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日米関係の新たな展開

2009年1月7日

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 金融危機という大火事が米国政府の懸命の消火活動で若干下火になると、借金の山が姿を現してきた。政府が鎮火の先頭に立ち、借金が急増している。何とかして景気を浮揚させるため、金融機関の救済や景気対策で財政支出を増やしているからである。

 今の米国経済は景気低迷の出口がまったく見えず、急増する政府の借金は重い。近い将来、経済活動にのしかかることになり、借金を処理する必要に迫られるだろう。そこではインフレ、債務不履行、そして債務免除の中での選択となる。だが米国に選択の余地はあまりない。

 まず、インフレにはなりにくい。この10年間過剰流動性が蔓延(まんえん)した結果、資源開発から素材、部品、製品までグローバルに設備投資が行われた。ところが金融危機となり、最大にして最後の買い手である米国の消費者が買い物しようにも借金ができなくなった。世界経済は構造的な超過供給能力を抱えてしまった。インフレどころか、デフレが懸念されているくらいの状況にある。

 次に、米国政府が債務不履行、すなわち借金を踏み倒せるかというと、これも難しい。多くの新興国は外貨準備として多額の米国債を保有している。米国政府が債務不履行を起こすと、新興国の財布の中身が減少する。世界経済は縮小し、ドル離れを引き起こして大混乱となることは避けられない。

 残された手段は、債権国に対して米国の債務を免除してもらうことである。そうなると、同盟関係にある日本が話を持ち掛けられる可能性が高い。世界最大の純債権国であり、外貨準備として多額の米国債を保有していることもある。

 年初にあたり、新たな日米関係の構築が予感される。(岳)

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