します。また、議会による労使合意への介入の動きを早期に把握し必要な対策を講じます。
4. 県本部・単組は、人事委員会との交渉を重視し、人事委員会勧告過程への関与と水準への対応を強化し、労働組合の実質的な関与・参加を進めます。

【臨時・非常勤職員、公共サービス民間労働者の処遇改善を進め、自治体最低基準を確立する取り組み】
5. 自治体最低賃金制度を確立し、書面協定化と必要な財源措置を求めます。
6. 上記の最低賃金をベースに年齢別最低保障の到達目標を設定し、その実現をはかります。
7. 勤続加算にともなう水準の引き上げを進めるため、賃金表と定期昇給制度の確立をはかります。
8. 臨時・非常勤職員の賃金については、正規・常勤との均等待遇に基づく改善を求め、以下の取り組みを進めます。
 @ 県本部・単組は、各職場の臨時・非常勤職員の実態を調査するとともに、その任用根拠の明確化と処遇改善を進めます。同時に、不当な雇い止めを許さない取り組みを進めます。
 A 臨時職員の賃金・諸手当・一時金の改善を進め、退職手当の支給を確保します。
 B 非常勤職員については、同一職種・同一勤続年数の常勤職員の賃金に時間比例させる賃金水準の確立を求め、諸手当相当分や一時金・退職金の支給を確立します。
9. 公共サービス労働者の公正労働基準を確立するため、以下の取り組みを進めます。
 @ 県本部・単組は、公社・事業団の統廃合、競争入札による委託企業の変更に対し、雇用維持をはかるために、自治体の使用者責任を明らかにした「雇用保障」や「雇用継続」の協定を自治体、当該事業団体、労組の連名で締結する取り組みを進めます。
 A 自治体単組は、事業者の入札参加にあたって、「総合評価方式」を活用し、各種労働法令の遵守を参加条件とするよう当局交渉を進めます。とくに不当労働行為企業を排除する取り組みを進めます。また、「自治体最低賃金」を下回らない入札・落札を実現するために、「最低制限価格制度」「入札価格調査制度」の導入を進めます。あわせて公契約基本条例の制定を求めます。
 B 本部は、ILO94号条約(公契約)の批准に取り組みます。

【地域最低賃金確立の取り組み】
10. 県本部・単組は、地方連合会とともに、地方労働基準局、経営者団体に働きかけ、地方最低賃金審議会の決定する地域別最低賃金の引き上げと早期改定を求めます。本部は連合に結集し、中央最低賃金審議会の示す目安額の引き上げや目安制度の改善・充実に取り組みます。
11. 自治体に対して広報などによる最低賃金額の周知と違反の一掃を求めます。地域最賃違反の企業の摘発を行うとともに、国・自治体の監督体制、行政指導の強化を要求します。

【給与制度見直しに対する取り組み】
12. 人事院が検討を進める地域の給与のあり方や給与制度の全般的な見直しおよび政府・行革推進事務局が進める公務員制度改革における給与制度の見直しについては、公務員連絡会としての統一的な対応を進めます。自治労は引き続き自治労賃金政策の策定を進め、意見反映を行います。

【退職手当見直しに対する取り組み】
13. 本部は政府の公務員制度改革における退職手当制度見直しの動向を注視し、対策を進めます。県本部・単組は、退職手当財源を確保するため、年次別の退職者の動向を把握し必要な退職手当総額の推計を行い、退職手当基金の計画的な積み立てをはかるよう求めます。

【公的年金制度の一元化と地方公務員共済組合制度確立の取り組み】
14. 公的年金制度の一元化については、公務員共済制度の堅持と安定をはかる立場から、関係者の合意形成を重視し対応を進めます。
15. 地方公務員共済組合財政の現状と課題を踏まえた長期給付事業における組織・財政などの制度改革にむけ、関係者の合意形成と公務員連絡会地公部会における統一対応に留意し、次の通り取り組みを進めます。
 @ 共済制度が、労使対等原則のもとで年金・医療等・福利厚生の三位一体の総合的社会保障制度として運営されていることや、組合員および受給者に身近な共済制度の役割を果たす必要性を踏まえ、現在の単位共済組合の存在を維持することを求めます。
 A 健康保険組合を含めた都市職員共済組合における財政窮迫組合の組織のあり方については、それぞれの組合の沿革・存在意義などを踏まえ、各共済組合が自主的に判断することを前提に組織統合または単独維持のいずれの選択に対しても、必要な情報提供、各種対策の強化に努め、当該単組・県本部、関係者との具体的な対応にむけ協議を進めます。
 B 長期給付積立金制度について、福祉事業に影響を及ぼすことのない制度改革を求めます。

【共済組合短期給付事業、自治体健康保険組合への対応】
16. 「医療保険制度体系および診療報酬体系に関する基本方針」において、共済組合は「その自主性を尊重しつつ、保険者としての運営のあり方を検討する」とされています。自治労は、連合官公部門連絡会、公務員連絡会と連携し、短期給付事業などを堅持し、将来において安定した制度を確立する立場から対応をはかります。
17. 市町村合併にともなう共済組合などの組織の再編については、合併市町村間の諸事情、単位共済組合の歴史的経過と長期的安定などを勘案し、当該自治体および関係市町村共済組合等の自主的な判断が尊重されるよう対策を進めます。
18. 共済組合の短期給付事業や自治体健康保険組合における財政悪化に対しては、医療保険制度・老人保健制度の早期改革と医療費抑制対策の充実を求めます。
  自治体健康保険組合の財政窮迫にともなう組織課題などについては、県本部・単組の基本組織を通じた個別的な対策を行うとともに、引き続き、制度存立の沿革を踏まえた運営の努力を重視して対応します。
19. 地方公務員共済制度・事業について、性とライフスタイルに中立な制度設計を前提として、両立支援策や福祉事業などを充実するよう対策を進めます。具体的には、育児休業・介護休暇全期間に係わる掛金の免除、休業給付金の支給水準の改善、出産費・出産手当金の増額などを求めます。

【雇用保険制度・社会保険制度等に係わる取り組み】
20. 公務員の雇用保険の適用に関しては、労働基本権の確立と労働諸法の適用関係などトータルな観点から検討を進めます。
21. 自治体に雇用され、適用要件を満たす臨時職員・非常勤職員の雇用保険・社会保険加入に取り組みます。

【福利厚生等の改善の取り組み】
22. 自治体における福利厚生制度については、自治体間の格差を解消するとともに、事業内容の点検・拡充を進め、互助会・厚生会などの設置、拡大と運営の民主化や臨時・非常勤職員の加入に取り組みます。
23. 定年以降の新たな就業に適応できる条件整備や退職準備プログラムの策定を求めます。この一環として、ライフプラン協会等が行っているシニア対策関連事業を活用します。
24. アルプス事業については「労使合意を尊重する」との自治労がライフプラン協会・(株)アルプスカードと交わした確認書に基づき対応します。

 

3. 短時間公務員制度・ワークシェアリングの実現

 新規採用の抑制、非典型労働者への置き換えが進むなかで、不払い残業を含む長時間労働が横行し、労働密度も高まっています。この間の法改正で両立支援の枠組みが整備されているにもかかわらず、職場の実態はその目標からは程遠い状態です。人権や尊厳ある労働(ディーセントワーク)という視点から、公正な労働基準を実現する取り組みが求められています。
 いま、社会全体として安定した良質な雇用を創出するためのワークシェアリングの実現が求められており、連合は、政労使の枠組みのもとで精力的に協議を進め、公務員連絡会も政府・人事院に対しその実現を求めています。
 ワークシェアリングは、総人件費一定のもとで、労働時間を短縮することにより新たな雇用を創出する労働再分配政策です。
 自治労は、ワークシェアリングの実現にむけ、柔軟かつ多様な働き方の選択に資するとともに、安定した雇用と均等待遇原則に基づく短時間公務員制度が何よりも必要であるととらえ、その実現を進めます。同時に、年間総労働時間の短縮や仕事と家庭の両立支援を拡充するとともに、公正労働基準の確立に取り組みます。
 労働安全衛生については労働者の健康の保持・増進、快適な職場環境の実現を基本とし、各職場の安全衛生体制の確立と点検活動を進めます。また、メンタルへルスの実効あるケアシステム確立の取り組みを強化します。労働災害に対しては、完全な補償を求めるとともに、労働災害・職業病の発生要因を除去し、働きやすい環境と仕事への改善をめざす快適職場づくり運動を展開します。

【短時間公務員制度の創設とワークシェアリング実現にむけた取り組み】
1. 労働時間を短縮し仕事を分かち合うことによって雇用を創出し、仕事と家庭の両立支援や職員個人の能力開発・自己実現に資することをめざし、柔軟かつ多様な働き方を選択できる仕組みを導入するため、雇用創出型・多様就業型ワークシェアリングの実現に取り組みます。
2. 本人選択制を担保し、処遇については時間比例按分による均等待遇原則に基づく短時間公務員制度の実現にむけ、地方公務員法などの改正に取り組みます。

【時間外労働縮減と不払い残業の撲滅】
3. 年間総労働時間1800時間を目標として実労働時間の短縮を進めるため、以下の取り組みを推進します。
 @ 時間外労働の縮減にむけ、36協定の締結を進めるとともに、労基法33条3項による時間外労働についてその厳格な適用を進めます。
 A 労働時間法制の遵守、時間外労働縮減と不払い残業の撲滅をはかるため、実効ある時間外労働規制策、勤務時間管理施策を労使で策定し、協定化をはかります。あわせて、個々の労働者の始業・終業時間や休日労働の実態把握を労使で進め、必要な時間外手当財源を確保します。
 B 年次有給休暇の完全取得にむけ、夏季休暇に連続して計画的に年次有給休暇を取得するなど一層の計画的使用促進の取り組みを進めます。
 C リフレッシュ休暇・有給教育休暇等の労働者の生涯設計に応じた各種休暇制度の新設・拡充にむけた取り組みを進めます。あわせて、自己啓発・自己実現、社会貢献のための総合的休業制度の創設を求めます。
 D 育児休業・介護休暇の男性取得促進策の具体化を強く求めます。当面、配偶者が産後休暇中に男性が育児休業を取得するキャンペーンを実施します。

【公正労働基準の確立と両立支援策を拡充する取り組み】
4. パートタイム労働者および有期雇用労働者の均等待遇の確保をめざし、「パートタイム・有期契約労働法」の制定にむけ、連合に結集して取り組みます。
5. 雇用の分野における男女の均等な機会と処遇を確保するため、現行の男女雇用機会均等法を改正し、間接差別の禁止やポジティブアクションの事業主への義務づけなどを規定する「男女雇用平等法」を制定する取り組みを連合に結集して進めます。
6. 看護休暇の請求権化をはじめとする両立支援策の拡充のため、育児・介護休業法を改正し、「仕事と家庭の両立支援法」の制定にむけ、連合に結集して取り組みを進めます。
7. 次世代育成支援対策推進法に基づき、事業主及び特定事業主である地方自治体に対し、男性の育児・介護休業(休暇)の取得促進をはじめとする両立支援策について、新たな行動計画の策定を求めます。
8. 公正労働基準の確立、両立支援策の拡充、男女平等を推進するため、ILO175号条約(パートタイム労働)、111号条約(差別待遇禁止)、171号条約(夜業)、183号条約(母性保護)の早期批准に取り組みます。またILO156号条約(家族的責任を有する労働者)、165号勧告に示された基準・施策を実現するとともに、ILO100号条約(同一価値労働・同一賃金)の原則の実現に取り組みます。
9. 雇用労働分野の規制改革課題については、労働者の権利と雇用を守り、公正な労働基準を確立するよう連合に結集して取り組みます。

【人員確保の取り組み】
10. 市民ニーズに基づく新たな行政需要に対応するため、仕事量・内容に見合った人員配置を基本とし、ゆとりある職場環境の確立にむけ、医療・福祉・環境分野などを重点として人員確保の取り組みを通年的に進めます。
11. 新規採用者、退職者、再任用者の動向把握、女性の採用・登用に関わる年次計画、障害者雇用の促進策を踏まえ、新たな行政需要に対応した業務、公共サービス労働のあり方と職員配置策を策定し、長期的視点から地域公共サービスの質を高めるための人員・人材確保計画の策定を求めます。
12. 客観的な行政ニーズの減少による事務事業の縮小・廃止については、労使の事前協議により、配置・職種転換が必要な場合には、雇用の確保と労働条件の維持を前提として、職業訓練、業務研修の実施を求めます。
13. 本部は、国家公務員の定員削減計画を自治体に反映させることのないよう取り組みます。
14. 2004年度からは、再任用対象年齢が62歳に拡大することを踏まえ、雇用と年金の連携を重視し、高齢再任用希望者全員の雇用の場の確保と雇用保障を進め、高齢者再任用制度の定着をはかります。消防職員については、高齢者再任用制度に準じた制度の運用を確保します。公共サービス民間労働者についても、勤務延長または再雇用制度の創設を求めます。
15. 障害者の法定雇用率を下回る自治体の一掃を進め、職場におけるバリアフリーの促進やワークアシスタントの配置など障害者のための職場環境の整備を求めます。

【安全衛生体制確立と快適職場づくり】
16. 労働安全衛生確立のため、全員参加の職場点検活動により職場環境の改善、教育・訓練などの充実、仕事の進め方の改善を実現します。快適職場づくり運動の取り組みが10年経過したことを踏まえ、新たなステージに立った運動を展開します。具体的には、公共サービス民間労働者の運動参加の促進や重点県本部指定などにより取り組みの格差の解消を進めます。あわせて、労安集会等の開催のあり方の検討を進めます。
17. 労働安全衛生法に基づき労使同数の安全衛生委員会を各職場で設置させ、職場改善機能を確立します。また、衛生管理者、産業医、安全衛生委員会の未設置などの法違反を一掃するため、設置状況を調査し公表するなどの抜本的な対策を行います。
18. 両立支援策の充実、個人差に配慮した快適職場づくりの観点から、女性の安全衛生委員会への参画促進など「男女がともに担う安全衛生活動」を推進します。
19. 職場にセクシュアル・ハラスメント防止委員会や苦情処理委員会を設置させ、単組が積極的役割を果たし、防止にむけた啓発活動を推進させます。被害者救済の相談窓口設置と苦情処理システムを確立し、プライバシー保護の徹底をはかります。
20. 労働安全衛生確立にむけ、7月の安全衛生月間を中心に年間サイクルの節々で運動を展開します。
21. 職場ストレス対策を強め自治体労働安全衛生研究会と連携し、研究・調査を行います。また、メンタルヘルス対策について実践的な研修・啓発活動とともに、予防と早期対策の観点から、ケアシステム確立の取り組みを進めます。
22. VDU労働に関しては、厚生労働省の新指針を有効に活用するとともに、すでに締結されているガイドライン・協定を確認し、規制が実行されるようVDU作業の進め方の改善、作業環境の整備などに取り組みます。
23. 公契約の契約先労働者の安全と健康への配慮を公的機関に義務づけたILO94号条約を踏まえ、委託元責任を明らかにし、委託職場、委託労働者の安全衛生を確保する取り組みを進めます。
24. 職場の分煙対策を徹底します。
25. セクシュアル・ハラスメント防止をはじめとする労働安全体制の確立・快適職場づくりについて、労働組合書記局も含め事業主責任を明確にし、取り組みを進めます。

【労働災害・職業病をなくす取り組み】
26. 災害補償制度の適用関係に即し、すべての労働者に平等に業務上の災害補償が受けられるよう取り組みを進めます。
27. 業務に起因すると判断できるすべての災害、疾病について災害認定請求を行います。一つひとつの認定闘争を通して、災害補償基金制度の民主的運営の確立を求めます。
28. 臨時・非常勤職員について、条例に基づく災害補償制度の点検を進めます。
29. 災害補償の上積補償制度を確立させ、自賠責保険横並びの補償を求めます。
30. 重大災害が発生した場合、現地調査を行い、原因が究明され再発防止策がとられるまで操業させない取り組みを進めます。
31. 労働者が危険を感じた時、労働者自身の判断で職場を避難できる緊急避難権確立をめざし、労働安全衛生法改正に取り組みます。
32. 指曲がり症対策を引き続き強めます。具体的には、この間の裁判例を踏まえた認定基準の改善、障害認定の拡充に取り組みます。
33. 過労対策を強め、循環器系疾患の認定範囲の拡大を求めます。過労死をめぐっては、この間の判例を踏まえ認定基準の緩和を求めます。また、過労自殺と公災・労災補償についての取り組みを行います。

 

4. 地方分権の推進と市町村合併への対応

 地方分権一括法により、@機関委任事務制度を廃止したこと、A関与のルール化を行ったこと、B第三者機関を創設したことは高く評価できます。しかし、地方分権改革は道半ばであり、自治労は、地方への税源移譲を含む税財政改革、国から都道府県、都道府県から市町村への権限移譲、市民自治の確立にむけた施策や地方議会改革の問題など残された課題に取り組む必要があります。
 市町村合併が推進されるなかで、自治体の分権改革の実践は期待されたほどの結果が出ていません。自治労は、次の地方分権改革にむけて、国と自治体間の対等・協力関係をつくりあげるため、各自治体の分権改革の実践を積み重ね、その結集をはかります。
 地方分権の推進は、危機的な地方財政の現状や少子・高齢化の進行と相まって、市町村合併の渦中にある小規模市町村だけではなく、大都市や都道府県のあり方など、現在の地方制度全般に課題を突きつけており、これからの地方制度改革は、今後の日本の社会のあり方を問う根元的な問題をはらんでいます。
 また、構造改革特区や地方独立行政法人制度など新たな制度の導入が進んでおり、地方行政のあり方そのものが抜本的な見直しをせまられています。こうしたなかで地方政府である自治体は、地域のコーディネーターとして、市民自治を基本に独自の政策立案・決定の能力が求められています。
 自治労は、急速な市町村合併の進行と地方行政の変化に対応し、地域の自己決定を可能とする市民自治と地方分権改革、地方制度改革に全力で取り組みます。

【地方分権改革の推進】
1. 地方自治の基本原理と制度的原則を定め、自治体の多様な制度設計を可能にする「地方自治基本法」の制定を求めます。また、地方分権推進委員会を継承した地方分権改革推進会議が、本来の役割と責任を踏まえ、分権の進捗状況の検証と残された改革の推進に取り組むよう求め、対策を進めます。
2. 国から地方、都道府県から市区町村への権限移譲と国庫補助負担金改革を求めます。また、国と地方の対等・協力関係を実効あるものとするため、国の関与や法定受託事務の見直し・縮小を進めるよう求めます。さらに、国の助言・勧告、指示などの関与に関し、法定主義・文書主義を一層徹底するよう求めます。不当・違法な関与については、係争処理機関の活用をはかります。
3. 市民自治の確立と地方議会の活性化にむけて、議会事務局の法務調査部門を強化するよう求めます。また、各種行政委員会や地方議会常任委員会の規制の見直し、議会定数の自由化や議会運営の自治体裁量の拡大などを求めます。
4. 社会保険・職業安定行政については地方地域のニーズにあわせたサービス、政策展開が必要との観点から、引き続き事務区分の見直しと、職員を都道府県職員とするよう求めます。

【地方制度改革の取り組み】
5. 小規模自治体や大都市制度、都道府県制度など今後の地方制度のあり方については、第27次地方制度調査会最終報告や引き続く議論に積極的に意見反映します。
6. 都道府県と市区町村の対等・協力関係の確立にむけ、事務・財源配分、行政サービスのあり方について積極的に見直すよう求めます。また、政令市、中核市、特例市の権限および財源配分の拡充を求めます。
7. 広域行政ニーズに対応する自治体間協力については、現行の広域連合制度の積極的な活用を基本に、連合長や連合議会の選挙による選出などを積極的に実践し、市民参加や責任の明確化、財政的保障などの制度改革を求めます。

【市町村合併への対応】
8. 急速に進展する市町村合併については、本部の作成した対応マニュアル「市町村合併への対応に向けて」(2001年5月作成、2002年6月補強)を基本に、本部・県本部・単組が総力をあげて対応します。
9. 本部は、県本部および合併推進地域単組への政策、賃金・労働条件、組織対策の各レベルにおける情報の提供と支援を引き続き強化します。全国の状況と取り組みの共有化のため対策会議を開催します。あわせて、地方団体などとの連携をはかり、政府や政党、関係審議会などへの対策に取り組みます。
10. 県本部・単組は、地方連合会などと連携し、住民への情報提供、首長・議会対策に取り組みます。合併重点支援地域指定、法定合併協議会設置などの合併推進地域については、県本部・関係単組が一体となった取り組み体制を確立し、情報提供・収集、住民参加・職員参加などの民主的運営、新市町村建設計画への提言、統一要求書の作成や各自治体交渉および法定協議会交渉(協議)等に取り組みます。
11. 組織強化と組織拡大を基本に、一部事務組合や社協、消防などを含め、雇用保障、賃金・労働条件の確保や組織対策を進めます。また、合併の是非については住民投票により住民の意思を確認することを基本に、先進自治体を参考として、外国籍市民や20歳未満の住民も対象とした住民投票条例づくりを進めます。
12. 市町村合併特例法期限切れ以降の新たな方策については、国と地方、都道府県と市町村の対等関係という地方分権の理念と自主的合併の原則を踏まえ、地方団体などと連携し、政府や国会、関係審議会などへの対策を進めます。
13. 合併を選択しない市町村や合併が困難な市町村に対する多様な支援の方策の検討、実践や、自治体間協力の推進を求めます。
14. 今後合併する自治体の市民自治やサービスの低下を招かないため、すでに合併した市町村の実態について検証を進め、支所機能など行政体制のあり方や地域審議会、選挙区制度の併用、新たに制度化される地域自治組織の活用などについて研究し、合併後のまちづくりにむけて積極的に提言できるよう取り組みます。

【地方独立行政法人制度の取り組み】
15. 今後の地方自治の新たな選択肢として、地方独立行政法人制度が導入され、課題であった自治体の選択権や公務員型の類型は確保されました。残された多くの課題の解明や地方自治の新たな選択肢として既存の諸制度との比較を行い、導入の是非の検討など、準備を進めます。
16. 本部は、地方独立行政法人制度の問題点について精査し、Q&Aの補強や具体的な対応についてのマニュアル作成や指針づくりなどに取り組み、情報提供と支援を行います。
17. 県本部・単組は、当局の動向について情報収集するとともに、本部の学習資料を活用した学習会を開催し、該当職場ごとに法人化の是非などについて分析と検討を行います。制度の導入については労使の十分な協議と合意を前提に、対策を進めます。

【規制改革への取り組み】
18. 公共サービス分野の規制改革について、@「公共サービスの質と水準」に与える影響評価が必要であること、A地域社会を構成する市民、企業、労働組合などによる合意形成や決定プロセスへの参画が担保されること、B自治体において社会的公正や人権保障の観点から規制や再規制のあり方についてルールの見直しが必要という観点で、経済財政諮問会議や規制改革会議などへの対策を進めます。
  また、条例制定権を活用し、地域の特性を活した地域経済・産業・雇用の活性化などの地域再生にむけて、規制緩和・規制強化などについて、地方連合会や市民、NPO、企業など関係者と連携して取り組みます。
19. 本部は、連合、協力政党、国会議員と連携し、公共サービスの規制改革をめぐる経過、問題点、取り組みのポイントなどにかかる資料の作成および公共サービスの質と水準を検証しうる評価指標の作成を進めます。また、構造改革特区制度の動きや自治体などの提案動向について情報収集し、単組・職場で活用できる対応指針の確立をはかります。さらに、民間委託部門の労働者との情報交換や関係づくりを強めます。
20. 構造改革特区については、公共サービスの質と水準を守り社会的規制を確立する立場で、県本部・単組は、市民や事業者、地方連合会などと連携し、特区が申請される場合の労使協議、市民の合意形成と情報公開、認定・実施された場合の検証・評価に協働して取り組みます。
21. PFIや「自治体株式会社」など自治体経営手法の多様化の動きに対しては、既に導入されている事例について検証し、行政と民間の責任と役割の分担、リスク負担の明確化、事業選択における透明公正なルールと市民合意を重視した慎重な対応を基本に取り組みます。

【税財政改革の取り組み】
22. 自治労が作成した「地方税財政改革への提言」を基本に、地方分権に対応する地方税財源の拡充、自治体の課税自主権の拡大、税の公平性・安定性確保の実現に取り組みます。
23. 地方への税源移譲と国庫補助負担金、地方交付税の「三位一体の改革」については、国の歳出削減のための改革ではなく、自治体の財政自主権の確立と国民生活の安定・向上を基本に、一体として改革するよう求めます。
24. 地方交付税制度の見直しに対しては、制度の根幹である財源保障と財政調整という2つの機能については堅持・強化し、国庫補助負担金の抜本改革を前提に、投資的経費分野の算定方法の適正見直しなど必要な改革を求めます。
25. 国庫補助負担金の廃止・縮減については、税源移譲を基本とする地方税財源の確保が前提であり、地域公共サービスの切り捨てにつながる先行実施は行わないよう求めます。
26. 政府予算要求行動などの取り組みを積極的に活用し、政府や国会、関係審議会などへの対策に取り組みます。また、連合政策に税財政改革についての自治労の考え方を反映し、連合や地方団体などとの連携を強化します。

【総合的政策活動の推進】
27. 分権改革を進め、持続可能な21世紀の社会システムを構築していくための政策活動を、連合、政党、協力国会議員団、自治総研、NPOなど関係団体・機関と連携して、政府、国会、各種審議会などへの対策に取り組みます。
28. 地方における地域政策づくりのため「地域・自治体政策集」を改訂し、連合の「政策・制度 要求と提言」を中心とした政策活動に反映し、中央・地方で積極的に参画します。また、地域の取り組みに活用します。
29. 政府予算編成に対し、連合などと連携し、7月概算要求時の要求を基本に、12月政府原案への要求反映をめざし、政党、府省などへの対策を行います。
30. 自治体レベルの政策決定能力の向上が本格的に求められていることから、政策法務、提案、評価などのリテラシー(選択・評価・利用の能力)の向上に留意し、分権、財政、地域政策などの分野について、県本部・単組の政策担当者育成のため、中央・地方で各種政策セミナー・集会などを実施し、人材育成をはかります。また、本部は地方自治総合研究所と、県本部は各地方自治研究センターと連携し、政策分析やフィールド調査、政策立案に取り組みます。

【情報化に対する対応】
31. 自治体IT化(電子政府化)については、社会・経済、雇用・労働、市民生活などにもたらす影響を検証しつつ、市民・労働者の立場に立ってIT化が進められるよう取り組みます。その際、情報技術の高度化に対応した人材育成・確保、地域のデジタルデバイド(情報較差)の解消など条件整備を求めます。また、本部の自治体情報化対策委員会で自治体情報化対応指針を作成します。
32. 民・行の個人情報保護法が成立したことから、県本部・単組は、本部が作成した個人情報保護条例モデルや住民基本台帳条例モデルを参考に、自治体の情報システムおよび個人情報のセキュリティ確保とレベルアップを進めます。また、住基ネットシステムについて、引き続き検証と監視、改善に取り組みます。

 

5. 自治体改革の推進

 地方自治体を取り巻く情勢が極めて深刻な状況にあるなかで、地方分権改革を推進し市民自治を確立するために、自治体改革運動がますます重要になっています。
 効果的で質の高い公共サービスを実現し、自治体がその役割と存在意義を再確立するためには、厳しい現実を正確に情報提供し、公正性・透明性・先見性に基づいてその方向性を明らかにしながら、行政・議会・市民・事業者がそれぞれの立場の違いを踏まえ、協働して、地域のまちづくりに取り組むことが必要です。
 自治労は、安心して快適に暮らすことができる地域社会をつくり、市民に開かれた透明・公正な行政と市民ニーズに対応した質の高い公共サービスを実現する自治体改革を推進するため、3つの理念を基本に、市民との協働を強め、@人権、福祉、環境、安心安全なまちづくりを最優先すること(政策目的の明確化)、A行政の関与する必要の薄れたもの、緊急性の低いもの、また効果が確認できないものについて洗い出すこと(総合的行政評価の実施)、B自治体の自己決定と自己責任の範囲の拡大に対応し、市民参画と協働の徹底をはかること(市民自治の追求)、C地域経済・産業・雇用など地域再生の課題について市民や関係者とともに取り組むこと(地域活性化とまちづくり)を重点課題として、自治体改革運動の一層の強化をはかります。

【自治体改革の推進】
1. 地域公共サービスを守り、分権・自治を確立する自治体改革を進めるため、自治労は、行政・仕事のあり方に関与し、@公共サービスの質と水準の確保、A公共サービスの担い手の多様化にともなう公共サービスの提供のあり方とルールの確立、B公共サービスに従事する労働者の質の高い労働と雇用条件の確保を基本に、福祉・環境など市民生活に身近な分野を中心に市民ニーズに対応した自治体政策の確立に取り組みます。
2. 市民と協働して地域公共サービスのあり方を検証し、公共サービスの質や水準を確立します。このため、情報公開と説明責任を基礎に、行政評価制度や市民満足度調査を活用し、市民ニーズを共有化します。また、市民・第三者からの評価を重視した「総合的行政評価システム」を確立します。
3. 分権改革の成果を踏まえ、市民やNPOとの協働により、地域における男女平等参画、多様な市民の参画による「安心・信頼・活力」を生むまちづくりや自治基本条例、独自の個別条例の制定など、地域の個性を踏まえた取り組みを進めます。また、こうした状況変化に対応しうる自治体の政策法務部門の強化を求めます。

【自治体改革運動の強化】
4. 自治体改革運動の一層の推進をはかるため、「要求・交渉」と「提言・協議」の2つの分野について、@春闘後から夏までの要求・提言づくり、A自治体の予算時期にあわせた、秋から冬の「要求・交渉」と「提言・協議」の実施、B春闘期の点検・集約と地域の市民・労働者との連帯の行動という運動サイクルを設定します。
5. 「1単組1行動」の取り組みと自治研活動や現業・公企統一闘争、男女平等産別統一闘争などの取り組みを有機的に結合させ、自治労ネットの活用や、自治研全国集会、政策担当者会議等により全国の先進的な取り組みの共有化を進め、運動の質的な飛躍をはかります。
6. 県本部・単組は、「地域・自治体政策集」を地域自治体政策づくりの素材として活用し、市民や地方連合会などと連携して、地域政策要求づくりを進めます。また、「1単組1行動」の取り組みとして、ただちに実現すべき重点政策について、自治体の予算編成時期にあわせた「要求・交渉」と、地方連合会の地方重点政策実現の取り組みと連動した「提言・協議」によりその実現をはかります。
7. 地域のセーフティネットを確立し、生活の質(QOL)を高め、住み続けられるまちをつくるため、当面の各自治体に共通する重要課題として「地域福祉計画」づくりを位置づけ、市民やステークホルダー(利害関係者)の協働で取り組みます。
8. 自治体の施策・事業についての監視や意見反映を行い、自治体改革を進める「提言・協議」を実効あるものとするため、労使協議制度の確立をめざします。
9. 市民や地域のステークホルダーの協働を進めるため、本部・県本部・単組は、連合(地方連合会)、NPO、議員、有識者、事業者などと協働ネットワークとしての「自治体改革フォーラム(仮称)」をつくり、自治体改革運動の地域での広がりをはかります。
10. 持続可能な地域社会、個性的で豊かなまちづくりにむけて、分権・市民自治の確立、福祉・医療・環境など公共サービス確立の課題について具体的な政策提起を進め、PSI「公共サービスグローバルキャンペーン」を、PSI−JC、連合や市民、NPOと連携し、国内において展開します。
11. 新しい公共の概念の整理と定義付け、公共サービスの質と水準を守るための評価指標の作成、新しい公共サービス労働のサポートなどのため、自治総研や関係機関などと連携して情報収集や研究などに取り組みます。

【自治研活動の活性化】
12. 自治研活動は自治体改革運動の重要な一環でもあることから、分権実践のステージにふさわしい能動的・実践的な活動へと改革・活性化をはかります。このため、本部が作成した「自治研の手引き(仮称)」を活用し、地域と市民を視野にいれ、協働作業によるまちづくりや政策提起、実践活動を重視した自治研活動に取り組みます。また、自治総研、各県自治研センター、自治研助言者と連携した活動を展開し、質の高い公共サービスキャンペーンとも連動させ、この作業の成果を地域と市民に公開していきます。
13. 自治研活動を、自治体行政および公共サービスについて市民とともに検証・評価、政策提起する場とし、学習機会の提供と人材育成に取り組みます。また、自治研活動の成果を実践的に活用するため、自治体改革運動と自治研活動の一層の連携をはかり、自治体改革の取り組みと地方自治総合研究所、各県地方自治研究センターの研究活動、自治研助言者の研究活動を有機的に結びつけ、運動の相乗効果を生み出すよう連携を強めます。
14. 第29回自治研全国集会の成果を生かし、県本部・単組の自治研活動を活性化するため、モデル単組を指定し取り組みます。県本部は、全国集会の5つの統合分科会テーマにあわせた重点課題を設定し、県本部内の取り組み単組を指定し、次回の自治研全国集会での報告を目途に、地域での取り組みを進めます。また、本部はテーマごとに全国モデル単組を指定し協働作業に取り組むとともに、県本部・単組支援のための資料作成や、自治研作業委員会による調査・研究・政策立案などの作業を進めます。
15. これらの取り組みの成果を検証し、交流するために、第30回自治研全国集会を2004年10月群馬県で開催します。

【地方財政の確立】
16. 自治体財政の確立にむけ、本部は、財政分析テキストなどのツールを作成し、財政分析講座、地方財政セミナーなどで財政分析の担い手育成や情報提供を行います。
17. 地方財政の負担が急増しはじめる「2004年問題」に対して、県本部・単組は退職手当財源の確保や財政計画の確立を求めます。また、財政分析活動などを通して、自治体財政構造や予算システムの見直し、公共事業見直しなど歳出構造の改革を進め、財政健全化に取り組みます。とくに財政状況の厳しい自治体については、各県自治研センターなどと連携し、財政再建にむけた対策づくりに取り組みます。

【透明・公正な行政の実現】
18. 政策決定や評価にあたって、市民が決定プロセスに参加できるシステムを確立するよう市民やNPOとともに提案します。さらに、情報公開条例の制定・改正など自治体における情報公開を進め、自治体の説明責任を徹底するよう取り組みます。
19. 行政手続きを透明かつ迅速に行うため、行政手続条例の制定・見直しなどと円滑な行政手続きを実施できるよう条件整備を求めます。また、外部監査制度の導入や監査事務局の機能強化、公益通報者制度の導入など、公正な行政実現のため、行政全般または個別分野に関して自治体オンブズ制度の整備・拡充に取り組みます。さらに、住民投票制度を市民参加のシステムとして尊重し、活用をはかるよう求めます。

【公共サービスの水準確保と公正なルールづくり】
20. 公共サービスの公・民・NPOなどとの役割分担およびそのルールの確立に取り組みます。また、多様な担い手の尊厳ある労働(ディーセントワーク)を確立し、良質な公共サービスが「公開・公益・公平」の観点から供給されるよう、サービスの質を指標に公共サービス労働の検証、均等待遇改善などに取り組みます。
21.入札の際の適正な履行が確保できる価格制度、アンチダンピングおよび公正な労働基準(ILO94号条約)の確保、受託者による低額な再委託の防止、サービスの質確保と契約後のサービスの検証・評価システムづくりに取り組みます。さらに、社会的価値を重視した経済活動を推進する立場から、自治労モデル案(「社会的価値の実現をめざす自治体入札・委託契約制度の確立にむけて」)を参考に、「自治体公契約条例(仮称)」の制定を自治体に求め、その具体化にむけて、連合・地方連合会との連携を強化します。

【地域経済の活性化と雇用創出】
22. 地域社会の安定と活性化、市民生活の質の向上の観点から、地方連合会や関係機関などと連携し、地域経済の活性化と、福祉、介護、子育て支援、環境、まちづくりなど公共サービス分野の雇用拡大・創出に取り組みます。このため、緊急雇用創出特別交付金について対象拡大などの制度改善を求めます。
23. 県本部・単組は、地方連合会と連携し、自治体に対して、県・自治体レベルの「政労使雇用対策会議」を設置し、地域における常用雇用を創出するための雇用創出プランを策定することを求めます。また、地域労使就労支援機構を設置し、地域労使就労支援事業の活用をはかります。
24. 地方自治体が積極的に雇用労働政策を推進するため、職業安定事務などの労働行政権限を自治体へ移譲するよう求めます。また、可能になった無料職業紹介に積極的に取り組むよう求めます。
25. 農林水産業を地域生活活性化基盤と位置づけ、持続可能な農林水産業、農山村・漁村の再生・活性化に取り組みます。また、食糧自給率の向上やデカップリングとしての中山間地従業者への所得保障制度の拡充を求めます。
26. 地域経済・雇用・仕事づくりについて、先進地域を参考に、地域の特性を活かした、行政、産業、大学、研究機関、金融、労働組合、経済界などのネットワークを形成し、情報の共有化や相互利用、技術開発支援、起業家の育成などを支援するシステムの構築について、地方連合会などと連携し取り組みます。

【地域男女平等政策の展開】
27. 男女共同参画社会基本法を地域で活かし、市民参加による政策づくりと男女平等の地域社会づくりに取り組みます。このため、男女平等産別統一闘争を基軸に、県本部・単組は、地域の特性を考慮した実効性のある「男女平等条例」、「男女平等行動計画」の策定に取り組み、本部は積極的に支援します。
28. あらゆる分野におけるジェンダーチェックを進め、ジェンダーバランスの確保に取り組みます。このため、地方連合会やNPOと連携し、地域における男女平等実現にむけた政策提言、政策評価などに取り組み、審議会などへの女性の30%以上の登用、自治体内部の女性職員育成・登用を求めます。

【地域教育政策の展開】
29. 地域の子育て機能の拡充、地域に開かれた学校・学習環境を確立するため、教育に関する国の関与を最小限にとどめ、市民自治の時代にふさわしい地域教育システムづくりに取り組みます。このため、「子どもの権利条約」の主旨を活かし、教育における子どもの人権と権利を確保できるよう義務教育の地方への権限移譲を求めます。
30. 県本部・単組は、地方連合会などと連携し、地域に開かれた市民参加の学校運営のため、子ども、保護者、教職員、NPO、市民などの参加のもとに、「学校評議員制度」の改善または「学校協議会」の設置を求めます。
31. 多様な職業能力とその選択が可能になるよう、中・高等教育における職業教育、社会人教育機能の拡充やグローバル化やIT化など技術や知識の変化の早い時代に対応した、生涯教育・社会教育の充実を求めます。
32. 教育基本法に対しては、@幅広い国民的な議論を重視する、A憲法の普遍的な理念の尊重と新たな課題の理念の議論を深める、B教育条件の整備を求めることを基本に、連合に結集して取り組みます。

 

6. 社会保障制度改革の推進

 保健・医療・福祉などの公共サービスは、人々が自ら健康で文化的な生活を営むための基盤、基本的人権の基礎です。政府は構造改革の重点分野として医療・福祉分野の規制緩和と公共サービスの民営化を推進しています。経営形態や担い手の多様化がすでに進行していますが、公共サービスの質を高め、市民の安心・安全を確保することは自治体の責任と役割です。自治体は公共サービスの担い手として中心的な役割を果たしていますが、同時に地域のコーディネーターとしての適切な役割が求められています。
 地域においては多様なニーズの広がりに対応し、市民は自発的な活動を開始しています。自治労は市民と協働し、公共サービスの質と水準を確保するため、「福祉でまちづくり」の観点から自治体の「地域福祉計画」策定と実現に取り組みます。
 少子・高齢社会の一層の進行は社会保障財政を直撃します。持続可能な社会保障制度を確立し、その質と水準を確保するためには、深刻化する財源問題を直視することが求められます。また、縦割りではなく制度横断的な検討が必要です。自治労は、生活に不可欠な公共サービスを誰もが平等に利用でき、負担・給付・サービス提供のあり方の三者バランス、世代間・世代内の公正なバランスを確立し、自助・共助・公助のベストミックスをめざし、連合とともに社会保障制度改革に取り組みます。

【地域福祉計画による分権型地域福祉の展開】
1. 分権が本格化している自治体において、保健・医療・福祉領域のサービスについて、利用者が満足し、担い手が誇りを持ち、財源について全ステークホルダーが関与し、施策を市民とともに総合的に組み立てる作業が「地域福祉計画」の策定です。自治体予算の配分についての市民による自律的合意形成、公共サービス従事者の雇用創出などに、「地域福祉計画」を通じて取り組みます。
2. 健康増進法を踏まえ、ヘルスプロモーションの理念を活用した「健康日本21」や「保健事業第4次計画」などの充実を通じた、「市民の健康づくり」を、「地域福祉計画」に連動して進めます。
3. 地域に暮らす人々にとって保健・福祉は一体に提供されてはじめて有効なサービスとなります。保健・医療・福祉の有機的な連携を進め、さらに、「福祉自治体をめざして」(2003年改訂版)を活用し、保健・医療・福祉だけでなく関連する施策と連携したまちづくりに市民とともに取り組みます。
4. すでに計画を策定した自治体はまだ少なく、自治体の計画づくりはこれから本格化を迎えます。単組・県本部は準備段階から積極的な関与を行います。また、合併が実行段階にあることから、合併によって地域の公共サービスの質と水準低下を招かないよう取り組みます。

【質の高い公共サービスの確立】
5. 保健・医療・福祉サービスの質と安全確保のための基準は、拡充が基本です。政府は規制改革3ヵ年計画で福祉・医療を重点分野とし、市場万能主義に基づく規制緩和を進めています。公共サービスの質と水準に責任を負うのは自治体であり、サービスの質を高めるには実効性のあるサービス評価指標の確立が必要です。日常的なサービス検証のための指標とチェックマニュアルを開発します。
6. 医療・福祉分野において、民間移譲や委託をはじめ、PFI、地方独立行政法人、「自治体株式会社」など、経営形態の多様化が進んでいます。経営形態変更の提案に対しては、徹底した労使協議・交渉および合意による決着をめざします。交渉にあたっては、@地域におけるサービスの質と水準低下を招かないこと、A従事する労働者の雇用は確保すること、Bステークホルダーの納得があること、C財政分析に基づく適切な判断があることを基本に取り組みます。

【社会保障制度改革の推進】
7. 持続可能性への信頼と誰もが排除されない社会を構築し、生涯を通じた安心確保のため、総合的な社会保障制度の検討する必要があります。最低生活保障としての生活保護制度の上に、雇用のセーフティネットとしての最低賃金・雇用保険失業給付、高齢期の所得保障としての年金給付など、それぞれの制度が整合性と有機的な関連を保つことが求められます。このため、生活保護制度改革に際しては、所得保障や雇用政策との連携を基本とする提言づくりに取り組みます。
8. 2003年4月の社会福祉法施行により、高齢者介護に続き障害者サービスが利用者の選択による契約に基づくサービスとなりました。一方、本人の意志に基づく選択を保障し、契約履行を確保する権利擁護システムは十分とはいえません。社会的支援を要する利用者に対する公正なサービス提供を確保するため、サービス提供事業者に対し第三者評価や情報開示を義務付けるなどの改革に取り組みます。

【介護保険制度の充実と改革の推進】
9. 少子・高齢化の進行により被保険者要介護認定者の数は増大を続けています。持続可能な制度への拡充は介護保険制度においても急務といえます。2005年介護保険制度見直しにむけて、介護保険実施状況の検証を行い、制度発足以来求めてきた保険者機能の拡充や次の課題実現に連合とともに取り組みます。
 @ 20歳以上のすべての住民を被保険者とすること。
 A 20歳以上のすべての要介護状態にある者を給付対象とすること。
  なお、障害支援費制度の発足を踏まえ、障害者へのサービスを介護保険に統合する場合の具体的な課題について十分な検討を行います。
10. 2003年報酬改定の結果明確になった論点について検証を行い、次期報酬改定にむけた準備を進めます。
11. 公正な制度の運用を確保するため、介護保険事業者への第三者評価・情報開示を義務付け、ケアマネジャーの所属する事業者からの独立性確保、低所得者対策の充実などの改革を進めます。
12. 各地域での介護サービスの拡充・向上にむけ、次の事項の実現を求めます。
 @ 居住地域による介護サービスの格差を生まないため、また、合併によってサービスの空白地域を生まないため、自治体が積極的な事業展開を行うこと。
 A 自治体独自の施策として、「上乗せ」「横だし」のサービスを拡充し、地域の高齢者福祉サービスを充実すること。
13. 介護サービスに従事する労働者の雇用安定とワークルール確立は、介護保険制度基盤整備の重要な課題です。訪問介護の大半を占める登録ヘルパーについて、安定的な雇用形態を確立し、移動時間の取り扱い、労災保険適用の徹底、安全衛生の確保など、労働環境の整備を進めます。

【医療制度・医療保険制度の改革】
14. 国民皆保険の基礎である国民健康保険制度が安定的に運営できるよう、国民健康保険の制度・財政・運営のあり方について、改革案の策定に取り組みます。
15. 患者本位の医療、良質な医療サービス、安定した医療保険制度の再構築にむけて、医療保険制度の抜本改革に連合と連携し取り組みます。政管健保・国保の都道府県単位の再編については分権自治の観点から取り組みます。
16. 高齢者医療制度については、被用者健保と国保の年齢構成の格差・所得格差への対応策を前提に、被用者健保の退職者が継続して被用者健保に加入する「退職者医療制度」の創設を求めます。
17. 医療情報の公開や医療・医薬品の安全管理対策の強化などによって、患者本位の安心と信頼の医療確立にむけて、連合とともに取り組みます。

【年金制度の改革】
18. 団塊世代の年金給付開始と少子化による支え手の縮小によって年金財政が逼迫することを踏まえ、自治労は「21世紀の年金改革構想」に基づき、2010年度における年金目的税の本格導入と基本年金制度の創出をめざします。このため21世紀初頭の改革期である2004年度において、基礎年金国庫負担割合を2分の1に引き上げ、公的年金の成熟期を見据えた抜本改革に取り組みます。
19. 「第3号被保険者」については「年金目的税の導入と基本年金制度の創出」による解決をはかります。また、「遺族年金」については、ライフスタイルの多様化を踏まえ、性別とライフスタイルの選択に中立な年金制度とするため、若年の遺族への就労・自立支援策の拡充を前提として、給付水準と対象・要件見直しの実現をめざします。

【財源と公共サービス水準の確保】
20. 社会保障関連予算の一般財源化が実行段階を迎えています。一般財源化がサービスの質と水準の低下を招くことがないよう、拙速な一般財源化を避け、自治体において、ナショナルミニマムを確保する仕組みを先行して確立するよう求めます。
21. 税源移譲が行われ一般財源化された事業については、次の取り組みを行います。
 @ 地財計画上の基準財政需要額算定において、事業に必要な総額を需要額として計上するよう求めます。
 A 公共サービスの質の低下をもたらさないため、「地域福祉計画」と連動し、自治体の予算編成のサイクルにあわせ、対象事業の実施を確認する取り組みを行います。

 

7. 環境自治体づくりと脱原発の取り組み

 環境に復元不可能な負荷を与えず、経済・社会ともに持続可能な発展をはかるためには、「地球規模で考え、地域で行動する」ことが必要です。このため「環境自治体づくり」の取り組みを強化し、自然環境を利用した国土保全や、地域レベルでの温暖化防止対策の拡充、資源循環型廃棄物行政の確立、循環型水政策の確立、食の安全の確立など、環境の視点からすべての政策を見直す運動を推進します。
 原発の一連のトラブル隠しやひび割れ事故の発覚などによって、原子力政策に対する市民の不安が拡大しています。自治労は、節電や省エネルギーなど電力使用総量の削減とあわせて、地域分散型エネルギー政策の確立を求め、脱原発社会の実現をめざします。同時に現存する原子力関連施設については、地域主体の原子力防災体制の充実をはかります。

【環境自治体づくりの取り組み】
1. 自治体のすべての政策分野において環境主義を取り入れる「環境自治体づくり」の取り組みを進めます。
 @ すべての自治体において、環境基本条例を制定するとともに、「環境基本計画」および行動計画(ローカルアジェンダ)づくりを進めます。その際、土地利用、公共事業、生産・流通、消費・廃棄、住居・建築物のあり方、地域交通システムなどについて環境条項を設けるよう求めます。あわせて、学校などにおける環境教育の充実を求めます。
 A 組合員と市民が協力して環境の観点からみた地域の実情に応じた問題点の洗い出しのために、自治体の環境診断「エコチェック」の活用を推進します。とくに、すべての事業所から、ダイオキシンやPCBなどの有害物質を追放します。
 B 環境面からのチェックを「総合的行政評価システム」の重要な課題として位置づけるよう自治体に求めます。
 C 自治体職場の環境ISO(ISO14001)取得については労使による協議・協力を前提とし、取得後の予算措置や市民による監査と意見反映の制度化を自治体に求めます。また、自治体職場におけるグリーン購入を積極的に推進します。
2. 環境NGOである「環境自治体会議」への参加・参画を進めます。具体的には、環境自治体会議全国集会への参加、市民・NGO・首長・議員・研究者・事業者など関係者との連携・協働に取り組みます。また、環境自治体会議全国集会と連動させた環境政策担当者会議を開催します。
3. 連合が提案する「エコライフ21」および「今日から始める環境にやさしい10の生活」の職場、自治体事業、家庭での実践をはかります。
4. アースデイ(4月22日)、環境自治体会議などへの参加、「水週間」の実施などからなる年間環境行動計画を作成し、県本部・単組と一体的通年的な運動を進めます。

【地球温暖化・大気汚染防止の取り組み】
5. 「京都議定書目標達成計画」を、実効性のある内容で策定するよう政府に求めます。
6. 地球温暖化防止活動推進センターの全都道府県における設置を求めます。
7. 「地球温暖化対策地域推進計画」の策定にあたっては、市民参加を基本とし、「地球温暖化防止政策カタログ集」を参考に、実効性ある計画づくりと計画の実行を自治体に求めます。
8. フロン製品の回収状況を踏まえ、実効性ある回収システムの構築を政府に求めます。

【環境保全型・資源循環型廃棄物行政の確立】
9. 2003年6月の廃棄物処理法改正によって廃棄物処理行政の範囲が著しく拡大したことを踏まえ、都道府県および市町村に対し産業廃棄物行政担当職員の増員および配置を求めます。
10. 廃棄物処理センターなど、行政関与による廃棄物処理施設の設置を都道府県および市町村に求めるとともに、基盤整備を国に求めます。
11. 都道府県域を越える広域的廃棄物処理についての規制強化を求めます。
12. 予防の観点から、不法投棄防止対策の強化を求めます。マニフェスト制度については、排出者責任を強化するとともに、迅速な産業廃棄物の処理状況の把握を可能にするため、電子報告に一本化するよう市町村および都道府県に求めます。国に対しては、一本化の徹底を求めます。
13. 生産から廃棄まで生産者が責任を持つ拡大生産者責任制度(EPR)の早期法制化を求めるとともに、廃棄物の処理コストを製品価格に含ませる「経済内部化」の実現を国に対して求めます。
14. 分別が困難となっている医療系廃棄物の処理方法について、公共関与による低コスト処理体制の早期構築を国に求めます。
15. 一般廃棄物処理の委託にあたっては、不法投棄を起こした場合の原状復帰にかかわる求償権は、委託した市町村にも及ぶよう制度改正を求めます。
16. 自治体でのごみ処理にあたっては、減量化、資源化・リサイクル、分別収集を原則とし、次の取り組みを行います。
 @ 広域的なリサイクル推進にあたっては、リサイクル対象物も廃棄物処理法の適用枠内であることを踏まえ、廃棄物処理業の許可を有しない事業者がリサイクルに参入することができるとする特例制度については、厳格な運用を実施するよう求めます。
 A 食品リサイクル法適用の事業者に地方自治体を含めるよう国に求めます。
 B ガス化溶融炉の導入にあたっては、分別収集を後退させないよう市町村に対して求めます。
17. ダイオキシン類のさらなる削減にむけて、排出源対策と同時に分別収集・リサイクルの徹底とごみの減量化を推進します。さらに、ダイオキシン類の毒性、発生原因、対象物質などについて科学的知見の収集に努めるとともに、速やかな情報公開を国に求めます。
18. 最終処分場に関する監視および規制強化をはかると同時に、処分場の新設の際には地域住民の同意を許可要件とするよう制度改正を国に求めます。
19. PCB廃棄物処理については、保管状況の管理および処理体制の確立について、公共関与の強化を基本に国および地方自治体に求めていきます。

【循環型水行政の確立】
20. 「水は公共のものとして管理する」ことを基本とする「水基本法」の成立を求めます。
 @ 近隣の市町村で協力し、共通条例「水保全条例」の策定を求めます。
 A 自治体内での横断的組織として、水に関係する部局の情報交換・政策調整のための機関設置と流域ごとの自治体、市民の情報交換の場として、「流域ネットワーク」を設置するよう自治体に要求します。
21. 水質保全のためのライフスタイル転換を職場レベル、家庭レベルで行います。「自治労節水マニュアル」を活用し、節水に積極的に取り組みます。
22. 水週間については、地域に根ざした運動を基本に展開し、水事業における公営の意義についてアピールします。

【食の安全の確立】
23. 消費者重視を主眼とする食品安全行政の確立をめざします。このため、自治体に対して「食の安全基本条例(仮称)」を制定し、食と暮らしの安全に関する情報公開を推進するよう求めます。
24. 地域で生産した農産物はできるだけ地域内で消費する「地産地消」に取り組みます。
25. 食品の安全性について消費者が正確に把握することができるよう、トレーサビリティ(生産および流通の過程における履歴の明記)システムについて法制化を求めます。
26. 食品の表示にあたっては、安全性に関わる内容について実態に応じた明確な安全基準を一本化した法制度化を求めます。

【持続可能な地域分散型エネルギー政策の推進】
27. エネルギーを長期的・安定的に供給するためのシステムを地域特性に応じた運動により構築します。
 @ 国に対し、自然エネルギーおよび未利用エネルギーの開発促進とともに、税制面での優遇措置など自治体施設や地域住民への導入奨励策を求めます。自治体に対しては、自然エネルギー装置の積極的な導入を求めます。
 A 自治体に対して、施設の緑化率向上や省エネルギー機器の導入、節電行動など地域での省エネルギー施策を積極的に講じるよう求めます。
 B 自治体において「地域エネルギー計画」を策定します。その際、市民参加を基本とし、都道府県と市町村の役割を明確化した上で数値目標(マニフェスト)を設定します。自治労は、これらに対する提言をまとめ、その実現に取り組みます。

【脱原発の取り組み】
28. 国の原発政策の抜本的見直しを求め、環境関係団体・NGO、平和フォーラムなどと連携し、次の取り組みを行います。
 @ 原子力発電所の新・増設に反対する取り組みを行います。
 A 稼働中の原子力発電所については安全確保のため徹底的な点検・検査を実施し、その結果については情報公開を行います。
 B 老朽化した原子炉については運転の停止を求めます。
29. プルトニウム利用の即時凍結を求め、次の取り組みを行います。
 @ プルサーマル計画の中止を求めます。計画の受入先とされている県では対県交渉を強化します。
 A 青森県六ケ所村核燃料サイクル施設の再処理工場の稼動および試験運転に反対します。
 B 一方的な高レベル放射性廃棄物の最終処分(地層処分)処分地候補の決定に反対し、歯止めをかけるために、各都道府県に対し「放射性廃棄物に関する規制条例」の制定を求めます。市町村に対しては立候補をしないよう求めます。また、低レベル廃棄物の産業廃棄物処理場への搬入に反対します。
 C 既存の放射性廃棄物の管理については、処理方法、施設の立地場所などについて国民合意を得ることが必要であり、組織内外で議論を進めます。
30. 原子力に偏重した電源開発促進税による原発立地自治体に対する補助金については廃止するとともに、相当分を自然エネルギーの開発に充当するよう求めます。
31. 毎年夏に想定される電力ピークへの対応として節電や省エネルギー、自然エネルギーの開発と自治体での導入を進め、脱原発を一層促進します。
32. 自治労脱原発ネットワークの活動を強化するとともに、関係省庁との協議・交渉を進めます。

【原子力防災体制確立の取り組み】
33. 原子力防災体制の確立にむけ、連合、平和フォーラムなどと連携し、次の取り組みを行います。
 @ 原子力災害特別措置法で定めた災害対策について、自治体が主体的に対応できるよう法の見直しを求めます。
 A 現行の原子炉に対する地震の影響について早急に科学的知見に基づき評価を行い、(ア)必要と判断される場合は廃炉を検討すること、(イ)評価が出るまでは稼動を停止することを求めます。
 B 原子力行政の推進部門と規制部門・リスク評価部門の分離を求め、完全チェックが可能な技術的能力を持った独立機関とすることを求めます。
 C 老朽化にともない廃炉となる原子炉施設から発生する廃棄物については、廃棄物処理法上の「一般廃棄物」「産業廃棄物」ではなく、放射性廃棄物として再定義するとともに、その処分方法について安全性が立証された具体策を確立するよう国に求めます。
 D 核燃料輸送の情報公開と輸送経路沿線自治体での防災対策策定を求めます。
34. 県本部・単組は、地域原子力防災体制確立にむけて「原子力防災ハンドブック」を活用し次の取り組みを進めます。
 @ 原発立地の有無にかかわらず、全都道府県において実効性の高い原子力防災計画を策定するよう求めます。
 A 各自治体の防災計画については、重点対策地域や避難基準などについて、国の防災指針を上回る内容を定めるよう求めていきます。
 B 原子力防災について、立地自治体の所管部局の体制充実、職員教育・訓練の充実を求めます。
 C 防災訓練の実施にあたっては、政府、原子力関連事業者および地域住民による合同訓練とし、定期的に実施するよう求めます。
 D 事故の初期対応をスムーズに行うため、放射線測定器の確保と測定班の設置を立地自治体および周辺自治体に求めます。
 E 消防職員などの被曝防止をはじめとする安全対策の強化と原子力事故に対応する救助工作車の導入を求めます。
 F 情報公開と市民参加による防災訓練の実施を求めます。

 

8. 平和運動の推進

 経済格差・貧困の拡大にともなう難民、飢餓、人権侵害、環境破壊、エイズなどの疾病の蔓延など、市民生活の安全に対する脅威は全世界的なものとなっています。さらに2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロをはじめ世界各地でテロや地域紛争が続いており、2003年3月にはイラク戦争が行われました。しかし武力による政策は暴力の連鎖を生んでいます。こうした事態の克服のためには、国家による軍事的安全保障を脱け出し、貧困や経済格差を解消し、「恐怖からの自由」と「欠乏からの自由」を目的とした人間の生活の総合的な安全を確保する非軍事・人間中心の「人間の安全保障」の取り組みが必要です。
 2000年6月に南北朝鮮首脳会談、2002年9月17日に日朝ピョンヤン宣言が行われましたが、拉致問題、核開発問題などによって世界の目は北朝鮮にむけられています。このなかで、国連を軸とした協調的安全保障体制の構築から信頼の醸成や予防外交を基本とした地域安全保障体制の確立が求められており、このため、自治体の国際協力や市民・労働組合の国際連帯と交流の推進が必要となっています。自治労はこうした取り組みを進めるとともに、有事法制と周辺事態法による民間・自治体統制を許さないたたかいを基礎に、地域・自治体、国、国際組織の領域で運動を展開し、「地域から平和をつくる」運動を進めます。また、教育基本法の改正問題など民主主義を否定する偏狭なナショナリズムを許さない取り組みを進めます。

【人間の安全保障を確立する取り組み】
1. 国境を越える人間の生命・尊厳に対する脅威を克服するため、「人間の安全保障」確立の取り組みを進めます。具体的にはICFTU、PSIそして連合、平和フォーラム、市民団体、内外のNGOとの連帯を基礎に、途上国支援やODAなどの開発支援のあり方を見直し、圧政や抑圧の暴力に対する監視の強化、難民救援などに取り組み、国連をはじめとする国際機関に働きかけを強めます。

【地域安全保障体制の確立】
2. 世界各地で頻発する地域紛争を平和的かつ公正に防止・調停するため、国連を中心とした普遍的安全保障システムの確立など、国際規範に基づく対話の枠組みの構築をめざします。あわせて、軍事的安全保障から脱却し、経済・文化を基調とする国際協力を通じて安全保障を確立する観点から、日米安保条約を見直し、平和友好条約への転換をめざします。
3. 朝鮮半島の緊張緩和と両国の自主的平和・統一の取り組みを支持するとともに、極東アジアの米軍の削減と東アジアの地域安全保障体制の構築を追求します。あわせて、非核三原則の法制化をめざすとともに、北東アジア非核地帯の実現をめざします。
4. 日朝交渉の促進により国交回復を求めます。そのため北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)に対する植民地支配の清算とともに、人権問題としての拉致問題の解決を追求します。また、平和フォーラム、NGOとともに、食糧援助など市民交流を進めます。
5. 北東アジアの平和と非核・地域安全保障システムの構築のため平和フォーラム、市民団体とともに韓国労組・平和運動団体との協力・交流を進めます。
6. 日本とロシア国民の友好関係と信頼醸成につとめ、日ソ共同宣言に基づく平和条約の早期締結を求めます。連合とともに日ロ間の課題解決に取り組みます。

【国内の平和創造の取り組み】
7. 「人間の安全保障」や国連を中心とした普遍的安全保障の確立にむけ、憲法の平和主義の観点から、国の外交・安全保障政策のあり方について検討を開始します。検討にあたっては、(仮称)安全保障基本法案(国連を中心とした普遍的安全保障と日本の参加、自衛隊の段階的縮小・改組、非核三原則、文民統制、徴兵制の禁止、武器輸出禁止を骨格とする)の視点や関連する国際法規の早期批准を基本とします。
8. 連合の平和行動(沖縄・広島・長崎・根室)、核兵器廃絶運動、米軍基地の整理縮小を求める運動に中央・地方で積極的に参加します。

【有事法制に対する取り組み】
9. 「武力攻撃事態対処法」「改正自衛隊法」「安全保障会議設置法」の3法が成立しましたが、「国民の保護法制」については1年以内を目標に法施行をはかること、その間、首相の自治体の長への指示権を凍結すること、また危機管理庁の新設や緊急事態に関する基本法については検討もしくは継続課題となりました。それ以外にも捕虜や米軍の行動などに関する個別の関連法などが予定されています。自治労は今後の審議や法施行について、以下の視点で対策を強めます。
 @ 国民保護法制に対しては、住民の生命と基本的人権の保障をはかるとともに、国家による報道の自由の抑圧や思想統制に反対して取り組みます。
 A 有事法制による国、内閣総理大臣と地方自治体、指定公共機関等の関係やそのあり方について、さらに具体的な内容を明らかにさせるとともに、自治体における地方自治法と武力攻撃事態法との具体的な対応については、自治・分権と人権を守る立場で取り組みます。
 B 中央・地方の危機管理体制のあり方、周辺事態法、武力攻撃事態対処法と自治体の関係については、県本部・単組とともに、住民の安全と人権を守る視点で対策を強化します。
 C 周辺事態法と武力攻撃事態対処法の相互の対象範囲と関係を明らかにさせるとともに、なし崩しの集団的自衛権の行使に反対します。そして、何よりも発動させない態勢の構築をめざします。

【自治体による平和創造の取り組み】
10. 現在、非核(平和)宣言は8割近くの自治体で行われています。引き続き全自治体での成立をめざすとともに、平和・人権教育の推進や近隣諸国の自治体との平和交流など平和行政の推進、「自治体平和条例」の制定を推進します。
11. 自治体の平和行政の拡充を求めます。公共施設の安全と平和利用などに限定する条例づくりに取り組みます。
12. 人権の確立や開発援助・飢餓問題などに取り組む国際NGOへの組合員の参加拡大を進めます。自治体の国際協力活動を促進するため、外国の地方公共団体の機関等に関する一般職の地方公務員の処遇等に関する法律に基づく本人同意を前提とし、条例の制定により派遣先の拡充を進めます。

【自衛隊、米軍と基地の整理縮小の取り組み】
13. 自衛隊の領空・領海・領土内に限定した戦闘能力の縮小を進め、密入国、テロ、麻薬対策などを主要任務とする警備組織と災害救援・復旧、環境保全組織への再編、改組を求めます。そして自衛隊基地の段階的縮小と撤去運動を進めます。
14. 国連を中心とする普遍的安全保障確立の観点からPKO協力法を抜本的に見直し、非軍事・文民・民生を原則とする国際平和協力隊(仮称)の創設を求めます。戦闘地域への自衛隊の海外派兵には反対します。
15. 在日米軍基地問題の解決にむけ、地域住民とともに、基地撤去、演習の停止、基地による環境汚染の調査、跡地の平和利用に関する住民協議機関の設置を求めます。また、在日米軍の実弾軍事演習については、基地の整理縮小の立場で平和フォーラム、全国基地ネットと連携して取り組みます。
16. 日米地位協定の抜本的見直しを進めるとともに、沖縄の米軍基地の整理・縮小の取り組みを進めます。「他国への新しい軍事基地建設に反対する」との2000年沖縄サミットNGO共同宣言に基づき、県内移設反対闘争を推進します。
17. 平和運動の一層の推進にむけ、各県・地域での平和フォーラムの基盤整備と強化を進めます。

【核廃絶の取り組み】
18. 米ロによる戦略核兵器削減交渉の前進が見られる一方で、アメリカのCTBT(包括的核実験禁止条約)の批准の拒否、小型核兵器の開発の容認、イラク戦争での劣化ウラン弾の使用、インド、パキスタン、北朝鮮における核開発など世界は再び戦争と核軍拡の危機にあります。自治労は、すべての核実験に反対するとともに、CTBTの発効の促進、プルトニウムなどのカットオフ(兵器用核分裂性物質の製造禁止条約)や核兵器全廃にむけた交渉の再開などについて、日本が積極的な役割を果たすよう政府に求めます。
19. 被爆二世の健康調査をはじめ被爆者問題の解決にむけ取り組みます。また、継続的な研究の態勢の確立を求めます。世界の被爆・被曝被害に日本が人的・組織的に積極的な貢献を行うよう政府に求めます。

【戦後補償実現にむけた取り組み】
20. 戦後補償問題の解決にむけ、引き続き積極的に取り組みます。日本政府に対し元軍隊「慰安婦」や韓国・朝鮮人、中国人の強制連行被害などの真相究明と被害者に対する謝罪と補償の実現を求めます。戦傷者援護法の国籍条項の撤廃を求めます。
21. 「女性のためのアジア平和国民基金」は2003年5月に償い事業が終了しましたが、自治労は引き続き、女性の名誉と尊厳に関する事業、償い事業にともなう医療・福祉支援事業について、フィリピンでの事業が終了する2007年まで継続して取り組みます。

【偏狭なナショナリズムを許さない取り組み】
22. 在日韓国・朝鮮人などに対する人権侵害など、偏狭なナショナリズムに基づく危険な動きが進行しています。アジア近隣諸国との友好関係を築き、外国籍市民の人権を擁護・発展させる運動を国内外のNGOと連帯して取り組みます。
23. 「自由主義史観」による「新しい教科書を作る会」などの教科書採択の動きに警戒するとともに、教科書の選定では地域の市民・労働組合の参加と関与を求めます。また、アジア諸国との共通の歴史観の形成や共同の歴史研究の取り組みを求めます。政府閣僚の靖国神社の公式参拝に反対します。

 

9. 人権を守り共生社会を実現する取り組み

 「人は人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、民族的もしくは社会的出身、財産、門地その他の地位またはこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享受することが出来る」と世界人権宣言はうたっています。しかし、こうした差別は今も広範囲に存在しています。国内外を通じた普遍的な人権基準の確立とその具体化を通じ、すべての人が地域でともに生まれ、育ち、働き、生きていける社会を実現していく必要があります。地域から人権の擁護と差別の撤廃を求める運動を展開し、個人の尊厳が保障され、選択の自由と違いや多様なあり方を認めあう共生社会づくりに積極的に参加します。このためあらゆる運動の基礎に人権の確立をおき、市民とのパートナーシップに基づき、人権のまちづくり、人権保障機構としての自治体づくりを進め、部落差別の撤廃、男女平等参画社会の創造、外国籍住民との多文化共生社会の実現、障害者の自立と共生のまちづくりをめざします。

【人権基準を確立する取り組み】
1. 21世紀を平和な国際社会とするため、人権をキーワードとした共生社会の実現が求められています。国連で採択された26の人権条例のうち、日本は10の条約批准に止まっています。世界人権宣言を具体化するため、人権諸条約の批准と具体化が必要です。また、「人権に国境はない」との立場で、アジア・太平洋地域に人権救済機関の設立をめざすなど、国際的な人権の擁護・確立をはかる取り組みを推進します。
2. 2002年第154国会に提出された「人権擁護法案」は、人権委員会の独立性の担保、地方委員会の設置、報道の自由の確保など、抜本修正を求めるとともに、差別禁止事由と差別禁止分野を明示した「差別禁止法」(仮称)の制定を求めます。

【人権保障機構としての自治体づくり】
3. すべての自治体であらゆる差別の撤廃を求めた「人権条例」制定や「宣言」採択を進め、「人権相談窓口」を設置して、地域の人権のセーフティネットとして、自治体を人権保障機構とする取り組みを進めます。また、人権の視点が反映された「地域福祉計画」の策定を求めます。
4. 「人権教育のための10年」の国内行動計画および人権教育及び人権啓発教育に関する法律に基づき、すべての自治体で人権の教育・啓発について実効ある基本計画と推進体制の整備を進めます。また、自治体職員の人権意識の確立をはかるため、研修制度の拡充を求めます。

【部落解放、人権のまちづくり、人権確立闘争の推進】
5. 人権教育・啓発推進法の制定の成果に立って、部落解放・人権政策確立の視点で人権尊重のまちづくり運動の推進をはかります。
6. 狭山差別裁判については、最高裁に事実調べと再審開始、全証拠開示を求め、中央総決起集会を軸に、地域の学習会や集会を通じて運動の拡大をはかります。
7. 就職差別撤廃のため、統一応募用紙の徹底、身元調査禁止など職場段階からの点検活動を進めます。また、公正なワークルール確立にむけ、ILO111号(差別待遇禁止)条約の早期批准と就職・雇用差別禁止の法整備を進めます。
8. 「部落地名総鑑」の発行・購入やインターネットによる流布を止めさせる運動に取り組みます。また、差別助長につながる住民票の閲覧・交付を監視するよう求めます。
9. 部落差別の撤廃にむけ、市民を対象とした人権講座の開講や人権啓発の強化を自治体に求めます。
10. 人権集会を開催し、運動の交流をはかるとともに、部落解放・人権確立テキストとモジュールを改訂・活用し、部落解放運動の前進をめざします。
11. 労働運動と部落解放・人権確立闘争との連携を強化するため、部落解放中央共闘・地方共闘に結集し、部落解放同盟と連帯して取り組みます。また、連合の人権政策と運動の取り組みに積極的に参加します。

【性差別と暴力をなくす取り組み】
12. セクシュアル・ハラスメント防止対策を人権問題としての視点から取り組みます。啓発、研修とともに相談窓口の設置を自治体に求めます。
13. 配偶者からの暴力の防止および被害者保護に関する法律(DV法)に基づき、ドメスティックバイオレンスを女性への人権侵害として、一時保護所の拡充やDV被害について理解した相談窓口体制の増員、地域におけるサポート体制の環境整備など必要な整備を求める運動を推進します。
14. 女性の性と生殖にかかわる自己決定の権利(リプロダクティブ・ヘルス・ライツ)に基づき母性保護法の改正および刑法の堕胎罪の廃止を求めます。
15. 夫婦別姓の選択が可能であり、同姓から別姓への転換が可能となるよう、民法750条の改正を求めます。
16. 同性愛者、性同一性障害者の基本的人権を保障するため、法制度の改正などの取り組みを進めます。

【外国籍市民の人権確立の取り組み】
17. 外国籍市民の地方参政権の確立にむけ、「永住外国人に対する地方公共団体の議会の議員および長の選挙権等の付与に関する法律」の成立にむけ、自治体決議などの取り組みを推進します。また、外国籍市民の意見反映の機関としての協議会の設置や各種審議会への積極的登用を働きかけます。
18. 外国人登録法については、引き続き登録票の常時携帯義務の廃止、罰則規定の削除、登録票原票の第三者への開示禁止を求めます。
19. 外国籍市民の人権侵害を引き起こしている強権的な入管行政の転換を求めます。内外人平等を明記した国連人権規約、難民条約の遵守、政治亡命の権利保障などに取り組みます。
20. 歴史的に経緯のある在日韓国・朝鮮人、中国人への無条件の永住保障、強制退去・再入国許可制度の適用除外と、年金・就職などの生活権を保障するための法・制度改革を求めます。
21. 外国籍市民の人権を保障する「人権条例」の制定を求めます。自治体での相談窓口や日本語講座など生活全般にわたる外国籍市民への施策状況を点検し、改善拡充をはかります。「多文化共生」のまちづくりにむけ必要な施策を要請します。
22. 合法的就労かどうかにかかわらず、外国籍労働者の労働条件や労働安全衛生などに関する相談業務を自治体に求めます。
23. 民族教育を保障する取り組みを強化し、民族教育の制度的保障とりわけ大学受験資格の付与を求めます。また外国籍市民多住地区には、社会教育などの施策と施設を求めます。

【人権を守る連帯活動の取り組み】
24. アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律に基づき施策の推進を求めます。また、人権侵害の防止のため啓発活動や人権相談体制の整備を求めます。
25. 子どもの権利条約に基づいて関係国内法の改正に取り組むとともに、婚外子の法的・社会的差別の撤廃に取り組みます。
26. 児童虐待防止法の周知をはかり、虐待を受けた児童と家族のケア体制の確立、児童福祉施設の機能強化、地域における子どもの権利擁護・救済機関の充実を求めます。
27. ILO138号条約(就業の最低年齢)、182号条約(最悪の形態の児童労働即時禁止)の批准にそって児童労働の廃止にむけ取り組みます。18歳未満の売春や児童ポルノの頒布を禁止する「児童売春処罰法」の周知をはかり、啓発を進める取り組みを行います。
28. エイズに対する正しい知識と予防対策の普及・徹底に取り組みます。HIV感染者、ハンセン病、ヤコブ病など諸疾病に対する人権侵害と偏見・差別をなくし、ともに生きる社会環境の創造のため、国・自治体へ施策を求めるとともに、差別撤廃の啓発活動を推進します。
29. 障害者に対する差別をなくすため、統合教育や雇用の拡大をはかるとともに、ユニバーサルデザインの視点で、共生のまちづくりの推進に取り組みます。全障連などの市民団体と連携し、障害者の人権確立の運動を進めます。
30. アムネスティ・インターナショナルなどと連携し、人権や平和、地球環境保全、開発の犠牲となりがちな女性や子どもの支援など国際人権問題に取り組みます。
31. ホームレス支援に関する国の基本方針の具体化にあたっては、「人権尊重と自立支援」を基本に、就労、医療、住宅、福祉の連携による総合的な施策の展開をめざして関係省庁交渉を強めます。またともに暮らす地域づくりの視点で「地域福祉計画」に自立支援策を取り入れるよう取り組みます。
32. 人権擁護の視点から司法制度改革に連合とともに取り組みます。具体的には市民に使いやすい、アクセスしやすい司法制度とすることや、市民参加の裁判員制度の導入により公正で透明な司法制度への改革を進めます。とりわけ、労働分野では、労働参審制度の導入、労働事件固有の訴訟手続きの整備などにより、労働紛争の解決の迅速化・適正化にむけて紛争解決機関の整備・改善を求めます。

【プライバシー権を確立する取り組み】
33. プライバシー権を確立するため、個人データの取り扱いに対する保護、苦情処理機関、自己コントロール権の保障、委託処理の取り扱いなど、個人情報保護法の附帯決議の主旨を活かし、「個人情報保護条例モデル」を活用し、実効ある個人情報保護条例と職場体制の確立を進めます。
34. 個人情報保護法の主旨を活かして組合員の個人情報保護の視点から自治労としてガイドラインの整備に早急に取り組みます。

 

10. 政治活動の推進

 有事法制の審議と平行して衆参両院に設置された憲法調査会は、2002年11月に衆議院が中間報告をまとめました。現在、2005年の最終報告にむけた論議が行われていますが、憲法改正問題が政治課題として浮上することが予想されます。また、自治体職場をめぐっては市町村合併、財政・税制改革、公務員制度問題などが焦眉の課題となっています。自治労はグローバル化と戦後的システムの見直しが進行する内外情勢を切り拓き、組合員の要求を実現し、国政や地方政治における民主主義の強化・拡大をめざします。来る総選挙、参議院選挙を政権交代への展望を切り拓くたたかいと位置づけて、民主・リベラル勢力の総結集をめざします。政治活動の推進については、以下を基本に取り組みます。
 第1に組合員の政治意識の活性化を通じて、組合員の主体的な政治参加を拡大し、その基盤の上に労働組合の政治活動を発展させます。第2に「自由・公正・連帯」の社会をめざすという自治労の基本的な理念と価値観を共有し、その方向にそった政策の実現をめざす政治家・政党との協力関係を主体的に選択します。第3に労働組合の求める個々の要求・政策の実現のため、協力政党以外であっても、政策実現に責任を持つほかの政党・政治家とも政策協議を進めます。第4に協力政党が参加する政権であっても、政権に対しては毅然として対応し、連合・市民団体と提携した大衆運動を背景に政策要求の実現を迫ります。第5に、勤労者市民の声を政治に反映させるため、連合の統一対応を基礎に、ほかの労組とも積極的な対話・協力を進めます。

【政治参加の促進と政治活動の活性化】
1. 私たちの労働条件は法定主義のもと、議会で条例化されるとともに、私たちの暮らしに密接な福祉、医療、保険、雇用制度など社会保障の課題、さらに平和は最大の福祉といわれるように「自由・公正・連帯」の社会の実現のために、連合・他産別・NPO・NGO、市民団体との日常的な連携を通じて政策づくりに取り組みます。それを基礎に大衆行動を背景としながら、政策立案段階から中央府省対策、審議会対策、政党対策に取り組み、政策の実現をめざします。政党対策では自治労協力国会議員団を中心とした協力政党との連携を強化するとともに、その他の政党とも必要に応じて政策協議を進めます。
2. 有効な地方政府の創造と、地域での福祉・環境・人権などの社会政策の確立を目的に、政党・自治体議員・労働組合・市民との対話と協議による自治体政策づくりを推進します。具体的な政策要求では連合、市民団体との連携による多数派形成と、自治労協力議員を中心とした自治体議会対策により、自治体政策の実現をはかります。
3. 組合員の主体的・積極的な参加を基本に「自由・公正・連帯」の社会の実現のため、創意工夫のある活動を展開します。単組・県本部は政治学習討論会などを開催するとともに、地域の市民・NPO・議員との政策論議を通じて、組合員の政治意識の活性化と人材の育成をはかります。本部・県本部は情報提供や学習資料の作成に取り組みます。

【憲法改正問題の取り組み】
4. 憲法問題については、衆議院・参議院で進められている憲法調査会の動向を注視します。また、連合に対し、アジアに対する戦争責任をはじめ、国際社会への理解と説明責任を重視し、国民的な合意を前提に多面的に論議、検証することを基本に意見反映をします。さらに、平和フォーラムや広範な市民と連携して取り組むとともに、自治労として憲法問題など国の基本政策検討の委員会を設置します。当面以下の視点で論議を進めます。
 @ 憲法前文と第9条で規定する憲法の積極的平和主義理念に立って、国連憲章を基本に、安全保障のあり方について検討します。第9条に抵触する集団的自衛権については、解釈変更を許さない視点で取り組みます。
 A 労働権、環境権、外国籍市民の人権保障、平和と安全保障、地方自治などの時代の変化に対応した新たな課題については、憲法の有効性を高め、市民生活に活かす観点から個別に論議を深め、連合へ意見反映を行います。

【政権交代可能な民主・リベラル勢力の総結集の取り組み】
5. 自治労は基本的な理念と政策の方向を共有し、自民党を中心とした保守勢力に代わり政権を担いうる、勤労者・市民に立脚した民主・リベラル勢力の総結集をめざすことを最大の戦略におき、その実現をめざす政党・政治家と協力します。
6. 政策実現のため、当面、民主党を基軸に協力関係を築き、社会民主党とも協力します。

【政治活動、選挙闘争の推進】
7. 自治労の政治活動、選挙闘争については、法令遵守を徹底して取り組みます。
8. 男女平等参画社会の実現をめざす立場から、女性議員の拡大をめざします。
9. 自治労は民主・リベラル勢力の基盤となる政党・政治家、市民の連合の形成にむけ、労働組合の立場と領域を踏まえてほかの労働組合や市民と連携して中央・地方で活動します。とくに連合政治センターの結成と活動に積極的に参加しながら、労働組合全体への政治への影響力が確かなものとなるよう努力します。

【衆議院・参議院選挙闘争の推進】
10. 来る解散・総選挙を政権交代を実現する選挙と位置づけ、連合の選挙闘争方針、統一対応を基礎に、比例代表、小選挙区とも民主党・議員への支援・協力を基軸にたたかいます。また、社会民主党も支援してたたかいます。
11. 政権選択が問われる小選挙区中心の衆議院選挙の意義を踏まえ、各選挙区で民主・リベラルな政党・政治家による統一候補の擁立にむけ、連合とともに努力します。自治労協力候補は推薦基準に基づき、本部・県本部との協議により、候補を擁立し必勝をめざしてたたかいます。
12. 2004年6月に予定される第20回参議院選挙については、第19回参議院選挙の総括を踏まえて、全国比例に自治労組織内協力候補・高嶋良充を擁立してたたかいます。また、本部・県本部との協議により、地方選挙区で自治労協力候補を擁立し必勝をめざしてたたかいます。連合の選挙闘争方針、統一対応を基礎に地方選挙区では民主・リベラルな政党・政治家による統一候補の擁立にむけ、連合とともに努力します。
13. 具体的な自治労協力候補の推薦については、「各種選挙における自治労の推薦基準」に基づき進めます。
 @ (資格)協力候補とは、組織内協力候補、協力候補の総称で、自治労の運動方針および政策実現のために相互に協力可能なものをいう。
  ア 協力政党の公認または推薦を得た者。
  イ 政党推薦のない無所属候補については、連合の推薦を得た者。
  ウ なお、上記ア、イのいずれの者も当選後、自治労協力国会議員団に加入する。
  エ 協力候補は自治労が推進する民主・リベラル勢力の総結集を中央・地方で進める。
 A (要件)国会議員
  ア 自治労の組合員、組合員であった者を組織内協力候補とすることができる。
  イ 自治労と組織的に密接な関係のある者(顧問弁護士、顧問医師など)および自治労の政策に精通した者(自治研助言者、首長経験者など)を協力候補とすることができる。
 B (協力候補の推薦の多選・年齢の制限)
  ア 協力議員の推薦資格については、6年任期の参議院議員は2期まで、4年任期の衆議院議員は3期12年まで、または立候補時点で満65歳未満とする。ただし、この資格については経過措置を設ける。
 C (推薦手続き)本部と県本部との協議により、大会または中央委員会で推薦決定する。ただし、解散などの緊急の場合は、中央執行委員会で推薦決定し、直近の大会または中央委員会に報告して承認を得ることとする。
 D (一般推薦候補の推薦手続き)
  ア (要件)上記協力候補以外で、自治労の運動方針および政策課題を理解し、本部および単組・県本部が運動上必要とする者を一般推薦とすることができる。
  イ (推薦決定)一般推薦候補の推薦決定手続きは、国会議員については中央執行委員会で行う。

 

11. 国際労働運動の発展を担う連帯活動の推進

 世界規模での経済競争が激化し、それにともない貧困や飢餓、戦争や人権抑圧、環境破壊などの一国的な枠組みでは解決できない問題が深刻化しています。このため自治労は国際的な協調を展望し、日常活動を通じてアジアをはじめとした人々との信頼関係の構築と連帯活動の展開をはかります。また、PSI(国際公務労連)に結集し、労働基本権の確立、人権・民主主義の擁護と基盤整備、環境保全、公共部門改革と男女平等参画の促進などの活動を進め、アジア・太平洋地域で積極的な役割を果たします。
 WTO(国際貿易機関)の公共サービスの自由化をめざすGATS協定(サービス貿易に関する一般協定)には、PSIやICFTU(国際自由労連)などと連携して公共サービスと公共サービス部門労働者に及ぼす影響を検証し、国際貿易ルールによる公共サービスの市場化に反対し、中核的国際労働基準の確立の立場での対策を進めます。また日本政府に対して、ILO条約の早期批准と国内法整備、条約の国内適応の厳格化を求める取り組みを連合とともに進めます。
 子ども、女性、少数民族などの人権と生活を守り自立を支援する活動を、NGO(非政府団体)との連携により推進します。これらの活動を組合員の参加を基礎に公共サービス労働者の技術と知識を活かした活動として展開し、職場・単組からの国際連帯活動を構築します。
 本部としての「子どもの家」事業の財政的支援は終了し、各地連県本部の国際貢献事業の支援を引き続き行います。また新たな国際貢献活動についても検討していきます。

【国際公務労働運動の発展・強化の取り組み】
1. PSIの活動に積極的に参加し、国際公務労働運動の発展・強化をめざします。また、労働基本権の確立、公共部門改革や社会保障政策、環境、男女平等参画など、各国共通の重点課題での理論・運動経験の交流をはかります。
 @ PSI−JC(PSI日本加盟組合協議会)の活動を積極的に担い、日本におけるPSI加盟組合の拡大など、組織強化に寄与します。
 A PSI女性委員会の活動を通して、アジア・太平洋地域のアファーマティブ・アクション計画を推進します。とくに、東アジアの加盟組合の女性参画に中心的な役割を果たします。
   PSIの掲げる参加者構成の男女同数原則を踏まえ、ジェンダーバランスを重視します。
 B PSI加盟組合相互の共通の運動課題において、意見交換の深化・蓄積をはかります。このため、ドイツ公務組合およびフィンランド自治体労組などとの定期交流を実施します。
 C 民営化や規制緩和など公共部門の直面する課題に対し、情報交換や政策活動を担います。
 D 労働組合弾圧、とくに公共部門労働者の労働組合権否定に対し、当該国組合への支援・連帯行動を組織します。

【アジア・太平洋地域を中心とする国際連帯の取り組み】
2. 組織率の低下、失業や移民労働問題、労働運動の弾圧、投資協定による労働者への影響、また、APEC(アジア・太平洋経済協力会議)による経済自由化など、アジア・太平洋地域における労働運動の直面する国際的諸課題に対し、PSI−APRO(PSIアジア太平洋地域組織)、連合とともにICFTUの活動の一翼を担います。
 @ OECD(経済協力開発機構)加盟諸国に共通する課題に取り組むためTUAC(OECD労働組合諮問委員会)やPUMA(公務運営委員会)の活動に参加します。
 A APECに労働組合の意見を反映させるシステムを構築するため、PSI−APRO、ICFTU―APRO(ICFTUアジア・太平洋地域組織)とともに取り組みます。
 B IMF(国際通貨基金)、世界銀行の政策とシステムを抜本的に見直すとともに、日本政府のかかわり方について、NGOと連携して改革提言を行います。とくに、WTOのGATS協定については、公共サービスの国際貿易ルールによる市場化の動きに反対し、ILO(国際労働機関)の中核的国際労働基準を協定に盛り込むようPSIと連携し対策を強めます。
 C 地域多国間銀行のひとつであるADB(アジア開発銀行)に、ILOの中核的国際労働基準の尊重を融資の条件とするよう、PSIと連携して求めます。また、日本のODAを途上国の社会的発展に貢献するものへと改革するため、「ODA基本法」の制定運動を連合とともに進めます。
 D 途上国労働運動の支援のため、JILAF(国際労働財団)の各種プロジェクトへの参加・協力を進めます。
 E 「連合国際協力センター」の活動に、公共部門労働者の持つ技術・技能を活かし参加します。
3. アジアの公共部門労働組合との連携活動を進め、平和・民主主義・人権など普遍的価値の実現にむけた労働運動を前進させます。
 @ 中国・中華全国総工会との交流を進め、平和・友好・人権の理念についての共通基盤の構築をはかります。
 A 韓国の公共部門労働者の労働基本権確立にむけて、日韓の共同・連帯のたたかいを重視し、東アジア・太平洋地域の公共部門労働者の運動強化に努めます。
 B 市場経済への移行期にあるベトナム・モンゴルなどの労働組合に対し、労使関係や労働安全衛生、環境政策などにおける支援・協力を行います。
 C アジア・太平洋地域の公共部門労働組合のPSI加盟を促進します。

【ILO対策の強化】
4. ILOを通した国際労働基準の設定と向上に積極的な役割を果たすとともに、ILO理事、ILO駐日事務所(旧東京支局)、日本ILO協会と連携し、連合に結集して国内における運動を展開します。
5. 「労働における基本的原則と権利に関するILO宣言」により、原則の実現と報告が義務づけられたことを踏まえ、ILOが制定した94号条約(公契約)、105号条約(強制労働廃止)、111号条約(差別待遇禁止)、156号条約(家族的責任を有する労働者)、183号条約(母性保護)の批准促進にむけ、連合とともに取り組みを強化します。

【国際協力活動の強化】
6. 自治労はNGOと連携した国際協力活動を展開し、多文化共生社会や自治体外交に活かせるようにします。
  日常的・経済的活動を通して平和・人権の基盤形成の取り組みを強化します。
 @ 新たな国際貢献活動のあり方を検討します。
 A 自治労の国際活動とPSI加盟組合との連携強化のため、研修生の派遣と受け入れを行います。
7. 自治労の「国際連帯救援カンパ」に取り組み、連合「愛のカンパ」への拠出、人権・環境NGO支援など、有効活用をはかります。また、各国での大規模自然災害などに際しては、率先して支援活動に取り組みます。
8. 世界規模の自治体間ネットワークであるIULA(国際自治体連合)が、2001年にFMCU−UTO(世界都市連合)と合体し、より広域的な組織へと発展(UCLG=United Cities and Local Governments)しました。この組織と新たな連携の検討を進めます。

 

12. 男女がともに担う自治労づくり

 あらゆる分野での男女平等参画は社会の発展に不可欠であり、国際的に社会を改革する上での最重要課題となっています。
 国内でも男女平等参画基本法制定後、「女性のチャレンジ支援策について」の公表、改正育児介護休業法や次世代育成支援対策推進法の施行など、着実に男女平等社会実現という基本法の理念が具体化されつつあります。
 女性が活動のすべての分野とプロセスに積極的に参画することは、労働組合の活性化のためにも重要なことです。自治労は、労働組合内における男女平等参画をより実効ある内容にするために、第73回定期大会において「男女がともに担う自治労計画」第2次行動計画を決定しました。男女平等社会とは、そこに生きる人々が多様性を認め合うことのできる社会です。第1期の総括を踏まえ、男女平等課題を雇用、政策、組合への「三位一体」の男女平等参画をめざす運動として提起した男女平等産別統一闘争を進めます。

【労働組合への男女平等参画】
1. 機関会議・各種集会・行動参画における男女のジェンダーバランスを達成するため、女性の参画拡大目標を30%とします。
2. 第2次行動計画第1期での達成率が不十分であることを踏まえ、クォータ制の導入について具体的な検討に入ります。また、片方の性が偏在する職場および評議会については、男女構成比率に応じた参加をめざします。
3. 本部の男女平等参画を拡大します。
 @ 本部中央執行委員および各種委員会の委員の女性比率について30%以上をめざします。
 A 本部全体の運動の前進を目的として、採用・育成・登用における男女平等参画を推進します。
 B 本部で女性の参加しない会議やプロジェクトをなくすことを目標に努力します。
4. 男女平等参画を保障する教育研修制度を確立します。
 @ 本部の主催する講座の体系的な見直しを行うとともに、主体的に組合活動に参加できるような意識改革を含めた女性参画推進のための科目を設けます。また、中央労働学校の女性参加比率30%をめざし、その達成のための条件整備をはかります。
 A 女性リーダーセミナーについては、基本組織のリーダーの養成機関と位置づけ、引き続き開催します。
 B 会議・集会などの環境整備・運営方法を検討し、「参加したくなる」会議・集会をめざします。同時に「参加しやすい」会議・集会となるよう日程設定などに配慮します。
5. 組織強化拡大にむけて、本部・県本部における女性のオルガナイザーを養成・配置します。
6. 県本部および単組における男女平等参画をさらに推し進めます。
 @ 「男女がともに担う自治労委員会」や「男女がともに担う自治労計画」の取り組みがなされていない県本部および単組については、委員会の設置と行動計画の策定を行います。
 A 執行委員会・各種委員会・機関会議・各種集会などへの男女平等参画を推進し、女性比率30%以上をめざします。
 B 男女平等参画のための啓発の機会としてセミナーや学習会を開催します。
 C 本部作成の「セクシュアル・ハラスメントの防止および問題解決に関する要綱」を参考とし、要綱づくりと啓発活動を行います。
7. 第2次行動計画を推進するため、県本部・単組に対する情報の収集、整備、提供および県本部の行動計画推進にむけて支援するための本部体制の整備をはかります。
8. ホームページ「男女がともに担うweb」の活用をはかり、男女平等参画を推進します。

【男女平等参画運動の推進】
9. 男女共同参画社会基本法を踏まえ、あらゆる社会制度・慣行をジェンダー中立のものにするため、男女平等政策および職場における雇用平等推進にむけ、 「地域自治体政策集」、「レッツ・ステップ・アップ」を活用し、自治体・雇用主要求を行います。この要求実現のために、6月をヤマ場に「男女平等産別統一闘争」を実施します。同時に、春闘期、確定期での問題認識提示と重点課題設定に取り組みます。
10. 正規職員と比較して劣悪な労働条件下にある自治体職場の臨時・非常勤職員、民間事業所のパート労働者について、圧倒的に女性が多いことを踏まえ、職場における男女平等の観点から、均等待遇・公正労働の実現を重点に取り組みます。
11. 連合と連携し、男女平等政策実現のため、政府への取り組みを一層強化します。
12. 次世代育成支援対策推進法の成立を踏まえ、2005年4月1日のスタートにむけて市町村および都道府県の地域の子育て支援や、国および地方自治体を含む事業主の両立支援対策に関わる行動計画づくりを進めます。

【雇用における男女平等の推進】
13. 採用・登用における男女間格差是正
 @ 採用・登用をはじめとする男女間の処遇上の格差を是正し、雇用の全ステージにおける男女平等の職場づくりを推進します。
 A 県本部・単組は、男女別の採用・登用実態、賃金実態に関わる格差の実態と要因を労使間で共通認識し、女性職員の採用・登用の拡大計画の進捗状況の点検を進め、女性の採用・登用等の改善に取り組みます。 (【民主的で公正・公平な人事制度を確立する取り組み】より再掲)
14. 育児休業・介護休暇の男性取得促進策の具体化を強く求めます。当面、配偶者が産後休暇中に男性が育児休業を取得するキャンペーンを実施します。【時間外労働縮減と不払い残業の撲滅】より再掲)
15. 雇用労働分野の規制改革課題については、労働者の権利と雇用を守り、公正な労働基準を確立するよう連合に結集して取り組みます。【公正労働基準の確立と両立支援策を拡充する取り組み】より再掲)
16. 地方公務員共済制度・事業について、性とライフスタイルに中立な制度設計を前提として、両立支援策や福祉事業などを充実するよう対策を進めます。具体的には、育児休業・介護休暇全期間に係わる掛金の免除、休業給付金の支給水準の改善、出産費・出産手当金の増額などを求めます。【共済組合短期給付事業、自治体健康保険組合への対応】より再掲)
17. 「第3号被保険者」については「年金目的税の導入と基本年金制度の創出」による解決をはかります。また、「遺族年金」については、ライフスタイルの多様化を踏まえ、性別とライフスタイルの選択に中立な年金制度とするため、若年の遺族への就労・自立支援策の拡充を前提として、給付水準と対象・要件見直しの実現をめざします。【年金制度の改革】より再掲)
18. 両立支援策の充実、個人差に配慮した快適職場づくりの観点から、女性の安全衛生委員会への参画促進など「男女がともに担う安全衛生活動」を推進します。
19. 職場にセクシュアル・ハラスメント防止委員会や苦情処理委員会を設置させ、単組が積極的役割を果たし、防止にむけた啓発活動を推進させます。被害者救済の相談窓口設置と苦情処理システムを確立し、プライバシー保護の徹底をはかります。
20. セクシュアル・ハラスメント防止をはじめとする労働安全体制の確立・快適職場づくりについて、労働組合書記局も含め事業主責任を明確にし、取り組みを進めます。【安全衛生体制確立と快適職場づくり】より再掲)
21. 労働時間を短縮し仕事を分かち合うことによって雇用を創出し、仕事と家庭の両立支援や職員個人の能力開発・自己実現に資することをめざし、柔軟かつ多様な働き方を選択できる仕組みを導入するため、雇用創出型・多様就業型ワークシェアリングの実現に取り組みます。
22. 本人選択制を担保し、処遇については時間比例按分による均等待遇原則に基づく短時間公務員制度の実現にむけ、地方公務員法などの改正に取り組みます。(【短時間公務員制度の創設とワークシェアリング実現にむけた取り組み】より再掲)
23. パートタイム労働者および有期雇用労働者の均等待遇の確保をめざし、「パートタイム・有期契約労働法」の制定にむけ、連合に結集して取り組みます。
24. 雇用の分野における男女の均等な機会と処遇を確保するため、現行の男女雇用機会均等法を改正し、間接差別の禁止やポジティブアクションの事業主への義務づけなどを規定する「男女雇用平等法」を制定する取り組みを連合に結集して進めます。
25. 看護休暇の請求権化をはじめとする両立支援策の拡充のため、育児・介護休業法を改正し、「仕事と家庭の両立支援法」の制定にむけ、連合に結集して取り組みを進めます。
26. 次世代育成支援対策推進法に基づき、事業主及び特定事業主である地方自治体に対し、男性の育児・介護休業(休暇)の取得促進をはじめとする両立支援策について、新たな行動計画の策定を求めます。(【公正労働基準の確立と両立支援策を拡充する取り組み】より再掲)

【地域における男女平等の推進】
27. 入札の際の適正な履行が確保できる価格制度、アンチダンピングおよび公正な労働基準(ILO94号条約)の確保、受託者による低額な再委託の防止、サービスの質確保と契約後のサービスの検証・評価システムづくりに取り組みます。さらに、社会的価値を重視した経済活動を推進する立場から、自治労モデル案(「社会的価値の実現をめざす自治体入札・委託契約制度の確立にむけて」)を参考に、「自治体公契約条例(仮称)」 の制定を自治体に求め、その具体化にむけて、連合・地方連合会との連携を強化します。(【公共サービスの水準確保と公正なルールづくり】より再掲)
28. 男女共同参画社会基本法を地域で活かし、市民参加による政策づくりと男女平等の地域社会づくりに取り組みます。このため、男女平等産別統一闘争を基軸に、県本部・単組は、地域の特性を考慮した実効性のある 「男女平等条例」、「男女平等行動計画」の策定に取り組み、本部は積極的に支援します。
29. あらゆる分野におけるジェンダーチェックを進め、ジェンダーバランスの確保に取り組みます。このため、地方連合会やNPOと連携し、地域における男女平等実現にむけた政策提言、政策評価などに取り組み、審議会などへの女性の30%以上の登用、自治体内部の女性職員育成・登用を求めます。(【地域男女平等政策の展開】より再掲)
30. セクシュアル・ハラスメント防止対策を人権問題としての視点から取り組みます。啓発、研修とともに相談窓口の設置を自治体に求めます。
31. 配偶者からの暴力の防止および被害者保護に関する法律(DV法)に基づき、ドメスティックバイオレンスを女性への人権侵害として、一時保護所の拡充やDV被害について理解した相談窓口体制の増員、地域におけるサポート体制の環境整備など必要な整備を求める運動を推進します。
32. 女性の性と生殖にかかわる自己決定の権利(リプロダクティブ・ヘルス・ライツ)に基づき母性保護法の改正および刑法の堕胎罪の廃止を求めます。
33. 夫婦別姓の選択が可能であり、同姓から別姓への転換が可能となるよう、民法750条の改正を求めます。
34. 同性愛者、性同一性障害者の基本的人権を保障するため、法制度の改正などの取り組みを進めます。(【性差別と暴力をなくす取り組み】より再掲)
35. 男女平等参画社会の実現をめざす立場から、女性議員の拡大をめざします。(【政治活動、選挙闘争の推進】より再掲)

【国際的な活動における男女平等の推進】
36. 公正労働基準の確立、両立支援策の拡充、男女平等を推進するため、ILO175号条約 (パートタイム労働)、111号条約 (差別待遇禁止)、171号条約 (夜業)、183号条約(母性保護)の早期批准に取り組みます。またILO156号条約 (家族的責任を有する労働者)、165号勧告に示された基準・施策を実現するとともに、ILO100号条約(同一価値労働・同一賃金)の原則の実現に取り組みます。(【公正労働基準の確立と両立支援策を拡充する取り組み】より再掲)
37. 「女性のためのアジア平和国民基金」は2003年5月に償い事業が終了しましたが、自治労は引き続き、女性の名誉と尊厳に関する事業、償い事業にともなう医療・福祉支援事業について、フィリピンでの事業が終了する2007年まで継続して取り組みます。(【戦後補償実現にむけた取り組み】より再掲)
38. アムネスティ・インターナショナルなどと連携し、人権や平和、地球環境保全、開発の犠牲となりがちな女性や子どもの支援など国際人権問題に取り組みます。(【人権を守る連帯活動の取り組み】より再掲)
39. PSI女性委員会の活動を通して、アジア・太平洋地域のアファーマティブ・アクション計画を推進します。とくに、東アジアの加盟組合の女性参画に中心的な役割を果たします。
  PSIの掲げる参加者構成の男女同数原則を踏まえ、ジェンダーバランスを重視します。(【国際公務労働運動の発展・強化の取り組み】より再掲)