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2009年1月7日

 20年前のきょう「昭和」が終わり、「平成」の新しい元号が決まった。新元号が書かれた額を、当時の小渕官房長官が神妙な面持ちで披露した光景を思い出す

「内(うち)平(たいら)かに外成る」「地平かに天成る」。国の内外にも天地にも平和の願いを込めた「平成」である。「修文(しゅうぶん)」「正化(せいか)」の名も最終候補に残ったが簡明さを選んだ、と当時の紙面にある。が、そのあまりの平易さに意表を突かれた記憶もある。紙面にも、親しみやすさを歓迎する声と並んで「パッとしない」「もっと現代風なものを期待していた」という県民の声が載っている

小さな子どもでも「平成」と書ける。そんな名は、ありがたみが薄い、という声も当時は聞いた。もうそんなことを言う人は周囲にはいない。使いこなすうちに愛着が増す大事な品がある。平成の名も、日々の暮らしになじんで久しい。歳月は不思議な力を持っている

もっとも、新元号に対する戸惑いと一緒に、「内平かに」の願いまでが遠い記憶になってしまった気配もする

小さな子どもでも抱く「平成」の願いが、切実さを増すだけのような20年の節目である。


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