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東京・新橋演舞場で開催中の「初春花形歌舞伎」(27日まで)に出演中の歌舞伎俳優・市川海老蔵(31)がこのほど、スポーツ報知のインタビューに応じた。歌舞伎にまい進した2008年は、末梢(まっしょう)血同種移植を受けた父・市川團十郎(62)の存在の大きさも痛感。成田屋の家の芸「歌舞伎十八番」に生涯を通じて取り組んでいくという歌舞伎に対する決意から、気になる結婚観まで、大いに語り尽くした。
歌舞伎界で最も注目を集める男。発想も海老蔵流だ。「2008年は歌舞伎をちゃんとやらないと、と思ってた。俺は旧暦でモノを見てるから、お正月はまだ08年だね」
そんな09年の初舞台は「口上」では市川家のみが許され、観客の邪気を払うと言われる「仕初式」の「にらみ」を1885年以来、124年ぶりに行うほか、成田屋のお家芸・歌舞伎十八番の「七つ面」も市川宗家としては1936年以来73年ぶりに上演。昼夜合わせて5演目全6役を演じている。
父に12代目市川團十郎を持つ、歌舞伎界の代表的な家系・市川家の後継者。昨年も歌舞伎十八番の大役に多く挑戦しており、今回も「家の芸」が数々復活。成田屋の継承にこだわるのは何なのか。海老蔵は「やらなくちゃ、いけない。市川家なんだから」と言い切る。
「歌舞伎の世界は30でも若造だから、意識していてもなかなか出来ない。でも、僕は運がいい。父がまだいる。父がいるというだけで、わがままやっても、失敗してもどうにかなる。去年もオヤジがいなかったらケチョンケチョンに言われてもおかしくない」と父の存在の大きさを口にした。
「それと、僕は言われても平気なタイプ。だから機会を与えてくれた時に、市川宗家をアピールしたい。市川家がしっかりすることは、歌舞伎界にとっていいことと思う」特に「歌舞伎十八番」は「七つ面」のように現在ではほとんど上演されていない演目もあり「生涯を通して全部やんないといけないんじゃない」と誓う。真っすぐな視線に、自然に熱を帯びる口調。強い思いが伝わってきた。
父・團十郎は昨年7月、末梢血同種移植手術を受けたが10月には退院。「11月の公演では父に手取り足取り教わって、ありがたみを痛感しました」と感謝が口に出る。今回、海老蔵が出る役で務める「義経千本桜」のいがみの権太は、すでに演じている知盛役、忠信役との3役で「立役の卒業論文」と言われる大役。そのために、12月に海老蔵が公演を行っていた京都まで、團十郎がけいこをつけに来てくれたという。
團十郎は今月、国立劇場で歌舞伎に復帰。こちらも歌舞伎十八番の「象引」を27年ぶりに上演している。「今回助かったのは神様が生きろと言っているんだと思う。どんどん復活して『十八番』をやってもらいたい。最終的には、自分の財産になるんです」父への感謝を胸に、海老蔵はまたひとつ大きくなる。
▼結婚は「無理でしょ」
昨年、テレ朝系「オーラの泉」に出演し、江原啓之から「結婚は地に足がついてから」と言われた。海老蔵は「結婚? 無理でしょ。養子に受け継げばいいんじゃない」と冗談めかす。「女房の世話も出来ないし、子どもの面倒も無理。いつかは結婚しなきゃいけないけど、自立してないからな」と結婚観を語る。「歌舞伎もいっちょ前にやってるつもりだけど、出来てないし。まだまだ遊びたいし」という。
とはいえ、海老蔵の結婚、恋愛は一大関心。「東京にいる時は、1週間で2、3日はつけられてる」とマスコミから徹底マークを受ける。禁酒中のため、友人と食事後に車を運転して送ることもあるが「シャンパングラスにジンジャーエールを入れて飲んでいたのに、見ていたマスコミから『飲んでませんでした?』とか言われた」と笑い話もしながら「友達なのに迷惑がかかる。撮るんだったら、撮らせる用の女性を連れてきてもらいたいよ」と豪快に提案していた。
▼「親父が元気になるまで」願掛け 肉、魚、酒断ち
昨秋ごろから「ダ・ビンチとかピカソとか、尊敬する人にどうも菜食主義が多い」とベジタリアンに。「前は仕事行く前にステージにスッポン、野菜は30種類、魚は5種類とか食ってた」それが今は「朝はバナナに豆乳、青汁の粉を入れてシェーク。胃に血が行かないから、朝からものを考えられる」。
最大90キロあった体重は、現在69キロ。「高校時代の感じ。元気だよ」また菜食主義には、父・團十郎の健康への願掛けの意味合いもあるという。「肉、魚、酒を断ってます。オヤジが本当に元気になるまで、好きなものを断とうと。今は元気ですけど、また入院とか油断ならない。とにかく、元気でいてもらわないと」
團十郎は04年から急性前骨髄球性白血病を2度発症。昨年も血液型がAからOに変わるという移植手術を受けている。
◆市川 海老蔵(いちかわ・えびぞう)本名・堀越孝俊。1977年12月6日、東京都生まれ。31歳。12代目市川團十郎の長男。83年5月、歌舞伎座「源氏物語」の春宮で初お目見え。85年5月、歌舞伎座「外郎売(ういろううり)」の貴甘坊で7代目市川新之助を名乗り初舞台。04年5月、歌舞伎座「暫」の鎌倉権五郎ほかで11代目海老蔵を襲名。03年はNHK大河ドラマ「武蔵」に主演。屋号は成田屋。
(2009年1月6日06時00分 スポーツ報知)