諏訪清陵高校に今年度、百人一首の競技に取り組む「かるた部」が発足した。ほとんどが競技初心者で始めた部員は切磋琢磨を重ね、県大会優勝者を出すほどの腕前に成長した。現在は全日本かるた協会が認定する段位の取得を目指し、熱のこもった練習を行っている。高校の競技かるた部は南信地方初という。
「村雨の―」。白衣姿の化学教師が高らかに和歌を詠むと、すぐさま「バン、バン」と畳をたたく音が響く。放課後の理科準備室。床に敷いた畳の上に取り札を並べ、「お願いします」の礼で“畳の上の格闘技”が始まる。週3回行われる「かるた部」の活動風景だ。
一昨年、3年生だった競技かるた経験者が、同好会として活動をスタート。当時から参加していた現部長の笠原萌花さんらが昨年、ポスターを作るなどして仲間を集めた。顧問の岩波文人教諭も担当教科は化学で、競技かるたは未経験。暗中模索しながらも「とりあえず実戦形式で取ろう」と練習してきた。
部員は徐々に増え、現在は1、2年生の男女9人。各自がハンドボール、水泳、英語、華道などの部活動に所属する傍ら、競技かるたにも取り組む。「思った以上に部員が増えうれしい」と笠原部長。週1回は、段位を持つ信大生が教える塩尻かるた会にも参加している。
人数が増え、身近な対戦相手が増えれば腕前の向上につながる。事実、笠原部長ら2人は昨年の県大会で、段位の1歩手前となる上級の部で優勝。部としての活動が本格的に始まって9カ月がたち、岩波教諭は「皆で練習することで強くなっている」とし、北信地方の他校に比べても「追いついてきた」と手応えを口にする。
現在照準を合わせているのは、3月の全国かるた競技学生選手権大会。ここでベスト4に入れば段位の認定を受けられる。さらに、布陣に厚みが増したことで、団体戦への本格的な参戦も視野に入ってきた。7月に開く学校対抗の団体戦に向け、笠原部長は「初参加の前回は楽しんだけれど、次は勝負にこだわりたい」と意欲を見せた。