2007-08-10 shi3z showアーカイブ
■部下が致命的なミスをするのは全面的に上司の責任
ここ数週間、とても信じられないようなミスが頻発して、お客様に多大な迷惑をかけてしまっていて、毎日胃がキリキリ痛い時間を過ごしています。
外はこんなに晴れているのに。shi3z showは相変わらず脳天気に放映され続けているのに、その裏側では、僕はもうノイローゼになりそうなくらいこの問題について悩んでいます。
最初は「なぜこんなミスをするんだ」と部下を叱責しました。
けれども、何度注意しても直りませんでした。
すると僕はとんでもない勘違いをしていたことに気づきました。
彼らが致命的なミスを犯すのは、僕のせいだったのです。
それまで、僕は彼らに「絶対にミスを起こさないようにしろ」と言うだけでした。
しかし、実際にはミスは続いておきました。
そこで気づいたのは、「ミスを起こさない努力をどれだけ重ねても、ミスは起きる」という当たり前のことです。
ミスには二種類あります。
問題にならないミスと、致命的なミスです。
この二つのミスは、最初は同じミスです。しかし、ある場合は致命的なミスとなり、ある場合は問題にならないミスとなります。
たとえばひとつひどいバグがあったとします。
このバグを、製品のリリース前に発見出来ていれば、製品のリリース前に修正でき、これは問題にならないミスになります。しかし製品のリリース後に発見された場合、多くは致命的なミスとなります。
全く同じミスであっても、発見される時期の違いによって致命的であるか無害であるか決定されるのです。
だとすれば、ミスを無害なものにするためには、できるだけ早い段階でそれを発見する仕組みの確立が必要です。
これは当たり前のことで、どこの会社でもどんな組織でもやっていることです。
しかしそれでも致命的なミスは起きてしまいます。
それが起きる要因は様々ですが、根本的な要因は共通しています。ミスを早い段階で発見する仕組みの欠如です。
ミスを致命的なものでなくすためには、ミスをリリース前に発見する仕組みを「必ず」入れなければなりません。
これは正しくルール化され、常に完全に守られなければなりません。
正確な手順やルールが定められている場合、かなり高い確率でそのルールは守られるはずです。
それが現場に守られない場合、それを守らせる強制力を持たない上司に問題がありますし、それを実際に作業する人間がどうしても守れないのであれば、そういう人間を採用し、使っている上司に問題があります。
ミスは起きますがそれが致命的なものにならないようにするためには、それなりの制度と仕組みが必要で、どんな場合でも問題を未然に発見し、解決するような体制が必要です。
これは組織そのものの問題ですので、全てのミスの起きる原因は彼らの上司の上司である僕にあったのでした。
僕ら仕事では、致命的なミスはすなわちお客様の利益や信用の毀損となります。システムを提供する側として致命的なミスは決して許されません。
それを守るために必要なのは、従業員を教育したり、叱責することだけでは全く不十分で、そのやり方で防げるミスはせいぜい全体の99%程度です。
99%のミスを精神力で防いだとしても、1%のミスは必ず起きます。しかし1%というのは非常に大きな数です。一ヶ月に処理するタスクが100あれば必ず一回はミスをすることになります。
問題はそのミスを早い段階で発見できないことです。
仮にとても大きなミスをしたとしても、それがすぐに発見されれば致命的になる前に直すことが出来ます。
そのための仕組みを作り、守らせるのは僕の仕事です。
そういうことを疎かにして、経営とか戦略とか研究開発とかを考えていた自分をとても情けなく思います。
これからしばらくの間、利益率を下げてでも、というか赤字になる期間をある程度覚悟してでも、社内体制を一新し、再発防止のために全てのリソースを投入して、ミスを未然に防ぐという、ごく当たり前のことができる会社にしていくつもりです。
テレビ会議で6時間に渡って国内のスタッフと相談し、まずは即日で運営サポート体制を一新しました。
さらに一週間以内に全ての案件処理、要望管理方法をシステム化し、あらゆる変更・修正要望を一元化することにします。もともと一元化はしていたのですが、システムがオフラインベースだったので、これだけサイトが増えると到底管理できなくなってしまいました。
これらの施策に関してはかなりコストを掛けて一斉にやります。
当たり前のことですが、お恥ずかしいことに僕がきちんと出来てなかったことです。
現状を猛省し、全力で信頼回復に努めるしかありません。
飛行機の中でも全力でチェックリストの確認です。
部下の失敗の責任は上司にある、という言葉の本当の意味を今更になって実感した日でした。
本来、社外の人の目に触れる文章に書くべきことではないかも知れませんが、強い自戒の意味を込めて公開します。
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