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【コラム】インド人たちの反韓デモ

 英日刊紙フィナンシャル・タイムズは先日、「外国人船員は韓国入港を拒否することを決意した」と報じた。

 2007年12月に忠清南道泰安半島沖で、サムスン重工業所属のクレーン船と、香港船籍のタンカー「ヘベイ・スピリット号」が衝突、原油が流出した事故があった。この事故で同号のインド人船長と一等航海士が拘束されたことに抗議し、船員が韓国入港を拒否することを決めたというのだ。同紙は、「韓国入港拒否の動きが広がれば、原油をはじめとするエネルギーのほとんどすべてを海外から船舶で輸入している韓国にとって、深刻な影響があるだろう」と指摘している。また、同紙によると、インドでは韓国製品に対する不買運動も始まったという。

 こうした反韓の動きが出ているのは、先月10日に行われた泰安沖原油流出事故の控訴審で、一審で無罪判決が出た同号船長と一等航海士がそれぞれ禁固1年6カ月と8カ月を言い渡され、法定拘束されることになってからのことだ。フィナンシャル・タイムズは「彼らの拘束に対し、外国の船員労働組合など海運団体が反発しているのは、多くの国々が海上事故による汚染を、自国企業や政府当局者ではなく、外国船員に責任転嫁しているため」と説明する。

 この記事が報じられると、韓国国土海洋部は直ちにA4用紙1枚分のプレスリリースを配布した。「好ましくない事態が発生しないよう、インド海運当局と緊密な協調体制を維持していく方針」ということだった。そこには、「インドで行われた抗議集会に対する一般人の関心は非常に低く、現地メディアは韓国製品不買運動など船員組合の反韓活動に同調していないことが分かった」という「ご親切な」説明まで付いていた。

 この事態は、国土海洋部が説明する通り、本当に心配する必要がない「アクシデント」なのだろうか。

 インド人船長と一等航海士が拘束されると、インド船員組合(NUSI)やインド海事組合(MUI)は先月16日、船員とその家族約20万人に、韓国製品の不買を勧告する電子メールを送った。五日後、インド南東部の港湾都市チェンナイでは、約500人(現地メディアは1500人と推定)が抗議デモを行った。デモ隊のうち、一部はサムスン電子の工場前で「韓国とサムスン電子は出ていけ」と叫んだ。先月23日にインド・ムンバイで起きたデモでは、デモ隊がサムスン電子製の携帯電話やテレビなどを壊すパフォーマンスまで行った。

 チェンナイの大韓貿易投資振興公社(KOTRA)関係者は「インド人の傾向を考慮すると、インド船員組合員の大規模デモは、徐々に現代自動車・サムスン電子・LG電子などの韓国製品に対する不買運動に広がる可能性があり、政府の積極的な対応が求められる」と話す。実際、インド商船協会は「1週間に約4000台の現代製自動車の船積み台数は減るだろう。船長らが釈放されなければ、現代製自動車を搬入できないようにする」と宣言している。

 同号船長と一等航海士を拘束した韓国の裁判所の判断に対し、外国で問題を提起するのが正しいかどうかについても、論争が巻き起こる可能性がある。

 しかし、少なくともこうした事態により反韓感情が芽生え、韓国製品に対する不買運動に広がる事態を目にしながら、何の手も打たない韓国政府の職務放棄については、このままにしておけない。

 怒りに満ちたインドの人々は、彼らの主張通り「韓国に深刻な打撃を与える」可能性がある。韓国政府は正確な状況把握と、それに基づく対策を立てなければならない。ただでさえ苦しい国の経済が、とんでもない理由で破たんするのを黙ってみているようなことは、あってはならない。

趙正薫(チョ・ジョンフン)記者(社会部次長待遇)

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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