09年度介護報酬改定の概要(2) 訪問系サービス
■訪問介護
訪問介護では、短時間の訪問について加算を厚くする。身体介護(30分未満)は現行から23単位がプラスされて「254単位/回」となるほか、生活援助(30分以上1時間未満)は21単位プラスの「229単位/回」に改定される。
特定事業所加算は、訪問介護員などのキャリアアップ促進を念頭に、算定要件を見直す。
特定事業所加算は、(T)−(V)の3つに分かれているが、(T)は「体制要件」「人材要件」「重度要介護者等対応要件」のすべてに適合することが算定の条件。(U)は「体制要件」を満たし、「人材要件」の(1)または(2)に適合する必要がある=表=。(V)は「体制要件」と「重度要介護者等対応要件」の適合が条件となる。
(T)では所定単位数の20%を加算し、(U)と(V)はそれぞれ10%を加算する点については、現行のまま。
また、サービス提供責任者が、特に労力の大きい初回時と緊急時に対応した場合の加算を新設する。
初回加算は「200単位/月」で、サービス提供責任者が、新規に訪問介護計画を作成した利用者に、自ら訪問介護を行うか、他の訪問介護員に同行して訪問介護を行う場合に加算される。
緊急時訪問介護加算は「100単位/回」となっており、利用者やその家族などから緊急要請を受け、サービス提供責任者がケアマネジャーと連携し、ケアマネジャーが必要と認めて居宅サービス計画にない訪問介護(身体介護)を行った場合に加算される。
■訪問看護
訪問看護では、長時間訪問看護加算「300単位/回」が新設される。算定要件は、特別管理加算の対象者に対し、1回につき1時間30分を超える訪問看護を行った場合、訪問看護の所定サービス費(1時間以上1時間30分未満)に加算する。
また、複数名訪問加算も新設される。2人の職員が同時に1人の利用者に訪問看護を行った場合、30分未満の場合は「254単位/回」、30分以上では「402単位/回」が加算される。加算は、複数の職員が訪問看護をすることについて、利用者やその家族などの同意を得なければならない。
算定要件は、(1)利用者の身体的理由により、1人の看護師による訪問看護が困難な場合(2)暴力行為、著しい迷惑行為、器物破損行為などが認められる場合(3)利用者の状況から判断して、(1)または(2)に準ずると認められる場合−のいずれかに該当する必要がある。
訪問看護におけるターミナルケアでは、医療保険との整合性を図るなどの観点から、算定要件の緩和と評価の見直しを行う。
ターミナルケア加算は、現行から800単位プラスとなる「2000単位/死亡月」に改定される。算定要件も変更され、▽死亡日からさかのぼって14日以内に2回以上ターミナルケアを実施している▽主治医と連携し、利用者やその家族などにターミナルケアの計画や支援体制を説明し、同意を得た上でケアを実施している−ことが必要となる。
■訪問リハビリテーション
訪問リハビリテーション費は、これまで1日単位で算定していたのを、1回当たり「305単位」に変更する。20分間のリハビリを行った場合、1回として算定する。
また、介護老人保健施設(老健)で通所リハビリを受けている利用者が、通所できなくなっても、通所リハビリ終了後1か月以内に限り、その施設の配置医師がリハビリ計画を作成することで、スムーズに訪問リハビリに切り替えられるようにする。
このほか、短期集中リハビリテーション実施加算の評価を見直す。退院・退所日または認定日から起算して1か月以内の場合、「340単位/日」(週2回以上・1回40分以上)と現行から10単位プラスされるほか、1回の時間も「20分以上」から「40分以上」に変更となる。
■居宅療養管理指導
居宅療養管理指導では、看護師が居宅療養している要介護者(要支援者)やその家族の療養上の相談に乗ることなどを評価する。
居宅療養管理指導費は、看護師が行う場合、「400単位/回」とする(准看護師が行う場合は所定単位数の90%で算定)。
薬剤師による居宅療養管理指導では、薬局の薬剤師が在宅利用者に指導する場合の居宅療養管理指導費は、当月の1回目の指導は1回500単位で現行通りだが、2回目以降は「300単位/回」から、「500単位/回」に変更される。
医師や歯科医師の指示によって策定した薬学的管理指導計画に基づき、利用者を訪問して管理指導を行い、関係職種への報告などを行った場合に算定となる(1か月に4回が限度)。
ただし、末期の悪性腫瘍の人または中心静脈栄養を受けている人は、月間8回を限度として算定できる(週間では2回まで)。また、病院・診療所の薬剤師が行う場合、月2回を限度とする。
居住系施設に入居する要介護者(要支援者)に対する居宅療養管理指導(薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士などに限る)について、移動などの労力が在宅利用者への訪問に比べて少ないため、評価を見直す。
居住系施設に入居している利用者の場合の居宅療養管理指導費は、病院や診療所の薬剤師が行う場合、「385単位/回」(月2回まで)となるほか、薬局の薬剤師が行う場合は「350単位/回」(月4回まで)に変更される。
管理栄養士が行う場合は「450単位/回」、歯科衛生士などが行う場合は「300単位/回」に変更する。
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