大分県豊後高田市で5日、成人式があり、昨年11月にがんで亡くなった山田泉さんが養護教諭時代に行った「いのちの授業」の1期生が、大人の仲間入りをした。晴れ着やスーツ姿の教え子17人は、山田さんの写真と一緒に式に出席した。
山田さんは乳がんのため2000年に市立田染(たしぶ)中学校を休職、02年に復職し、2年生の総合学習の時間を中心に「いのちの授業」を始めた。
式では、当時同中の2年生だった大学2年の永岡美鈴さん(20)=山口県下関市=が「先生と出会い、臨床工学技士として働く進路を決めた」と思いを披露した。「ハンセン病と人権」をテーマに授業を行った時に講演した菊池恵楓園(熊本県)入所者の阿部智子さん(68)も駆け付け、式後は17人に臨時いのちの授業を開講。「山田先生が一生懸命伝えた命の重さ、大切さを忘れないでほしい。自分の道を見つけ、努力して」と呼び掛けた。
渡部晃弘さん(19)=豊後高田市=は「先生に成長した姿を見てほしかった。思い出を胸にしっかり生きていく」と思いをあらたにしていた。
=2009/01/06付 西日本新聞朝刊=