トップ > 中日スポーツ > 芸能・社会 > 紙面から一覧 > 記事
【芸能・社会】海老蔵 大変身!! 断酒菜食結婚2009年1月6日 紙面から
海老蔵が語った、語った。人気歌舞伎俳優の市川海老蔵(31)が、昨年に続いて東京・新橋演舞場で昼夜に八面六臂(ろっぴ)の活躍を見せる奮闘公演で新春のスタートを切った。歌舞伎三昧だった昨年は「運気」で飛ばしたことを明かしたかと思えば、10月から断酒中であることも告白。さらには結婚についても「しなくちゃいけないんじゃない」。燃え盛るマグマを秘めた若武者は今、猛然と時代を切り開こうとしている。 (本庄雅之) ◆知る人ぞ知る大食漢昨年末、京都南座に出演していた海老蔵は、以前にも増して精悍(せいかん)な顔つきと格闘家を思わせる立ち姿。その秘密は、10月6日からの断酒と菜食主義への切り替えにあった。 体重は69キロ(身長176センチ)。宮沢りえと現代劇「ドラクル」(07年)で共演した時にも、90キロから70キロに減量して周囲を驚かせたが、今回はそれ以上だ。 「レオナルド・ダビンチとかピカソとか尊敬する人が菜食主義が多いのよ」。あっさり明かした。海老蔵の大食漢ぶりは知る人ぞ知る。朝からステーキやすっぽん、魚類を5皿など当たり前。「芝居のために一生懸命食うわけ、へばらないように」。でも、その結果、「頭の血は全部胃袋に消化に向かうから眠くなっちゃって、演舞場とか歌舞伎座に着くと何かテンション低い」。そこで野菜に替えたところ「調子がめちゃくちゃ良くなった」。今は、朝、バナナや豆乳、青汁の粉をシェークしたものを飲んで済ませているという。 さらに、酒もやめてしまったというから、自然に体は絞られたわけだ。断酒については、願掛けもある。「やっぱりおやじが元気になるまでは好きなものはなるべく絶とうと。とにかく元気になってもらわないとね」 以前はテキーラのボトルをイッキ飲みしても平気だった体が、洋酒入りのチョコレートを食べただけで酔ってしまうようになった。「人間って変わるもんだなぁ」と自ら驚きを隠さない。 ◆父復帰「ありがたい」父・団十郎の復帰は、ことのほかうれしそうだ。国立劇場で父が「象引」、自身は「七つ面」。歌舞伎十八番の“復活狂言対決”となった。 「ありがたいよね。おやじにはどんどん復活してもらいたい。やっぱり神様は父に生きろと言ってるんだよね」 「象引」が27年ぶり、「七つ面」は26年ぶり(市川宗家としては73年ぶり)の上演。「古風な立ち役の踊りを作り、お正月の出し物として残したい」との思いで、錦絵などを元に、ほぼゼロから作り上げた。江戸歌舞伎の総本山と言われる市川家に伝わる歌舞伎十八番には、こだわりがある。 「やんなくちゃいけないんですよ、だってほかに誰がやるんですか。市川団十郎家なんだもの」。使命感というより当然の意識。こんな言葉も飛び出した。 「機会を与えていただいた以上、市川団十郎家らしいアピールをしっかりしていくことが歌舞伎にとっていいことだと思う。市川家がしっかりしてることによって周りの方々もいい環境でできるんじゃないのかなと思うし、だから頑張るしかないよね。頑張ってるよ、フフフ」 昨年正月は、新橋演舞場で初めて座頭という責任を負って、大入り満員の成功で終えた。その後も「義経千本桜」知盛、「加賀見山旧錦絵」岩藤、「伽羅先代萩」仁木弾正など大役に次々と初役でチャレンジ。1年のうち8カ月を歌舞伎公演で過ごした。 歌舞伎に集中したのは、「いい運気だし、30という年齢もあって、やっぱり歌舞伎というものをちゃんとやんなくちゃいけないんじゃないかなと思って」。そして、「やってみると全部難しい、歌舞伎って。今まで楽しいということもあまり感じなかったんですけど、やり遂げた喜びは感じられるようになった」と素直な心境を明かした。 ◆まだ自立できてない
正月公演の6役の中でも「義経千本桜」いがみの権太は、自分と重なるという。前半は悪党ぶりを見せ、あるたくらみから父の手にかかる。が、それは命をかけた親孝行だったという筋立てだ。 「めっちゃおれなの。もんのすごいボクですよ、これ。今までで一番共感できる。悪いし、けっこう根が優しい。それで機転が利くし。ほんとはおやじのことすげぇ大事に思ってるんだよ。自分で言うのも変だけどおれ、根が優しいんだよ。だから逆に冷たく当たる、似てるんだよ、その辺が」。これで「義経−」の知盛、忠信、権太と3役を演じることになり、将来の通し上演が期待される。 昨年末、テレビ朝日系「オーラの泉」に出演する際、母親から「結婚するのかだけ聞いてきなさい」と言われ、江原啓之さんに「地に足がついてから」と“診断”された。「だから養子をもらうしかない。やっぱ子供つくった方がいいかな。子育ては毎日したくないんだよね。無理無理無理」。自分の血を残したいという思いは? との質問に、「養子にした後、輸血すりゃあいいんじゃないの」とはぐらかしてから、真顔で「まぁ結婚はするでしょうね、っていうかしなくちゃいけないんじゃない」。初めて結婚について言及した。 それでも、「まだ自立できてないから、女房の世話とか、子供の面倒とか無理だし」。では、どうなれば自立? 「わかんねぇ、やっぱ歌舞伎をいっちょまえに、まぁいっちょまえにやってるつもりなんだけど、いっちょまえにできてないんで、いっちょまえにできてから。歌舞伎もさることながら人間性としてね…まだまだ遊びたいし」 今年は、「やるときはやる、休むときは休む」。正月の後、久しぶりに2カ月舞台を離れ、4月に名古屋・御園座で「雷神不動北山櫻」の再演が待っている。 ◆新橋公演27日まで海老蔵は3日から公演中の新橋演舞場で昼は「口上」「義経千本桜」(木の実、小金吾討死、すし屋)「お祭り」、夜は「七つ面」「弁天娘女男白浪」に出演。本興行でにらみを披露する「口上」は、襲名披露公演以来。江戸時代から、にらまれるのは、邪気を払う縁起のいいものといわれている。今年の海老蔵は酒を断ち「修行僧のよう」というだけあって、御利益がありそうだ。公演は27日まで。
|