長崎市立市民病院と日赤長崎原爆病院の統合問題で、長崎市南部の自治会長ら約20人が6日、統合に反対し、「建設場所を変更せず14年春の開院」を求める要望書を田上富久市長に提出した。「長崎市は南北に長く、混雑するJR長崎駅周辺に移転すると南部の住民は困る」「県の意見に左右されず市全体の医療を考えてほしい」としている。
要望したのは、市中心部から旧三和、香焼、野母崎町までの16連合自治会。
自治会長らからは「高速道路に近い現在地がアクセスも最適」「南部には病院が乏しい。半島部の住民にとっては市民病院は重要だ」「広島、長崎にしかない原爆病院が失われ、後障害に苦しむ被爆者の医療が放棄されることは許されない」と、現計画堅持を求める意見が相次いだ。
さらに「長期間の議論を経て、やっと現在地での建て替えが決まって安心していたのに、県はなぜ今ごろ統合を求めてくるのか」と、県の姿勢を疑問視する意見も出た。
既に被爆者5団体も被爆者医療堅持を理由に統合反対の意向を示している。田上市長は「市全体を考え、県の構想をしっかり検証したい。高度医療は当初から市の計画に入っていた。どのみち建て替えのスケジュールを後にずらすことはない」と応えていた。【錦織祐一】
〔長崎版〕
毎日新聞 2009年1月7日 地方版