派遣切りに遭い「年越し派遣村」に入村した1人の男性に密着しました。
「不況列島」が始動した。仕事や住まいを失った非正規労働者数百人が、東京・日比谷の「年越し派遣村」から都内の4つの施設に移動しました。
派遣切りに遭った1人の男性に密着しました。
2009年最初の取引となった東京証券取引所。
晴れ着姿の女性が彩りを添える中、平均株価は、アメリカ市場の株高と円安の流れなどを受けて上昇、2カ月ぶりに9,000円台を回復し、年末の終値より183円56銭高い、9,043円12銭で取引を終えた。
大発会では、2年ぶりとなる好スタートを切った。
そして、東京・築地市場では、新春恒例の初競りが行われ、およそ2,800本のマグロが取引された。
青森県大間産のクロマグロ、およそ128kgについた値は963万円。
ご祝儀相場とはいえ、1本に1,000万円近い値がついたのは8年ぶりだという。
一方、日比谷公園では、年越し派遣村に集まった人たちなどが、派遣切りに遭った人たちの救済を求め、国会に向かってデモ行進を行った。
年越し派遣村の労働者たちは、「労働者派遣法を抜本的に改善しろ! 大企業のもうけを働く者に還元しろ!」とシュプレヒコールを上げた。
元派遣労働者の吉田二郎さん(仮名・41)は、「くたばれハケン」という手書きのプラカードを手にしていた。
吉田さんは「派遣法は悪法だと。苦しくてきつい人は、まだいっぱいいますから」と話した。
吉田さんは、群馬県内の自動車関連の工場で、派遣労働者として働いていたという。
吉田さんは「今はやりの派遣切りに遭いまして、そのまま野宿とか」と話した。
2カ月前、突然の派遣切りで仕事と住む場所を失い、大みそかに日比谷公園に設けられた年越し派遣村に入村した吉田さんは、ボランティアが振る舞う温かい年越しそばで空腹を満たした。
吉田さんは2008年12月31日、「捨てる神あれば拾う神あり。本当にきょうほど人の情けが身にしみた日はなかったですね」と話した。
寒空の下、迎えた2009年。
吉田さんは「去年は去年、ことしはことしと、もうきれいさっぱり忘れるっていうのは無理ですけど、もう二度と派遣の世話にはなりたくないですね」と語った。
次々とやって来る入村希望者。
テントなどが不足し、厚生労働省は急きょ、庁舎内の講堂を開放した。
入村者は「全然違いますね、やっぱり。暖房があるのとないのとは。やっと重い腰を上げたかなっていう」と話した。
しかし、講堂の使用期限は5日午前中まで。
入村登録した人は505人にのぼった。
舛添厚労相は「職を見つけて住居を見つけるっていうのは一番大事なんで。けさから大車輪で動きたいというふうに思ってます」と述べた。
5日午後4時前、何台も並んだ大型バスに、次々と派遣村の人たちなどが乗り込んだ。
新たな宿泊先は、都内の学校跡地にある体育館など4カ所で、ハローワークが出張窓口を設けるという。
宿泊先で手続きを終え、コンビニに向かった吉田さん。
お目当ては無料の求人情報誌だった。
吉田さんは「チェックは入れますね。ないよりはましかなと。長くいてもいけないし、仕事を見つけて、どこでも体の動くかぎり、精いっぱい働く。今はこれに尽きますね」と話した。
宿泊先の使用期限は12日までの1週間で、派遣労働者たちの長い冬は続くとみられる。
(01/06 01:53)