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連載・特集

鳥取県選出 4国会議員が語る 新春座談会

医療・福祉
2009/01/01の紙面より

 二〇〇九年が幕を明けた。世界的な金融ショックに端を発し、未曾有の経済危機、雇用不安が日本を襲っている。この経済危機をどう乗り越え、日本再生の道筋を示すのか。また、鳥取県の針路をどう舵(かじ)取りすればいいのか。新春に当たり、鳥取県選出の四人の国会議員に政局や経済対策をはじめ医療・福祉、農業、道路整備、拉致問題など幅広く語っていただいた。
−出席者−
石破  茂衆院議員
(農林水産大臣)
赤沢 亮正衆院議員


田村耕太郎参院議員
(参院国土交通委員長) 
川上 義博参院議員

司会・森原昌人編集制作局長
 

参院議員 
川上 義博氏
参院議員 
田村耕太郎氏
衆院議員 
石破  茂氏
衆院議員 
赤沢 亮正氏

 −見直しを余儀なくされている後期高齢者医療制度の問題について、どうメスを入れるべきでしょうか。

負担割合明らかに

 赤沢 長所は残しながら、短所は丁寧、迅速に見直していきたいと思います。長所について言えば、鳥取県では最初の見直し前でも82%、見直し後は84%の世帯で負担が減っているという事実があります。一方、短所として指摘されているのは、年齢で区分することと天引き。天引きについては今年四月から選択制になり、引き落としでも振り替えでも良いということになります。

 年齢区分については六十五歳以上の方でまとまってもらう制度に改める考えもあります。理想は舛添要一厚労相が言われるように年齢制限のない、県単位のものに改めることですが、そうすると負担が増える人と減る人が出てきます。国民の声をよく聞きながら議論するプロセスが必要です。また、現役世代の負担が今後際限なく増えることではないことを説明するために、負担割合を明らかにすることが説明責任として重要だと思います。

 田村 PRの仕方の問題だったと思います。鳥取県は下がる場合がほとんどで、長期の持続性を考えれば私はそんなに悪い制度ではないと思います。ネーミングや年齢区分が指摘されますが、徹底して誠意を持って説明すれば負担が減る、扶養者の有無にかかわらずフェアになるんだといったことを分かってもらえると思います。一時的には受けが悪いような印象を与えるかもしれませんが、財政の持続性を考えれば悪いやり方ではありません。

方向性間違いない

 石破 制度の方向性は基本的に間違っていないと思います。ただ説明が十分ではなかったのではないでしょうか。公的資金を入れる割合をきちんと決め、若い人たちが負担する割合を決めることがこの制度の趣旨であり、その説明をもっとすべきだと思います。

 川上 被用者保険の加入者であった方は確実に負担増となっています。国保の加入者であった方はあくまでも厚労省の試算でしかなく、本当に負担が減っているかどうかサンプル調査をしないといけないのに、調査がなされていない。まずは調査をするべきだと思います。

 それに市町村間で負担の差が非常に大きい。いったん老人保健制度に戻して医療保険は一元化すべきです。一元化して舛添厚労相が言っているように、若者も高齢者も一つのバスに乗る仕組みにするべきだと思います。みんな全員でやる、市町村に任せるのではなく、都道府県単位で支える。これが最終的な姿だと思います。

 −医師不足についてどう対処すべきでしょうか。鳥取県をはじめとする地方で診療科がなくなる病院が相次いでいます。その原因の一つとして二〇〇四年に導入された新しい臨床研修医制度が指摘されています。地方の医師不足を食い止める手だてについてお伺いします。

第2次医療圏充実

 川上 つい最近まで医療制度改革で医師は十分足りていると言っていました。医師はそんなに養成する必要はない、偏在しているだけで潜在的には大丈夫なんだと。こう言い続けてきたことが問題だと思います。先進国の中で日本の医師の数は極めて少なく十万人は増やさないといけない。そこまで一気に増やそうとすると八年、十年とかかるわけですが、そんなに待てません。

 特に現在は鳥取県の医師の定着率は全国の中でおそらく最低だと思います。何らかの対策を取らなければなりません。鳥取県は今の時点で医師が少ないわけではありませんが、将来的には確実に医師不足に陥ります。となると中期的には第二次医療圏を充実させるしかないでしょう。第二次医療圏を確立してそこに医師をしっかり配置することが必要です。

 赤沢 厚労省から、二年続けて研修医が来なかった病院は研修医受け入れの指定を取り消す通達が出ています。人口の少ない地方にとって非常に酷な話です。定着率の低い鳥取県などはある意味狙い撃ちされて指定を受けられる病院がますます減っていく恐れがあります。

 こういった通達はやめてほしい。正面から何らかの制度見直しを行うことが必要です。医師の個々の希望をみると、少しでも手術の経験を積めたり、患者さんが多く来る病院で腕を磨きたいということです。そういう医師のやる気をむげにはできません。例えば地方の医師の少ないところで二年頑張って勤めると、その後二年は極めて条件の良い所で腕を磨けるとか、やる気のある医師が腕を磨きながら地方に来てくれる形を仕組んでいく。制度的な見直しが必要でしょう。

訴訟リスク軽減を

 田村 私も地方で研修する動機付けをするべきだと考えます。地方で勤務すれば、その医師がその後に勤務する大学病院などの組織で出世につながったり、報酬面などの経済的利得が加算されるような仕組みを長期的に設けなければ、地方に来てもらえません。また産科など訴訟リスクが非常に高い特定の科では医師のなり手が少ないため、訴訟になった場合は国家が賠償金を支払うなどの保険をかけ、リスクが高まらないようにしてあげることも必要でしょう。

 石破 総合臨床研修が行われるようになって大学病院が自治体病院に出した医師を引き揚げるようになったこと、インフォームドコンセント(十分な説明と同意)が要求されるようになり、書類を作成する時間が増えたことなどで勤務医に過度の負担がかかっています。負担を減らすためにも開業医との連携が必要です。例えば兵庫県の丹波市のように地域の医師を大事にし、すぐに医師に診てもらうコンビニ診療はなるべく抑制するような取り組みを総合的にやっていかないと医師不足の問題は解消しないと思います。


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