2歳児放置死事件で6年の実刑 母を信じ続ける長男、子どもより男に走った女

2008-09-03 20:19:47 Theme: スクナビコナのニュース

2歳児放置死で、母に懲役6年の実刑判決
さいたま地裁は3日、幼児3人を住宅に約10日間置き去りにし、2歳の次男を死亡させたなどとして保護責任者遺棄致死傷罪に問われた埼玉県三郷市早稲田の無職・島村恵美被告(30)に、懲役6年(求刑・懲役8年)を言い渡しました。判決理由で中谷裁判長は、「親としての自覚や愛情に欠け、人間性にも疑問を抱かせる。あまりにも冷酷で非人道的だ」と糾弾しました。

判決によると、島村被告は3月3日ごろから約10日間、間借りしていた三郷市内にある被告の祖父母宅の一室に、次男とその双子である長女、そして6歳になる長男を十分な食事を与えずに放置。このうち、次男を栄養不足や脱水症により死なせ、長女にも10日ほどの入院が必要なケガを負わせまています。


08年8月20日、さいたま地裁の初公判
今年8月20日、さいたま地裁で開かれた初公判で、検察側は「育児が煩わしかった」と指摘。また、「同世代の独身女性のように海外旅行をしたり、自由な生活を送りたかった。家族が子育てを手伝ってくれず、自分を犠牲にした育児がばからしくなった」という被告本人の供述調書を読み上げました。
さらに同調書によると、検察の聴取に対して島村被告の長男は「ママからきちんと面倒をみろと言われたのに、僕がお菓子を食べさせなかった。本当に僕が全部悪い。ママは悪くない。ママに会いたい」などと話し、母である島村被告をかばっていたといいます。

一方、弁護側は冒頭陳述で、「中学時代にアル中の父から暴力を受け両親が離婚するなど寂しい思いをしており、育児放棄に走りやすい性格だった」「祖母や母、内縁の夫らが助けてくれず、孤独を感じていた」などと指摘し、被告の生育歴や人間関係も考慮するよう求めました。

2歳児放置死事件の経緯
05年・・・島村恵美被告が、埼玉県三郷市早稲田にある祖父母宅に住み始める。島村家は、市から産業廃棄物処理を請け負う大手清掃業社を営む資産家で、祖父母宅も1000坪以上ある豪邸。

06年・・・恵美被告が双子を出産。島村家は、被告と祖母、長男、双子の次男と長女の5人暮らしとなる。祖父は入院中、恵美被告の父母は近所のマンションで別居、恵美被告の内縁の夫は単身赴任中。

07年・10月・・・次男が病気のため入院。次男の体のアカ、臭いがひどかったため「児童虐待の疑いがある」として児童相談所へ届ける。しかし、恵美被告が4回にわたって児童相談所の介入を拒否。

07年・1月・・・掃除を全くせず、ゴミや使用済みのおむつを室内に放置。次男らのおむつ交換や入浴もさせなくなる。

08年・1月17日・・・警察に「子どもの泣き声がする」との通報が立て続けに2回入る。しかし、泣き声がする家を特定できず。

08年・1月20日・・・警察が情報収集の中で「島村さんの家ではないか」との情報を得る。
島村宅へ事情聴取に向かうが、対応した恵美被告の祖母が「幼稚園に通うひ孫が夜泣きをして、困っている」と答えたのを受けて、警察官は虐待などの心配はないだろうと判断。祖母に「良く面倒をみて欲しい」と伝えて立ち去る。

08年・3月3日・・・恵美被告が内縁の夫とは別の交際相手と同棲するため、3人の子どもを置いて祖父母宅を出て、近所のマンションへ転居。子どもたちに1日に1~2回玄関までファストフードを届ける程度になる。
また恵美被告は、祖母が関わってくることを嫌い、長男に「部屋にお祖母ちゃんを入れないように」と言いつける。

08年・3月13日・・・恵美被告が祖父母宅で、衰弱しきっている長女を入院させるため119番。長男を引き取る。
すでに遺体となっていた次男は放置。恵美被告は次男の遺体を見つけたとき、長男を「お前はママの子失格だ」と平手で殴っていたという。

08年・3月14日・・・恵美被告が、近所に住む被告の父に次男の様子を見に行ってほしいと電話。合鍵を使って部屋に入った父が次男の遺体を見つけて、警察に通報した。

長男はこの家の因縁を断つために生まれたのでしょうが・・・
松本清張が実際の事件に基づいて小説化し、父の手で崖から突き落とされて殺されそうになりながらもその父をかばい続ける長男を描いた1978年公開の映画『鬼畜』を地でいくような、今年3月、島村家で起きた「2歳児放置死事件」。

「お婆ちゃん(被告の母)が子供と一緒のところを見たことがあるけど、家の外で座ってて、携帯電話で話しながらタバコ吸ってて、どう見たって品がない感じだった」
「あの家は他にもマンションを幾つか持ってて、お金はもってるんですよね。でも、あんまりいい印象はないねえ。娘さんは遊び歩いてたみたいだし。大金持ちだから甘やかされてたんじゃないのかしら?」
「近くのマックにお婆ちゃんと娘と子供で行っているのを見たことがあるけど、下品な感じでしたよ。なんだか躾がなってない家族っていう感じだった。お金を稼ぐことしか考えなかったんじゃないの? この立派な家も、悪いけど私たちは「ゴミ御殿」って呼んでるよ」
などマスコミ取材に応じる近所の声を聞く限り、島村家は、資産家であっても名士という評価はされていなかったようです。

そんな島村家に生まれた、3人の子どもに虐待をしてきた張本人であり起訴までされた母を庇い続けた恵美被告の長男。おそらく島村家の因縁を断つために生まれてきたのでしょう。祖父母の助けがなかろうとも、父母が別のマンションで暮らしていようとも、この家族想いの長男を中心に「家族を作る」ことはできていたはずです。

のこされた長男と次女には、家族を作りに失敗しないよう祈ります。



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