南米コロンビアに中国人観光客が殺到

ビザ免除に便乗し北米行き狙う

苅田保(2007-06-07 22:00)
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 南米コロンビアが、中国人旅行客の入国ビザ免除を決定したところ、コロンビアに中国人客が殺到する事態になった。しかし、これは必ずしもコロンビアが観光地として中国人に人気があるからではなく、コロンビアを経由して北米の米国やカナダに就業のために入り込もうとしている疑いが濃くなった。このためコロンビア政府は、5月から中国人旅行客のビザなし入国を中止することを決めた。

 コロンビアの週刊誌『セマーナ』などによると、中国からのコロンビアへの入国者は2004年には約860人だったが、中国人旅行客への観光ビザ免除を決めた1月から、中国人客が急増、3月までの集計だけで、3490人に達した。

 中国人のビザなし入国を認めたのは、これまで南米ではコロンビアだけ。これに目をつけたのが、中国を拠点とする犯罪集団「スネークヘッド(蛇頭)」などだ。スネークヘッドは中国人の密入国などに関与し、海外各地にネットワークを持っている。コロンビアの中国人旅行客へのビザ免除決定に速やかに便乗し、中国人をニュージーランド、チリ経由でコロンビアまで空路、送り込んでいるとされる。

 空港ではビザ免除のために難なく合法的に入国できるので、怪しまれることはない。中国人たちは、コロンビアでほかの仲間に引き継がれ、最終目的地の米国やカナダに送り込まれる作戦だ。

 今年4月、首都ボゴタから30キロ離れたシパキラ州で、2軒の家に隠れていた中国人計101人が発見された。彼らがスネークヘッドの仲介を利用したものかは不明だが、彼らの最終目的地も米国かカナダだった。

 このうち59人が見つかったパソアンチョの村では、中国人たちは当初は、窓から外をのぞくだけで、姿を見せようとはしなかった。しかし、家の周りで遊ぶ子どもたちを見ているうちに警戒感が解けたのか、数日後に外に出て子どもたちとサッカー、バスケットボールを興じた。その後、近所の大人たちと、ドルや中国貨幣と引き換えにたばこを交換したりした。

 しかし、小さな村だけに多数の中国人の存在は、公安警察などの耳に入り、摘発された。ほかの家では42人が見つかった。いずれも狭い部屋に雑魚寝(ざこね)状態だった。警察の調べでは、101人のうち21人を除いて、旅券や飛行機のチケットを持っていなかった。年齢は20~30歳代と若く、仲介者に6万ドル(約720万円)程度払っていたという。

 警察では、組織の者が旅券などを預かっている可能性があると見ているが、発見された中国人がスペイン語を話せないことや、身元を証明する旅券などを所持していないため、当局側も事件解明に手間取っている。またコロンビアからどうやって米国、カナダまで送り込む予定だったのかもわかっていない。

 ボゴタの中国大使館はコロンビア政府に協力する意向を表明している。一方、ボゴタ周辺でもその後、民家に潜伏していた中国人が多数発見されている。最終的に何人の中国人が送還されるかは不明だが、送還の航空運賃を、コロンビア政府が負担する可能性があるため、思わぬ出費増に、コロンビア政府も頭を痛めている。

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